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少女期 スイレン国編
110 ※
※このページでは過激な表現がされております。ご了承ください。
「これって…」
私は現在、大きな扉の前にいる。
相変わらずゴブリンとユキナさんと思わられる叫び声が響いている。
「ボスエリアの扉だ…」
ゴブリンの集落があった8階層にある大きな穴から飛び降りた私は、何階層落ちたかわからないほど落下し、現在ボスエリアの前まで来ていた。
(アンリさんの声が一切しないのが気になるけど…)
「ふぅ………行こう」
息を整え、気持ちを落ち着かせた私はボスエリアの重たい扉を開く。
「アンリさん!ユキナさん!いたら返事して下さい!」
「うぐっ…」
生臭い、雄特有のキツい匂いが充満した部屋に私は戦慄した。
遥か昔の忌々しい記憶を呼び覚ますような感覚に私は眩暈すらした。
私が勢いよく扉を開けると、中では超巨大ゴブリンの姿。そしてその姿は、一心不乱に腰を振り続け、とても不快な態勢をしていた。
「た、たす…け…」
巨大なゴブリンに捕まっている人を見ると、それはユキナさんだった!
「ユキナさん!」
私の叫び声にようやくコチラに顔を向けた巨大ゴブリンは気持ち悪い程口角を上げていた。
「ユキナさんに…何するの!!」
あまりの悲惨な光景に涙が溢れながらも何としてもユキナさんを助けたい私は一直線に巨大なゴブリンに突っ込む。
しかし、
『ゴブゴブゴブッ‼︎‼︎‼︎』
巨大ゴブリンの手前で私は横から何者かに吹っ飛ばさせる。
「きゃっ!!!」
凄まじい勢いで吹っ飛ばされた私は壁にぶち当たる前に何とか受け身を取り、ダメージを軽減させて壁に突っ込んだ。
「いっ…たぁ…」
背中を気遣いながらその場で立ち上がる。
私が吹っ飛ばした本人を確認するために前を見ると、巨大なゴブリンがもう一体いたのだった!
「2体…」
同じ魔物に見えるが、ユキナさんに強姦しているゴブリンの方が身体が小さいように見える。
「番…しかも、あのゴブリンって…」
一見、キングゴブリンとクイーンゴブリンに見えなくもない奴らであるが、身体に不自然な紋様が入っていたり、肌の色が通常のゴブリンとは違う。
通常よりももっとどす黒さのある赤色の肌が浮き出た血管をより強調させている。
「あれって…」
そう、奴らはキングゴブリンとクイーンゴブリンの亜種だ。
(このダンジョンはゴースト種族主体に見せて、本当は超ゴブリン種族特化のダンジョン!目の前にいる亜種達がこのダンジョンの超大型ゴブリン集落のボスにして、ダンジョンボスモンスター!)
「やばいな…」
ゴブリン種族とはいえ、亜種モンスターとなると、通常種よりも何倍も強敵だ。
実際、目の前にいる亜種のゴブリン夫婦はランクで言うとSランクからSSランクに匹敵する魔物である。
「うぅ…ユ、キナ…」
「アンリさんっ!」
自分が吹っ飛ばされた壁のすぐ横に、同じように吹っ飛ばされたのであろうアンリが気を失っているのが見えた!
