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幼少期 旅立ち編(後)
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廃墟の前に来てから、辺りを探索したが、スケルトンの姿は一向に無かった。
(え?なんで?一体もいないなんてあり得る?嘘でしょ?これ、中入らないといけないの?)
私はお屋敷の付近にはスケルトンが一体もいなかった事実に戦慄した。
(て、事は依頼にあった目撃情報って全部お屋敷の中で見たって事?皆んなあの建物入ったの?)
チラッとお屋敷の方を見るが、やっぱり入りたくない。
とはいえ、このままここに滞在している方が怖いので、ここは勇気を振り絞るしかないのか、と自分を鼓舞する。
私は恐る恐る屋敷の庭に入るために正門を開ける。
ギギギッと如何にもな音を立てて開く門にも恐怖を感じつつ、ゆっくりと庭に入る。
勿論、閉めてしまうと逃げる時に困るので正門は開け放ったままお屋敷の庭を探索する。
庭にはまだいくらか花が残っているが殆どが枯れていたり、更には雑草が沢山生えている。
庭の植物達が風に揺らされ、その音すらもこの場の雰囲気を良くするには十分だった。
庭はそこまで大きくないので、探索は一瞬で終わり、やはり庭にもスケルトンが一体もいない事が確認できた。
お屋敷の窓やベランダに付いているカーテンはボロボロになっており中の様子が少しだけ伺える。
一階の窓から中を覗き込むが特に変わったものは見えない。
スケルトン討伐にはもうお屋敷の中に入るしかないと諦める。
(腹を括れ…私はもう…精神年齢は60歳じゃない!こんな廃墟で怖がっていい年齢じゃない)
私は意を決してお屋敷の扉に手を当てたその時
「君、だいじょ「キャーーッ‼︎」」
後ろから肩を叩かれた私は驚きと恐怖の余りに声の主を殴り飛ばしてしまった。
「ぐっはっぁ…」
私の拳で殴られた人は数メートルは吹き飛び、庭で大の字になって倒れた。
「…」
「…」
私は暫く放心状態になってしまったが、我を取り戻し、慌ててその人の元へ駆け寄る。
「ご、ごめんなさいっ‼︎驚いてしまってつい…」
「いや、大丈夫だ。俺こそ、驚かしてごめんね。怖かったよね。」
そう言うと大の字の体制からパッと起き上がりその場で胡座の体制をとった。そして「いてて…」と自らの腹部を撫でている。
チラリと腹部の方を見ると少し見えている腹筋に青あざが出来ている。
私も別の意味で恐怖で青ざめるのを感じる。
「あの…本当にすみません…【回復】しますので…」
「え?君、【回復】使えるの?凄いね!でも、大丈夫!意外と動けるから!それに、回復薬飲むし!」
腕をブンブン振って元気アピールをさせる。凄く気さくでいい人そうだ。しかし、これは完全に私の失態である。この人の道具を消費させるわけには行かない。
「いえ!私のせいなので、やらせてください!」
「【回復】」
私の魔法で腹部の治療をする。
青あざが消えた所で魔法を止める。
「わぁお、本当に治った。にしても君、強いなぁ~、俺これでもAランク冒険者なんだけどなぁ…」
ポリポリと人差し指で頬を掻きながら言う男性に私は驚いた。
「え?Aランクの方なんですか?そんな方がどうしてこんな所に…?」
「俺、今度君の昇級試験の監督をするAランク冒険者のリリアン・モアだ。よろしくな?試験生?」
男性、リリアンさんが左手に自身のギルドカードを、右手は私に差し出してきた。
「し、試験官の方でしたかっ⁉︎わ、私はアーシェンリファー・ウンディオーネです!よろしくお願いします!」
私は差し出された右手に手を伸ばす。
(試験監督さん、女性だと思ってた…男性だったんだ。)
申し訳ないな、と私は人の名前だけで勝手に性別を判断したことを心の中で反省する。
