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第47話 美容にもいい肉の調理
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孤児院でのフォルテの食事についての授業は栄養バランスなどから始まって、バランスのいい食事の説明があった。
これまで盲信していたエルフの食事との違いに信者達は愕然とした様子であった。
「さて、ここまでは基礎知識だ。健康に生きる為の知識。次は、幸せになる為の話だ。いいか、世界には胃袋を掴むなんて言葉があるんだ。容姿だけが全てではない。褒めてもらうには色々とある。その中でも相手に必要とされる事の一つは美味い飯を作る事だ」
この考え方は、フォルテの暴論が混ざっているがあながち間違いというない。
フォルテは、黒板に大きく5つの文字を書いた。
さ
し
す
せ
そ
「これはな、料理の基本となる調味料だ。この世界にはこれが揃っていない。ほかにも必要な物は沢山あるが、お前達が協力して足りない物を作れる様になれば、キチンと金を稼げる様にもなる。子供だけでは心配だからお前達も手伝ってやるんだ」
フォルテは、この世界で今は作られていないと予想される調味料を、この孤児院で作れる様にすれば、孤児達は自分達だけで自立できる様になると考えた。
そして、その調味料を使った料理を作るのは信者達だ。
それも、栄養学の知識をつければ自分達も綺麗になり、子供達も健康に育つ。
一石二鳥の提案である。
フォルテは、黒板に書いた文字の横に調味料を書いていく。
さ さとう
し しお
す おす
せ せうゆ
そ みそ
そして、しょうゆとみその所に大きく丸をつけた。
「この2つの調味料をここで作れるようにする! どんな物を作るのか、その一つで料理を作って試食してもらう。塩だけの料理とは一味違う、美容の為にもなる料理だ。 場所を厨房に移動しようか。 ヤコブ、手伝え!」
「はい!」
フォルテに呼ばれたヤコブは嬉しそうな顔で返事をした。
それを見た信者達の何人かは、少し羨ましそうにしていた。
厨房に移動した。
「フォルテ様、今日は何を?」
「今日は食べ比べにするぞ。塩だけと、味付けをしっかりした物を作る。豚肉を切り分ける所から始めるぞ」
「はい!」
ヤコブはフォルテが言う食材をこちらの言葉でなくてもなんとなくわかるようになってきているのでスムーズに準備をする。
孤児院にあった豚肉をフォルテが支持するサイズでスライスしていく。
それが終わったら、フォルテが用意する調味料と配合に集中して見学にまわった。
フォルテは、調理台に、砂糖、塩、す、醤油、味噌を順番に並べた。
「片方は皆んなも知っている塩だけのシンプルな味付け。もう片方は砂糖、それから醤油を使っていく。この醤油はこれからこの孤児院で作っていこうと思っている物だ。どう言う物なのか、まずは味見してみろ」
フォルテが小皿に醤油を注ぐと、孤児と信者達が順番に指をつけて舐める感じに味見をした。
舐めた後、しょっぱさに顔を顰めたり舌を出す行動を見て、ヤコブは自分の経験から分かると言うように何度も頷いた。
「これがこの孤児院を変えるんですか?」
信者の質問にフォルテは頷いた。
「塩も単体で食べれば美味いと感じない。これから調理をすれば化けるから楽しみにしていろ」
フォルテはにこやかに話すと、調味料を混ぜ始めた。
「まずは砂糖と醤油、それから酒をまぜる。お、そうだ。この酒はな、昨日食ったじゃがいもから作った酒だぞ」
フォルテの言葉に、孤児達はざわざわと騒ぐ。
「毒イモからもお酒が作れるの?」「バカ、あれはじゃがいもだ。美味かっただろ!」「そのお酒も売れる?」
などと質問が飛び交う。
対して信者の方は、フォルテの言うじゃがいもの意味は分からなかったが、孤児達が毒イモと言った事でギョッとした顔をしたが、毒は芽にあり、そこさえ取り除けば害はない事をヤコブが説明すると、成程と納得した。
「後は生姜だ!ヤコブ、すりおろし生姜!」
「はい!」
ヤコブはフォルテの指示で、すぐに生姜をすりおろす。
それを見て、信者の1人から質問があった。
「それ、薬草の根ですよね。病気の時に使う」