凄い怪我をしているが、言葉を言う以上、生きているのだろう。
おおよそ、ユキナさんの悲惨な姿を見て更に冷静さを失ったアンリが、今の私と同じようにクイーン亜種に飛ばされたのだろう。
片腕で私のように受け身もまともに出来ない状態では、そりゃあぁもなる。
「さて、1人でアンリさんを守りながら、どうしようね…」
私自身、体力に限界ができていた。
本来は休息を取った後、この穴に降りるつもりだったが、アンリさんが独断行動を取ったことにより、休む暇もなく此処まで来てしまった。
「はぁ…あんまり思いたく無いけど…」
(余計なことしてくれたな…)
そう思わずにはいられなかった。
思わず気を失ったアンリをギロっと睨みつけてしまったが、瞬時に切り替え、再びゴブリン亜種達を見る。
クイーンゴブリン亜種は番が人間と行為をしているのが気に入らないのか、かなりイライラした様子だ。
キング亜種はそんなクイーン亜種の様子など構うこともせず、ひたすらユキナさん相手に下劣な腰を振っている。
(番であるゴブリンの攻略方法…)
前世の記憶と過去に読んだ書籍達の内容を高速で思い出し、番ゴブリンの攻略方法を思い出す。
「この場合、ユキナさんには申し訳ないけど、クイーン亜種が先だ…」
急がば回れ、この言葉の通り、少しでもダンジョン攻略の確率を上げるためには、どうしてもクイーン亜種から倒す必要がある。
(亜種とはいえ、ゴブリン種族…知能は高くない…)
私はクイーン亜種の元に走り出す。
「とりあえず、これでも喰らってて!」
【火の鞭】
無詠唱で放った魔法がクイーン亜種を襲う。
『ヴゥガァァア‼︎』
ダメージは通っているようで、痛そうに唸っている。
「まだまだぁっ!!」
私は【火の鞭】で苦しんでいるクイーン亜種に追い打ちをかけるように魔力を込めた右脚で思い切り回し蹴りを喰らわす。
先程私を飛ばした時の倍以上パワーで壁に吹っ飛んでいったクイーン亜種がかなり苦しそうにしながら壁にぶち当たった。
その姿に、流石にキング亜種も異変を感じたのか、ユキナさんから身体を離し、コチラに武器を構えてきた。
「…」
身体を離されたユキナさんは何も身に纏っていない状態で地面に放り出されるが、心に相当のダメージがあるようで、何もリアクションをしない。
その姿に余計辛くなるも
「悪いけど、今はアンタに構ってる暇はないの。これは、女同士の戦いってやつだから。」
何とか堪える。
【爆破雷電】
キング亜種がこの戦闘に介入すると自分が不利になることはわかっているため、早めに対策を取る。
キング亜種がコチラに近づかないように【爆破雷電】をキング亜種の周りに放つ。
『グググッ‼︎』
何も知らないキング亜種が設置した【爆破雷電】に触れた瞬間、凄まじい感電がキング亜種を襲った。
キング亜種はその衝撃に驚いたようで、その場でアタフタとしている。
「あんなのでは、時間稼ぎにしかならない…早くクイーン亜種を何とかしないと…」
私がクイーン亜種の方に再び振り向くと、既に立ち上がっており、先程の攻撃を受けて完全に私を敵と認識したようで、敵意が剥き出しの目で睨まれる。
「Sランク、かぁ…」
ソロでSランクの魔物と対峙するのは今世では初めてだ。
「本当、嫌になっちゃう…」
(なんで、こうも予想より早くピンチがくるのかな…)
私とクイーン亜種はほぼ同時に動き出した。
お互いの激しい戦闘音がボスエリアに響き渡る。
時には衝撃でエリア内が地震のように揺れる。
高い天井からミシミシとアスファルトのカケラが落ちてきて、頭に砂が当たる。
「はぁ…こんの馬鹿力が…」
先程からクイーン亜種と打撃の撃ち合いを繰り広げているが、向こうは相当な武道家ゴブリンのようで5メートル程ある巨体にそぐわないスピードで攻撃をしてくる。
コチラは魔法も使える分、回復や身体強化で向こうとバランスよく対峙出来ているが、中々に骨が折れる。
(今までのデュラハンとは全然違う…)
今までの疲労も相まって息が上がるのがわかる。
チラッとキング亜種の方を見ると相変わらず設置した【爆破雷電】の中で暴れていた。
私がキング亜種を見た瞬間を見逃さなかったクイーン亜種に先手を打たれる。
「あぁっ!もうっ!」
【光の盾】
咄嗟に展開した防御魔法で何とかクイーン亜種の攻撃を凌ぐ。
『グルルルルッ』
「ふぅ…ゴブリンのくせに強いなぁ…」
身体の関節を鳴らして、ストレッチをする。
そして、再びクイーン亜種との激しい肉弾戦が再開させる。
向こうは無尽蔵と言っていいほどのスタミナで攻撃を止める事なく、自分を狙ってくる。
(負けて、らんないよね!)