「さっき試験生の確認でギルドに行ったらさ、君がこの依頼を受けたって聞いたから予習も兼ねて様子を見にきたんだ。そしたら、なんかこの屋敷にビビってそうで、可哀想だったから声掛けたんだ。」
「で、ぶっ飛ばされた」とあっけらかんに状況の説明をしてくれた。
「そ、そうだったんですね…本当にすみません…。」
(私の心配をしてくれたいい人をぶっと飛ばすなんて…しかも試験監督…)
私は自分の行動にため息を付く。
「ま、それは良いとして。アーシェンリファーちゃん、依頼を受けに来たんでしょ?怖いなら俺もついて行ってやるから、さっさと討伐しちゃいな?」
リリアンさんは立ち上がり服の汚れを払う。
「は、はい!ありがとうございます!」
私も立ち上がった。
そして2人で再びお屋敷の扉まで歩く。
(いや、1人では怖かったからリリアンさんが来てくれて本当に良かった。)
私は先程ほど恐怖心を感じる事なく、お屋敷の扉を開けた。
中はボロボロになっており、勿論電気一つ付いていないため、真っ暗だった。
「ほれ、ビビっても依頼終わらなんだ。パパッとやるぞ?」
私のたじろぎなど気にする素振りもなくリリアンさんがズカズカとお屋敷の中に入って行く。
(す、凄い…いてくれた良かった。)
本日何度目かの感謝を念じながら私もリリアンさんの後を追った。
それからスケルトンはあっさりと見つかり、スケルトン達は私の【火の玉】であっけなく討伐した。
「いやぁ~、スケルトン自体はすぐ倒したじゃないか?アーシェンリファーちゃん、凄いな?」
リリアンさんが感心したように私の隣に立った。そして私に討伐したスケルトンの核を手渡してくれた。
「ありがとうございます…討伐は問題ないと思っていたんですが…廃墟が意外と怖くて…」
「だな?女の子には少し刺激が強い建物だよな。俺の仲間にもこーいうの苦手な奴が居んだよな。」
そして、私達は必要なスケルトンの核を回収して廃墟を後にする。
「じゃあ、次は試験当日だな!またな、アーシェンリファーちゃん。」
ギルドの前でリリアンさんと解散した後は、ギルドに達成の報告をし、宿に戻った。
(え?なんで?一体もいないなんてあり得る?嘘でしょ?これ、中入らないといけないの?)
私はお屋敷の付近にはスケルトンが一体もいなかった事実に戦慄した。
(て、事は依頼にあった目撃情報って全部お屋敷の中で見たって事?皆んなあの建物入ったの?)
チラッとお屋敷の方を見るが、やっぱり入りたくない。
とはいえ、このままここに滞在している方が怖いので、ここは勇気を振り絞るしかないのか、と自分を鼓舞する。
私は恐る恐る屋敷の庭に入るために正門を開ける。
ギギギッと如何にもな音を立てて開く門にも恐怖を感じつつ、ゆっくりと庭に入る。
勿論、閉めてしまうと逃げる時に困るので正門は開け放ったままお屋敷の庭を探索する。
庭にはまだいくらか花が残っているが殆どが枯れていたり、更には雑草が沢山生えている。
庭の植物達が風に揺らされ、その音すらもこの場の雰囲気を良くするには十分だった。
庭はそこまで大きくないので、探索は一瞬で終わり、やはり庭にもスケルトンが一体もいない事が確認できた。
お屋敷の窓やベランダに付いているカーテンはボロボロになっており中の様子が少しだけ伺える。
一階の窓から中を覗き込むが特に変わったものは見えない。
スケルトン討伐にはもうお屋敷の中に入るしかないと諦める。
(腹を括れ…私はもう…精神年齢は60歳じゃない!こんな廃墟で怖がっていい年齢じゃない)
私は意を決してお屋敷の扉に手を当てたその時
「君、だいじょ「キャーーッ‼︎」」
後ろから肩を叩かれた私は驚きと恐怖の余りに声の主を殴り飛ばしてしまった。
「ぐっはっぁ…」
私の拳で殴られた人は数メートルは吹き飛び、庭で大の字になって倒れた。
「…」
「…」
私は暫く放心状態になってしまったが、我を取り戻し、慌ててその人の元へ駆け寄る。
「ご、ごめんなさいっ‼︎驚いてしまってつい…」
