転生先では幸せになります

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幼少期 旅立ち編(後)

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私は引き続きカイリを探す為、先程の檻があった場所からは移動していた。

男を追う事も考えたが、先程のスカイウルフを気にしていた事もあり直ぐに見失ってしまった。そのため、男は後回しにすることにした。
そもそもカイリの救出に来たのだ。犯人探しは二の次である。

最初に入った時にあった3本の分かれ道の所までが戻ってきた私は、とりあえず入り口から見て左側、つまり曲がらず真っ直ぐ進む事にした。

「うわ…どうしよう。私、死体臭い…」

咄嗟とはいえ死体を利用して身を隠すと言う、非常識な行為をした事により自分の身体から死体の臭いがしているのを感じる。

(これじゃ、カイリに会った時臭いって言われるよな…)

そう思った私は一瞬【清めの水】を使おうとしたが、「今では無いか…」と使用を諦める。

胸にぶら下げている時計を見ると速くも21時になろうとしている。

(カイリ…どこにいるんだろう…)

無意識に手に持っている黒い布を握る手に力が入る。

(さっきの男もいない…とりあえず、カイリを救出して、男の事はギルドに相談しないと…)

歩いていると木製の扉が何箇所かに付いており、部屋になっているのが分かる。

扉の向こうに人の気配がないか事前に確認し、問題無さそうだったためゆっくりとドアノブに手をかけると鍵がかかっているわけでもないようですんなりと開いた。

この部屋は備蓄庫になっているようで、食料や消耗品等々生活用品が揃っており、男がこの学園内の施設で生活しているのがよく分かる。

私は食材やその他の物質を横目に部屋の中の方まで進む。

すると

部屋の奥にある布を被った荷物が動き出した。

「うぐっ…」

そして人の苦しそうな声がその布の中きら漏れてきていた。

しかも、その声は凄い聞き覚えのある声だった。

「えっ!?まさかっ…」

私が足早に駆け寄って無造作に被せられた布を取ると其処には


「カイリっ!!」

私は思わずカイリの身体に腕を回す。

「えっ…ア、アーシェンリファー…?」

弱々しい声でカイリが私の名前を呼ぶ。

「うん。私だよ…。助けに来たの。」

私はつい伸ばしてしまった腕を外しカイリの姿を確認する。

初等部の制服は右腕の部分が破けており其処から少し血が出ている。更に顔を殴られたのか頬に打撲痕があった。

「無事で良かった…」

「う、うん…で、でも、ここにいたらアーシェンリファーも危険だよ。」

「うん。だから、早い所ここを出よう。」

私はカイリの手を握る立ちあがろうとする。

しかし、カイリは腕を負傷しているため痛かったのは身体がピクリと反応した。

「あっごめんね。痛かったよね…今治すから…」と言って、カイリに魔法を掛けようとするが

「…大丈夫。あの人に光属性魔法が使えるってバレるわけには行かない。」

カイリは強い言葉で私からの治療を断った。

「えっ…でも…」

「大丈夫。この程度なら俺も自分で治せるから。」

「あっ…確かに…」

カイリの言葉に理解はするが納得は出来ずにいた。

「そうだ!アーシェンリファー、この施設にフェンリルの子供は見なかった?」

カイリが突然尋ねてきた

「フェンリル…?確か、さっきまでいた檻のある場所にフェンリルの幼体のリストがあったけど、フェンリル自体は檻にはいなかったよ。」

「えっ!?そ、そんな…」

カイリは顔を真っ青にすると「じ、時間がない…」とさらに呟く。

「アーシェンリファー。君は何も見なかった事にしてここから逃げて。俺はフェンリルを助けないと!」

「そ、そんな危ない事させれないよ!」

カイリがとんでもないことにを言ってきたので反対する。

カイリの捜索はミクリだけはなく、精霊からもお願いされた事だ。
無事に戻ってきて貰わないと…。
勿論、私自身も心配である事は前提だ。

「そのフェンリルは…俺の大事な友達なんだ…このまま先生に売られる訳にはいかない。」

カイリは本気だった。

「でもっ…」

「それにっ!!俺のせいでフェンリルが…」

と言いかけたがカイリが重ねて言った言葉と顔で説得しては難しそうだ、と諦める。

「…わかった。ただし、私も一緒に行く」

「えっ!?あ、危ないよ!」

カイリは私の言葉に驚いたリアクションをしたが

「その危ない事を1人でやろうとしてたのは誰?大体、私が来なかったらここから1人でどうするつもりだったの?」

「ひ、1人じゃないよ…シロクロ呼ぶ予定だったし…」

カイリが動揺して瞳をキョロキョロさせているのが前髪で見えなくても分かる。

「いくらクロシロがいても、相手は犯罪者なんだよ?1人で危ない事、しようとしないで。」

「お化けより生きてる人間の方がよっぽど怖いんだから」と言葉を続けた。

「う、うん。ごめんね…」

カイリは少し悲しそうに謝ってきた。

「いいよ。カイリは悪くないもん。よし!そーと決まれば早速フェンリル探しだね。」

「う、うん!」

「でも、今回はあくまでフェンリルを見つけるだけだよ!それ以上の事は生きて戻って、ギルドに報告するから、そっちで対処して貰うんだからね。」

「も、勿論だよ!」

「で、肝心のフェンリルは何処にいるんだろう…」

私はこの施設の中でフェンリルの姿を見ていない。

「檻の中に居ないなら、先生が連れて行った可能性が高いよね…」

カイリが考え込んだように言うが私は今の発言に気になる所しかなかった。

「え?先生…?どう言う事?」

「そっか…アーシェンリファーは知らないよね。フェンリル達魔物をここに連れてきてるのは、この学園の教師なんだ。」

「えっ!?あの中年のおじさん、この学園の教員なの?とんでもないな…」

それって大分不味いんじゃ…色々と。と考えるがそこまではあえて口にはしない。

「そ、そうだよね…で、でも。他の先生はみんな凄くいい人なんだよ。」

「とはいえ、あの先生もいい人だったんだけどね…」とカイリが言う。

「なんの先生なの?」

「生物の先生…担任してるのは主に中等部なんだけど、稀に初等部の授業にも顔を出すんだ…」

「生物…つまり座学の先生って事だよね…強い?」

そうだ。もしかしたら鉢合わせて戦闘になるかもしれない。相手の戦闘力に関する情報は少しでも仕入れておきたい。

「う~ん…学園の中では特別強いっていうイメージは無いけど…でもこの学園の教師はある程度の実力がないとなれなかったと思うなぁ…生徒を守るのも教師の仕事って学園長がいつも言ってるから…」

「弱くは無い、か…。」

少し不安はあるが、最悪鉢合わせて戦闘になるようならカイリを守りつつ出口に向かって、外に出たら精霊の森に直ぐに避難しよう。

「ところで、なんでこんな誘拐されちゃったの?」

「あ…そうだよね…話せば長くなるんだけど…」

そう言ってカイリはことの始まりを話し出す。


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