アーシェンリファーも負けじと攻撃を繰り返す。
徐々にこちらに部が上がってきたようで、クイーン亜種の攻撃の手が緩くなる。
「はぁぁああ!!」
すかさずクイーン亜種に蹴りを入れた事により、クイーン亜種が再び倒れる。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
(早く…倒れてよ…)
私の後ろでキング亜種が【爆破雷電】を突破しようとしていた。
『グルルルルッ‼︎』
クイーン亜種がキング亜種の動きに呼応するように唸る。
「時間がないよね!」
キング亜種がコチラにくる前にクイーン亜種を倒さねば、と再びクイーン亜種に攻撃仕掛けようとした時、、、
『グォォォォオオオオオッッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』
後ろにいたキング亜種が今までに聞いたことのないような咆哮をあげた!
「なっ、何っ!?」
状況が飲み込めず狼狽える。
すると、
『ゴブゴブゴブッ‼︎』
『フゴッ』
『ゴブゴフッ』
なんと、高い天井の上から、ゴブリン達が大量に降ってきた。
「嘘でしょ…」
此処にきて、上の階層にいたであろうゴブリン達が自分のキングを守るために援護に来たのだ!
「チッ…さっきのは手下呼びだったのか…」
思わず口調が荒くなる。
無理もない。
クイーン亜種一体で手一杯なのに、次からはこの大勢いる雑魚達を相手にしなければいけないのだ。
「何なのよ…」
此処にきて、再び一気に疲労が出る。
(落ち着け…私。やれば、できるんだから…)
ピンチに陥った時、私は必ずと言って良いほど母、シリシアンの姿を思い浮かべる。
(こんな時、お母さんならどうするんだろう…ねぇ、私がそっちに行ったらすごく怒るんだろうなぁ…ならまだこんな所で死ぬわけにはいかないよね)
心を落ち着かせ、気持ちを強く持った私は辺りにいる後ぶり達を見る。
「だから、お母さん…私に力を貸して。」
自分の身体の中にあった魔力が膨れ上がっていくのが分かる。
自分の魔力に集中する。
(お母さん、私にその魔法を頂戴!!)
「【氷華】!!」
生まれて初めて、本当の意味で母のオリジナル魔法を使う。
この世の誰よりも、憧れて、焦がれた存在の魔法だ。
私の【氷華】の華は、母の薔薇とは違い月下美人の華だった。
月下美人の花言葉は、「儚い美」「儚い恋」「艶やかな美人」「ただ一度だけ会いたくて」などが一般的だ。
私にとって、母の魔法はただ一度だけ見た儚い美、そして美しい魔法への儚い恋そのものだった。
もっと言うと、母を亡くしてからもずっとただ一度だけでも会いたい、そんな気持ちにさせる。この魔法は母を思い出して辛くなるため、心の処かで封印していた。
でも、私はこれからもっと強く、逞しく生きていきたい。
母との思い出も、母からの教えも、全部、全部、私の中で生きている。
まだ、こんな所で死ぬわけにはいかない。
その思い一つが、私の全てを突き動かす。
私の繰り出した氷の月下美人が至る所に咲き誇り、大量にいたゴブリン達とクイーン亜種の一気に攻撃する。
「まだまだだよ…」
【氷華】
私は攻撃を止める事なく次々に氷の月下美人を繰り出す。
クイーン亜種も魔法には強くないのか、どんどん力が抜けていっている。
「もっと…もっと…」
夢中で魔法を繰り出す。
氷の月下美人がどんどん増える。
際限なく増えていく氷の月下美人の影響でボスエリアは急激に冷えていった。
自分でも気づかない内に息が白くなっている。
それでも私の魔法は止まらない。
「全部、全部…消えてなくなってよ…」
「これって…」
私は現在、大きな扉の前にいる。
相変わらずゴブリンとユキナさんと思わられる叫び声が響いている。
「ボスエリアの扉だ…」
ゴブリンの集落があった8階層にある大きな穴から飛び降りた私は、何階層落ちたかわからないほど落下し、現在ボスエリアの前まで来ていた。
(アンリさんの声が一切しないのが気になるけど…)
「ふぅ………行こう」
息を整え、気持ちを落ち着かせた私はボスエリアの重たい扉を開く。
「アンリさん!ユキナさん!いたら返事して下さい!」
「うぐっ…」
生臭い、雄特有のキツい匂いが充満した部屋に私は戦慄した。
遥か昔の忌々しい記憶を呼び覚ますような感覚に私は眩暈すらした。
私が勢いよく扉を開けると、中では超巨大ゴブリンの姿。そしてその姿は、一心不乱に腰を振り続け、とても不快な態勢をしていた。
「た、たす…け…」
巨大なゴブリンに捕まっている人を見ると、それはユキナさんだった!