「いや、大丈夫だ。俺こそ、驚かしてごめんね。怖かったよね。」
そう言うと大の字の体制からパッと起き上がりその場で胡座の体制をとった。そして「いてて…」と自らの腹部を撫でている。
チラリと腹部の方を見ると少し見えている腹筋に青あざが出来ている。
私も別の意味で恐怖で青ざめるのを感じる。
「あの…本当にすみません…【回復】しますので…」
「え?君、【回復】使えるの?凄いね!でも、大丈夫!意外と動けるから!それに、回復薬飲むし!」
腕をブンブン振って元気アピールをさせる。凄く気さくでいい人そうだ。しかし、これは完全に私の失態である。この人の道具を消費させるわけには行かない。
「いえ!私のせいなので、やらせてください!」
「【回復】」
私の魔法で腹部の治療をする。
青あざが消えた所で魔法を止める。
「わぁお、本当に治った。にしても君、強いなぁ~、俺これでもAランク冒険者なんだけどなぁ…」
ポリポリと人差し指で頬を掻きながら言う男性に私は驚いた。
「え?Aランクの方なんですか?そんな方がどうしてこんな所に…?」
「俺、今度君の昇級試験の監督をするAランク冒険者のリリアン・モアだ。よろしくな?試験生?」
男性、リリアンさんが左手に自身のギルドカードを、右手は私に差し出してきた。
「し、試験官の方でしたかっ⁉︎わ、私はアーシェンリファー・ウンディオーネです!よろしくお願いします!」
私は差し出された右手に手を伸ばす。
(試験監督さん、女性だと思ってた…男性だったんだ。)
申し訳ないな、と私は人の名前だけで勝手に性別を判断したことを心の中で反省する。
「さっき試験生の確認でギルドに行ったらさ、君がこの依頼を受けたって聞いたから予習も兼ねて様子を見にきたんだ。そしたら、なんかこの屋敷にビビってそうで、可哀想だったから声掛けたんだ。」
「で、ぶっ飛ばされた」とあっけらかんに状況の説明をしてくれた。
「そ、そうだったんですね…本当にすみません…。」
(私の心配をしてくれたいい人をぶっと飛ばすなんて…しかも試験監督…)
私は自分の行動にため息を付く。
「ま、それは良いとして。アーシェンリファーちゃん、依頼を受けに来たんでしょ?怖いなら俺もついて行ってやるから、さっさと討伐しちゃいな?」
リリアンさんは立ち上がり服の汚れを払う。
「は、はい!ありがとうございます!」
私も立ち上がった。
そして2人で再びお屋敷の扉まで歩く。
(いや、1人では怖かったからリリアンさんが来てくれて本当に良かった。)
私は先程ほど恐怖心を感じる事なく、お屋敷の扉を開けた。
中はボロボロになっており、勿論電気一つ付いていないため、真っ暗だった。
「ほれ、ビビっても依頼終わらなんだ。パパッとやるぞ?」
私のたじろぎなど気にする素振りもなくリリアンさんがズカズカとお屋敷の中に入って行く。
(す、凄い…いてくれた良かった。)
本日何度目かの感謝を念じながら私もリリアンさんの後を追った。
それからスケルトンはあっさりと見つかり、スケルトン達は私の【火の玉】であっけなく討伐した。
「いやぁ~、スケルトン自体はすぐ倒したじゃないか?アーシェンリファーちゃん、凄いな?」
リリアンさんが感心したように私の隣に立った。そして私に討伐したスケルトンの核を手渡してくれた。
「ありがとうございます…討伐は問題ないと思っていたんですが…廃墟が意外と怖くて…」
「だな?女の子には少し刺激が強い建物だよな。俺の仲間にもこーいうの苦手な奴が居んだよな。」
そして、私達は必要なスケルトンの核を回収して廃墟を後にする。
「じゃあ、次は試験当日だな!またな、アーシェンリファーちゃん。」
ギルドの前でリリアンさんと解散した後は、ギルドに達成の報告をし、宿に戻った。
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