「それはこれに含まれる体を温める成分を利用した物だな。これは薬味と言って薬以外に食事に使う事もできる素晴らしい食材だ。これで準備は整ったぞ」
フォルテがしたことといえば砂糖、醤油、酒を混ぜただけで、生姜はヤコブすりおろしてまだ混ぜていない。
「それじゃ、調理するぞ。まずは普通の塩で焼くぞ」
塩を最初に振って馴染ませておいた豚肉を火が通るまで焼いて皿に盛った。
続いては、豚肉をしっかり炒めた後に、先ほど混ぜ合わせた砂糖、醤油、酒を混ぜただけの調味料を入れて、照りを出しながら肉に調味料を絡めていく。
「後は火を止めてから生姜を入れて混ぜ合わせるだけだ。これは豚の生姜焼きと言ってな、豚にはビタミンEが豊富で美容にいい。それに生姜は温める事で体を温める成分が多くなるから健康的にスリムになるのにも効果的だ。 ただし、炒めすぎるとその成分が逆に壊れてしまうからな、こうして後入れした方が美容にはいいんだ」
フォルテの説明に美容と言う言葉が出てくるので、信者達は集中して聞いているが、孤児達は匂いで早く食べたそうにしている。
「まあなんにせよ、塩で焼いただけの物と生姜焼きを食べ比べてみろ」
フォルテの言葉に、皆んなが一斉に試食する。
昨日の蒸し焼きだけのじゃがいもも美味しそうに食べていた孤児達は、調理した肉に驚きの声を上げている。
そして、信者達の中には肉を食べてその味を思い出して目に涙を浮かべている者もいる。
「エルフ様、こんなに美味しい物を食べて、本当に綺麗になれるのですか?」
質問してきたのはフォルテと綺麗についての話をした信者の女性であった。
「これだけではダメだ。バランスのいい食事として、きちんとした運動。生活のリズムを整えなければ綺麗にはなれない。ただ、美味い食事を食って幸せを感じれば、一歩近づく。みんなを見てみろ、野菜ばかり食って死んだ目をしていた時よりも、今の幸せそうな笑顔のが綺麗だろう?」
フォルテの言葉に、信者の女性は頷いた。
「エルフ様、私も健康的に綺麗になる為に、この町で《さしすせそ》を作るお手伝いをさせてください」
信者の女性が頭を下げたのを見て、フォルテは笑った。
「そんなのは決定事項だ。この町で作るのは《せそ》だがな、この町に幸せが溢れるようにしような」
「はい!」
これから、フォルテによってこの街の孤児院の大改革が始まろうとしている。
これまで盲信していたエルフの食事との違いに信者達は愕然とした様子であった。
「さて、ここまでは基礎知識だ。健康に生きる為の知識。次は、幸せになる為の話だ。いいか、世界には胃袋を掴むなんて言葉があるんだ。容姿だけが全てではない。褒めてもらうには色々とある。その中でも相手に必要とされる事の一つは美味い飯を作る事だ」
この考え方は、フォルテの暴論が混ざっているがあながち間違いというない。
フォルテは、黒板に大きく5つの文字を書いた。
さ
し
す
せ
そ
「これはな、料理の基本となる調味料だ。この世界にはこれが揃っていない。ほかにも必要な物は沢山あるが、お前達が協力して足りない物を作れる様になれば、キチンと金を稼げる様にもなる。子供だけでは心配だからお前達も手伝ってやるんだ」
フォルテは、この世界で今は作られていないと予想される調味料を、この孤児院で作れる様にすれば、孤児達は自分達だけで自立できる様になると考えた。
そして、その調味料を使った料理を作るのは信者達だ。
それも、栄養学の知識をつければ自分達も綺麗になり、子供達も健康に育つ。
一石二鳥の提案である。
フォルテは、黒板に書いた文字の横に調味料を書いていく。
さ さとう
し しお
す おす
せ せうゆ
そ みそ
そして、しょうゆとみその所に大きく丸をつけた。
「この2つの調味料をここで作れるようにする! どんな物を作るのか、その一つで料理を作って試食してもらう。塩だけの料理とは一味違う、美容の為にもなる料理だ。 場所を厨房に移動しようか。 ヤコブ、手伝え!」
「はい!」
フォルテに呼ばれたヤコブは嬉しそうな顔で返事をした。
それを見た信者達の何人かは、少し羨ましそうにしていた。
厨房に移動した。
「フォルテ様、今日は何を?」
「今日は食べ比べにするぞ。塩だけと、味付けをしっかりした物を作る。豚肉を切り分ける所から始めるぞ」
「はい!」