「ユキナさん!」
私の叫び声にようやくコチラに顔を向けた巨大ゴブリンは気持ち悪い程口角を上げていた。
「ユキナさんに…何するの!!」
あまりの悲惨な光景に涙が溢れながらも何としてもユキナさんを助けたい私は一直線に巨大なゴブリンに突っ込む。
しかし、
『ゴブゴブゴブッ‼︎‼︎‼︎』
巨大ゴブリンの手前で私は横から何者かに吹っ飛ばさせる。
「きゃっ!!!」
凄まじい勢いで吹っ飛ばされた私は壁にぶち当たる前に何とか受け身を取り、ダメージを軽減させて壁に突っ込んだ。
「いっ…たぁ…」
背中を気遣いながらその場で立ち上がる。
私が吹っ飛ばした本人を確認するために前を見ると、巨大なゴブリンがもう一体いたのだった!
「2体…」
同じ魔物に見えるが、ユキナさんに強姦しているゴブリンの方が身体が小さいように見える。
「番…しかも、あのゴブリンって…」
一見、キングゴブリンとクイーンゴブリンに見えなくもない奴らであるが、身体に不自然な紋様が入っていたり、肌の色が通常のゴブリンとは違う。
通常よりももっとどす黒さのある赤色の肌が浮き出た血管をより強調させている。
「あれって…」
そう、奴らはキングゴブリンとクイーンゴブリンの亜種だ。
(このダンジョンはゴースト種族主体に見せて、本当は超ゴブリン種族特化のダンジョン!目の前にいる亜種達がこのダンジョンの超大型ゴブリン集落のボスにして、ダンジョンボスモンスター!)
「やばいな…」
ゴブリン種族とはいえ、亜種モンスターとなると、通常種よりも何倍も強敵だ。
実際、目の前にいる亜種のゴブリン夫婦はランクで言うとSランクからSSランクに匹敵する魔物である。
「うぅ…ユ、キナ…」
「アンリさんっ!」
自分が吹っ飛ばされた壁のすぐ横に、同じように吹っ飛ばされたのであろうアンリが気を失っているのが見えた!
