罰ゲームの結果

月羽ミホ

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《仕掛けられた》罰ゲームの結果

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《彼女視点》

あの日腰を抜かした私は世の女性達が憧れるお姫様抱っこなるものをされ、家路についた

ちょうど部活が終わる時間だった事もあり、羞恥心があるのかないのか(ないと思う!)堂々と正門に向かう津田君と私は注目の的となった

何度下ろしてと言っても爽やかな笑顔でスルーする津田君は意地悪だったが、惚れた弱みらしい
横顔はかっこよく見え、私とは違った骨張った手や腕は筋肉質で不安よりも安心が勝っていた

それでも周囲の目線は恥ずかしくて津田君の肩に額をグリグリと押し当てて恥ずかしさを紛らしたら、嬉しそうでいて意地の悪そうな、そんな笑う横顔を目にした

そんな刺激的な日から数週間が経つ
あの日の事が瞬く間に広まり、私と津田君が恋人同士だと噂されるようになった

元々津田君は人気者で、クラスどころか下級生にまで慕われ、頼れる先輩だった事から友人以外津田君に好意のある(男女問わず)人達から刺すような視線を向けられるようになった

放課後に呼び出しされる事はあってもすぐに津田君が現れて集まっていた人達は去って行く事が殆どで何かをされる事はなかった。
強いて言えば物を失くしたり、階段の上段がワックスで滑りやすくなっていたみたいで滑り落ちて津田君に怒られたぐらい。

それ以降物が失くなる事もへまする事もなくなったから、きっと浮かれすぎて足が地についていなかったんだと思う
それは友人達から見ても浮かれているように見えたみたい

「片思いで終わらなくて良かった」
「「「えっ?!?」」」

噂も落ち着いてきたある日、改めてそんな事を言ってみれば罰ゲームを提案した友人達には何故か謝られ、応援された
そして知らなかった事実を聞かされた

私が津田君を意識していた事は友人達は以前から知っていたみたい(穴があったら入りたい…)。
そんな進展のない私を見守っていた時に津田君から、私の本当の気持ちを聞いた事がないから協力してと言われ、私が津田君を意識していた事を思い出した友人達は秘密で付き合っているけどこのままだと誤解して二人は破局してしまう!と思い、友人達は何としてでも告白させたかったみたい(誤解とは言え、道理であの日の3人の剣幕は凄かったのか…?)。
私を思って行動してくれたのは凄く嬉しかった、が…

視線を3人と、最近まで無かったはずの鞄に沢山ついているデ〇〇ニ〇限定のネズミのストラップや蜂蜜好きの熊さんを見て、3人の目を見れば相当楽しんだ事が分かる。
3人ともデ〇〇ニ〇に行った事がないから行ってみたいと以前から話していた事を思えば津田君の用意周到さと失敗していたらどうする気だったのかを考え、背筋がゾクリとして考える事をやめた

世の中、知らなくていい事もある。

そんなもしかしたらな話より気持ちを知られていたかもと思うと恥ずかしさや戸惑いで内心暴れ回り、次いで考える事を放棄したはずの私は怒り震えた

友人達が買収された事に対しては怒っていない
3人とも幸せと顔に出ていたから、私が言う事でもない。それにも前から仕掛けられていた事だから気にしても仕方ないただ、試合に勝って勝負に負けた感がして悔しく感じてならない
と言ってもクラスの中心、な津田君を負かすなど無理というもの
成績は常にトップクラスな癖に他の男子とも仲がいい
漬け込む隙すらないのに恋人同士のあれやこれやですら何枚も上手
自然と眉間に皺がよるのは仕方ない

「あはは
また眉間に皺が寄ってるよ」
「んぅ゛~」

グリグリと皺を伸ばすように両の手が眉間に触れる。笑ってる顔は前のような意地悪顔ではなく、本当に楽しそうに笑っている

ジーと津田君の顔を見ていて思った
津田君は意地悪しては私の反応を楽しんでいるが、それは私がやってもいい気がした

そう思えばすぐに行動に移していた
幸い私達がいるのは旧校舎の中庭で誰もいないのだから

《彼視点》

あの日僅かに音を立てて交わした初めての口付けは、想像よりもフニュっとした柔らかさとほのかな甘さが印象的だった

腰を抜かした彼女に初めて?と、聞けば真っ赤に染めた顔で力の篭っていない腕で叩かれたが思わず笑ってしまった

若干拗ねる彼女を横に抱き上げると浮遊感が怖かったのか、俺の首に必死にしがみ付くのが可愛かった

その後も横抱きにしていたのは恥ずかしくて頰を染める彼女が可愛かったからだが、今に思えば失敗だった

部活終わりで桜坂さんの可愛い反応を見た奴らが頰を染めていたからだ

だが、そんな事を気にしていられるほど余裕が無かったようで、俺の肩に頭を押し付け、涙目で下ろしてと願う彼女を独り占めできた事でどうでも良くなった

勿論あれだけ大勢の生徒の前で桜坂さんを横抱きのまま帰った事で俺達が恋人同士だと噂が瞬く間に流れた

噂が流れ始めた頃は何度も聞きに来る奴や、彼女は俺に相応しくないと自分を売りにくる奴もいたが、桜坂さんにまで矛先が向けられたと知った時はキレた
今までの俺は何だったのか、と問われるような勢いでキレたお陰で仲のいい奴らだけが周りに残ったが、後悔も無ければお金や権力を求めるような迷惑な連中であったため、スッキリした

そんな事があったが、とうとう彼女に知られてしまったらしい
桜坂さんが俺を好きな事は知っていた
自惚れでない事も、だ

桜坂さんの友人達を買収もとい、お願いを潔く受けてくれたお陰でも費やした仕掛けは上手くいったとは言え、これは予想していた反応とは違った

眉間にシワを寄せて拗ねるように、怒っているかのような態度に面白いと思いつつ、そんな反応されるとは思わなかったため、焦りと共に彼女の行動に若干戸惑った

「どんな津田君も好きだよ
んっ」
「っ?!」

耳元で囁かれたと思っていたら、彼女の柔らかい唇が俺の左耳を喰み、ぬるりとした感覚に微かに震えるが、すぐに舐められたと理解した

すぐに彼女の顔を見ると、悪戯が成功したとばかりに嬉しそうに笑っていた

勿論俺は売られたものは買う
小悪魔的で悪戯な恋人ならば尚更—–—




覚悟はできているのだろうか?と言う問いは数分後、腰を抜かし息を荒げ、涙目で頬を染め、俺の裾を掴む彼女の姿を見ればわかるだろう

「っ…い、いじわるぅ…」

ああ、今日も彼女は美味しそうで堪らなく、愛おしい

         ー完ー
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