ヤコブはフォルテが言う食材をこちらの言葉でなくてもなんとなくわかるようになってきているのでスムーズに準備をする。
孤児院にあった豚肉をフォルテが支持するサイズでスライスしていく。
それが終わったら、フォルテが用意する調味料と配合に集中して見学にまわった。
フォルテは、調理台に、砂糖、塩、す、醤油、味噌を順番に並べた。
「片方は皆んなも知っている塩だけのシンプルな味付け。もう片方は砂糖、それから醤油を使っていく。この醤油はこれからこの孤児院で作っていこうと思っている物だ。どう言う物なのか、まずは味見してみろ」
フォルテが小皿に醤油を注ぐと、孤児と信者達が順番に指をつけて舐める感じに味見をした。
舐めた後、しょっぱさに顔を顰めたり舌を出す行動を見て、ヤコブは自分の経験から分かると言うように何度も頷いた。
「これがこの孤児院を変えるんですか?」
信者の質問にフォルテは頷いた。
「塩も単体で食べれば美味いと感じない。これから調理をすれば化けるから楽しみにしていろ」
フォルテはにこやかに話すと、調味料を混ぜ始めた。
「まずは砂糖と醤油、それから酒をまぜる。お、そうだ。この酒はな、昨日食ったじゃがいもから作った酒だぞ」
フォルテの言葉に、孤児達はざわざわと騒ぐ。
「毒イモからもお酒が作れるの?」「バカ、あれはじゃがいもだ。美味かっただろ!」「そのお酒も売れる?」
などと質問が飛び交う。
対して信者の方は、フォルテの言うじゃがいもの意味は分からなかったが、孤児達が毒イモと言った事でギョッとした顔をしたが、毒は芽にあり、そこさえ取り除けば害はない事をヤコブが説明すると、成程と納得した。
「後は生姜だ!ヤコブ、すりおろし生姜!」
「はい!」
ヤコブはフォルテの指示で、すぐに生姜をすりおろす。
それを見て、信者の1人から質問があった。
「それ、薬草の根ですよね。病気の時に使う」
「それはこれに含まれる体を温める成分を利用した物だな。これは薬味と言って薬以外に食事に使う事もできる素晴らしい食材だ。これで準備は整ったぞ」
フォルテがしたことといえば砂糖、醤油、酒を混ぜただけで、生姜はヤコブすりおろしてまだ混ぜていない。
「それじゃ、調理するぞ。まずは普通の塩で焼くぞ」
塩を最初に振って馴染ませておいた豚肉を火が通るまで焼いて皿に盛った。
続いては、豚肉をしっかり炒めた後に、先ほど混ぜ合わせた砂糖、醤油、酒を混ぜただけの調味料を入れて、照りを出しながら肉に調味料を絡めていく。
「後は火を止めてから生姜を入れて混ぜ合わせるだけだ。これは豚の生姜焼きと言ってな、豚にはビタミンEが豊富で美容にいい。それに生姜は温める事で体を温める成分が多くなるから健康的にスリムになるのにも効果的だ。 ただし、炒めすぎるとその成分が逆に壊れてしまうからな、こうして後入れした方が美容にはいいんだ」
フォルテの説明に美容と言う言葉が出てくるので、信者達は集中して聞いているが、孤児達は匂いで早く食べたそうにしている。
「まあなんにせよ、塩で焼いただけの物と生姜焼きを食べ比べてみろ」
フォルテの言葉に、皆んなが一斉に試食する。
昨日の蒸し焼きだけのじゃがいもも美味しそうに食べていた孤児達は、調理した肉に驚きの声を上げている。
そして、信者達の中には肉を食べてその味を思い出して目に涙を浮かべている者もいる。
「エルフ様、こんなに美味しい物を食べて、本当に綺麗になれるのですか?」
質問してきたのはフォルテと綺麗についての話をした信者の女性であった。
「これだけではダメだ。バランスのいい食事として、きちんとした運動。生活のリズムを整えなければ綺麗にはなれない。ただ、美味い食事を食って幸せを感じれば、一歩近づく。みんなを見てみろ、野菜ばかり食って死んだ目をしていた時よりも、今の幸せそうな笑顔のが綺麗だろう?」
フォルテの言葉に、信者の女性は頷いた。
「エルフ様、私も健康的に綺麗になる為に、この町で《さしすせそ》を作るお手伝いをさせてください」
信者の女性が頭を下げたのを見て、フォルテは笑った。
「そんなのは決定事項だ。この町で作るのは《せそ》だがな、この町に幸せが溢れるようにしような」
「はい!」
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