凄い怪我をしているが、言葉を言う以上、生きているのだろう。
おおよそ、ユキナさんの悲惨な姿を見て更に冷静さを失ったアンリが、今の私と同じようにクイーン亜種に飛ばされたのだろう。
片腕で私のように受け身もまともに出来ない状態では、そりゃあぁもなる。
「さて、1人でアンリさんを守りながら、どうしようね…」
私自身、体力に限界ができていた。
本来は休息を取った後、この穴に降りるつもりだったが、アンリさんが独断行動を取ったことにより、休む暇もなく此処まで来てしまった。
「はぁ…あんまり思いたく無いけど…」
(余計なことしてくれたな…)
そう思わずにはいられなかった。
思わず気を失ったアンリをギロっと睨みつけてしまったが、瞬時に切り替え、再びゴブリン亜種達を見る。
クイーンゴブリン亜種は番が人間と行為をしているのが気に入らないのか、かなりイライラした様子だ。
キング亜種はそんなクイーン亜種の様子など構うこともせず、ひたすらユキナさん相手に下劣な腰を振っている。
(番であるゴブリンの攻略方法…)
前世の記憶と過去に読んだ書籍達の内容を高速で思い出し、番ゴブリンの攻略方法を思い出す。
「この場合、ユキナさんには申し訳ないけど、クイーン亜種が先だ…」
急がば回れ、この言葉の通り、少しでもダンジョン攻略の確率を上げるためには、どうしてもクイーン亜種から倒す必要がある。
(亜種とはいえ、ゴブリン種族…知能は高くない…)
私はクイーン亜種の元に走り出す。
「とりあえず、これでも喰らってて!」
【火の鞭】
無詠唱で放った魔法がクイーン亜種を襲う。
『ヴゥガァァア‼︎』
ダメージは通っているようで、痛そうに唸っている。
「まだまだぁっ!!」
私は【火の鞭】で苦しんでいるクイーン亜種に追い打ちをかけるように魔力を込めた右脚で思い切り回し蹴りを喰らわす。
先程私を飛ばした時の倍以上パワーで壁に吹っ飛んでいったクイーン亜種がかなり苦しそうにしながら壁にぶち当たった。
その姿に、流石にキング亜種も異変を感じたのか、ユキナさんから身体を離し、コチラに武器を構えてきた。
「…」
身体を離されたユキナさんは何も身に纏っていない状態で地面に放り出されるが、心に相当のダメージがあるようで、何もリアクションをしない。
その姿に余計辛くなるも
「悪いけど、今はアンタに構ってる暇はないの。これは、女同士の戦いってやつだから。」
何とか堪える。
【爆破雷電】
キング亜種がこの戦闘に介入すると自分が不利になることはわかっているため、早めに対策を取る。
キング亜種がコチラに近づかないように【爆破雷電】をキング亜種の周りに放つ。
『グググッ‼︎』
何も知らないキング亜種が設置した【爆破雷電】に触れた瞬間、凄まじい感電がキング亜種を襲った。
キング亜種はその衝撃に驚いたようで、その場でアタフタとしている。
「あんなのでは、時間稼ぎにしかならない…早くクイーン亜種を何とかしないと…」
私がクイーン亜種の方に再び振り向くと、既に立ち上がっており、先程の攻撃を受けて完全に私を敵と認識したようで、敵意が剥き出しの目で睨まれる。
「Sランク、かぁ…」
ソロでSランクの魔物と対峙するのは今世では初めてだ。
「本当、嫌になっちゃう…」
(なんで、こうも予想より早くピンチがくるのかな…)
私とクイーン亜種はほぼ同時に動き出した。
お互いの激しい戦闘音がボスエリアに響き渡る。
時には衝撃でエリア内が地震のように揺れる。
高い天井からミシミシとアスファルトのカケラが落ちてきて、頭に砂が当たる。
「はぁ…こんの馬鹿力が…」
先程からクイーン亜種と打撃の撃ち合いを繰り広げているが、向こうは相当な武道家ゴブリンのようで5メートル程ある巨体にそぐわないスピードで攻撃をしてくる。
コチラは魔法も使える分、回復や身体強化で向こうとバランスよく対峙出来ているが、中々に骨が折れる。
(今までのデュラハンとは全然違う…)
今までの疲労も相まって息が上がるのがわかる。
チラッとキング亜種の方を見ると相変わらず設置した【爆破雷電】の中で暴れていた。
私がキング亜種を見た瞬間を見逃さなかったクイーン亜種に先手を打たれる。
「あぁっ!もうっ!」
【光の盾】
咄嗟に展開した防御魔法で何とかクイーン亜種の攻撃を凌ぐ。
『グルルルルッ』
「ふぅ…ゴブリンのくせに強いなぁ…」
身体の関節を鳴らして、ストレッチをする。
そして、再びクイーン亜種との激しい肉弾戦が再開させる。
向こうは無尽蔵と言っていいほどのスタミナで攻撃を止める事なく、自分を狙ってくる。
(負けて、らんないよね!)
