広い世界に

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広い世界に

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生まれは王宮にある片隅の名もない離宮。

私の母は、王室で働く侍女だった。

父はこの国の第1王子。



第1王子と、ある公爵令嬢は婚約していた。

ある日、2人が口喧嘩を始めた為、周りにいた侍従や侍女たちは諌めたが、王子はイライラを紛らわしたかったのか。
そこはわからないけど、その場にいた侍女をいきなり殴り暴行した。

騒ぎを起こした第1王子は、醜聞を恐れた王が王子を何処かに幽閉し、暴行された侍女も離宮に保護された。


その後、侍女が身ごもってしまったことが判明した。

そして産まれたのが私。
母は産後、力尽きたかのように亡くなった。



産まれてから十数年、ずっとこの離宮から出たことがない。

私の世界は離宮の中と離宮の窓から見える景色のみ。この小さな世界が私の全て。

前世の記憶持ち。前世は引きこもりだったから、今の現状に苦はない。


いつかはこの離宮を出て、広い世界にでなくてはいけなくなることが…怖い。





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