アーシェンリファーも負けじと攻撃を繰り返す。
徐々にこちらに部が上がってきたようで、クイーン亜種の攻撃の手が緩くなる。
「はぁぁああ!!」
すかさずクイーン亜種に蹴りを入れた事により、クイーン亜種が再び倒れる。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
(早く…倒れてよ…)
私の後ろでキング亜種が【爆破雷電】を突破しようとしていた。
『グルルルルッ‼︎』
クイーン亜種がキング亜種の動きに呼応するように唸る。
「時間がないよね!」
キング亜種がコチラにくる前にクイーン亜種を倒さねば、と再びクイーン亜種に攻撃仕掛けようとした時、、、
『グォォォォオオオオオッッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』
後ろにいたキング亜種が今までに聞いたことのないような咆哮をあげた!
「なっ、何っ!?」
状況が飲み込めず狼狽える。
すると、
『ゴブゴブゴブッ‼︎』
『フゴッ』
『ゴブゴフッ』
なんと、高い天井の上から、ゴブリン達が大量に降ってきた。
「嘘でしょ…」
此処にきて、上の階層にいたであろうゴブリン達が自分のキングを守るために援護に来たのだ!
「チッ…さっきのは手下呼びだったのか…」
思わず口調が荒くなる。
無理もない。
クイーン亜種一体で手一杯なのに、次からはこの大勢いる雑魚達を相手にしなければいけないのだ。
「何なのよ…」
此処にきて、再び一気に疲労が出る。
(落ち着け…私。やれば、できるんだから…)
ピンチに陥った時、私は必ずと言って良いほど母、シリシアンの姿を思い浮かべる。
(こんな時、お母さんならどうするんだろう…ねぇ、私がそっちに行ったらすごく怒るんだろうなぁ…ならまだこんな所で死ぬわけにはいかないよね)
心を落ち着かせ、気持ちを強く持った私は辺りにいる後ぶり達を見る。
「だから、お母さん…私に力を貸して。」
自分の身体の中にあった魔力が膨れ上がっていくのが分かる。
自分の魔力に集中する。
(お母さん、私にその魔法を頂戴!!)
「【氷華】!!」
生まれて初めて、本当の意味で母のオリジナル魔法を使う。
この世の誰よりも、憧れて、焦がれた存在の魔法だ。
私の【氷華】の華は、母の薔薇とは違い月下美人の華だった。
月下美人の花言葉は、「儚い美」「儚い恋」「艶やかな美人」「ただ一度だけ会いたくて」などが一般的だ。
私にとって、母の魔法はただ一度だけ見た儚い美、そして美しい魔法への儚い恋そのものだった。
もっと言うと、母を亡くしてからもずっとただ一度だけでも会いたい、そんな気持ちにさせる。この魔法は母を思い出して辛くなるため、心の処かで封印していた。
でも、私はこれからもっと強く、逞しく生きていきたい。
母との思い出も、母からの教えも、全部、全部、私の中で生きている。
まだ、こんな所で死ぬわけにはいかない。
その思い一つが、私の全てを突き動かす。
私の繰り出した氷の月下美人が至る所に咲き誇り、大量にいたゴブリン達とクイーン亜種の一気に攻撃する。
「まだまだだよ…」
【氷華】
私は攻撃を止める事なく次々に氷の月下美人を繰り出す。
クイーン亜種も魔法には強くないのか、どんどん力が抜けていっている。
「もっと…もっと…」
夢中で魔法を繰り出す。
氷の月下美人がどんどん増える。
際限なく増えていく氷の月下美人の影響でボスエリアは急激に冷えていった。
自分でも気づかない内に息が白くなっている。
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「全部、全部…消えてなくなってよ…」
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