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〜番外編〜
『出会ったのは運命? 〜前編〜』
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――あの日、鈴宮奈緒は人生に疲れていた。見下していた相手に恋人を作られてしまった。今まで見下していた親友は自分よりも遥かに幸福な人生を歩んでいた。
幼馴染み同士の相思相愛で、誰がどう見たってラブラブのカップルだった。幸せそうに笑う二人を見る度に、奈緒の心を蝕んでゆく。
だからあのときの奈緒は嫉妬していたのだ。そして今でも何故自分がこんなことをしているのか分からないでいる。でも、やってしまった。
「貴方が"なるみやー"さんですか?」
不意に後ろから声をかけられた。振り返るとそこには一人の少年がいた。年の頃なら奈緒と同じぐらいだろう。黒髪短髪をワックスか何かでツンと立たせている。少し長めの前髪の間からは鋭い眼光が覗いていた。
「えーと……貴方が"こっしー"ですか?」
奈緒は今やSNS上で知り合った人とオフ会をするようになっていた。最初はネット上の付き合いなど信用していなかったのだが春香との一件があって以来、自暴破棄になっていたのだ。
この相手も例によってネット上で知り合いになった人だった。
「はい。僕はこっしーです」
こっしーと名乗るその人は笑顔を浮かべながら答えた。だが、目は笑ってはいないようだった。
「私は鈴宮奈緒といいます。よろしくお願いしますね。今日は」
一夜限りの関係だ。奈緒はこの人を抱き、処女を捨てる――と自暴自棄になりながらも考えていた。最初はお喋りをしながら食事をするだけだった。そして――、
「ねぇ?期待してたの?」
そう言って腕を掴む彼。その時、急に怖くなって逃げ出したくなった。だけど、もう遅い。彼の手は既に奈緒の腕を掴んでいる。そしてそのまま――。
「おい。彼女が嫌がってるだろ!辞めろよ!」
不意にそんな声が聞こえてきた。見るとそこには男の姿があった。黒髪短髪の男だ。背丈は170センチほどだろうか。年齢は学生服を着ていることから高校生だと分かる。彼はこちらに向かって歩いてきた。
するとこっしーという男は舌打ちをしてその場から離れていった。
「……大丈夫か?」
男が尋ねてくる。それに対して奈緒は何も答えることができなかった。否、何も言えなかったと言う方が正しいかもしれない。ただ黙ったまま俯いていることしかできなかった。
やがて男は口を開いた。
「えーと、とりあえず、落ち着くまで喫茶店とかに……」
そこでようやく奈緒は自分の体が震えていることに気付いた。目の前にいる男の顔を直視することができない。
それから暫く沈黙が続いた後、彼が言った。
「……とりあえず、行こう?」
そう言って手を引いてくる彼に抗うことはできなかった。
△▼△▼
彼の名前は篠宮光輝といった。近くの高校に通う二年生だという。あの日以来、光輝と会う時間が増えた。
別に付き合っているわけではない。でも、この人の側にいるのは安心できた。光輝の側にいると、不思議と心が落ち着けられるのだ。
そんなある日のこと。
「……それでさー、最近のみんな、彼氏とか彼女ができたみたいで……俺だけ取り残されてるんだよなぁ~」
何気のない会話の中でふっと呟かれた言葉だ。愚痴のようなものだと思っていたから適当に相槌を打っていた。
しかし、次の瞬間――、
「ねぇ、鈴宮さんは彼氏いるの?」
突然そんなことを聞かれて驚いた。まさか自分に振ってくるとは思わなかったからだ。
少し迷ったが正直に答えることにした。
いないわよ。好きな人も特にいなくて……。
その返答を聞いた途端、
「へぇー……そうなんだ。意外だな……鈴宮さん美人だしモテそうだと思ったんだけど」
「モテてないわ!告白されたことなんて無いし……それに私なんか全然可愛くないし……」
自分で言いながら悲しくなってきた。最初は可愛いと持て囃されて来たし、その通りだったと思うし、実際今も周りからは綺麗だとよく言われるけど、それは見た目だけだ。
中身は全く違う。私は醜いし汚くて気持ち悪い人間なのだ。だから誰からも好かれるわけがない。春香のように明るく振る舞えないし。
「…鈴宮さんって自己評価低いよね?もっと自信持てば?」
「自己評価が低い……ですか」
昔は自己評価が高いと自負しているところもあったのだが、今はそうでもない。自分のことが嫌いだから仕方が無いのだけれど。
でも、何故かこの人にだけは嫌われたくないと思ってしまう自分がいる。
光輝に出会った以降、春香のことも向き合うようになった。今までは嫉妬の対象でしかなかったのだが、今では普通の友人として接することが出来るようになっている。
親友(笑)じゃなくて本当の親友になれたと思ってるし、これからもずっと仲良くしたいと思っている。春香は大切な親友で親友(笑)じゃない。
「自己評価が低いのも当たり前です。だって私は……性格が悪い……と自覚していますし」
「え?そうなんだ。俺はそうは見えないけど?」
サラリと言ってくれるものだ。本当にこの人は優しい人だと思う。
だけど、そんな優しさが辛いときもあるのだ。彼に奈緒が性格悪い、と感じさせるにはどうしたらいいのだろう。もう辛い。光輝に優しくさせられるのも、それを嬉しいと感じる自分も――。
いっそのこと、嫌いになってくれたら楽になれるかもしれないのに。
「鈴宮さんは優しい子だよ、少なくとも、俺にとってはね」
そう言って笑う。――どうして貴方はいつも私の欲しい言葉をくれるんですか。
こんなにも醜い自分が貴方の隣に立っていてもいいですか?
会うたびに激しくなる鼓動に気づいてはいた。この感情が何なのか、薄々勘づいていた。
でも、そんなこと言えるわけがなかった。言えるはずもない。
「……………ん?あれーー?奈緒じゃーーん」
不意に背後から声をかけられた。振り返るとそこには――
「奈緒ってばまた新しい男引っ掛けてんの?相変わらずだねぇ~。なぁなぁ、そこの彼氏くーん、こいつ詐欺女だぜ。やらせてくれねーし、最悪だぜ?こいつ」
……そこにはいつだったかは忘れたが、付き合っていた男がいた。名前は忘れた。というより興味が無かったから覚えていない。
「(………篠宮くん……どう思っているんだろ……?)」
自分のことを軽蔑しただろうか。幻滅されたかな。そう思うと胸が痛くなった。
「こんな女といたら絶対に不幸になるぜ?彼氏くんも俺らの仲間にならねぇか?」
そう言いながら、ニヤニヤと男は笑う。この男の言うことは間違ってなかった。男を騙していた頃はあったし、男を裏切ったこともある。
だが、もう奈緒はそういうことをする気はない。
奈緒はもう二度と人を傷付けないと決めたのだ。
でも、責められても文句は言えない。奈緒がしてきたことは全て事実であり、消せない過去なのだ。
奈緒は何も言わず俯いていることしかできなかった。
そんなことを思っていると――。
「…え?」
「は?!」
それは一瞬の出来事だった。ふんわりと男の身体が宙に浮く。そしてそのまま地面に叩きつけられた。悲鳴を上げたくなるような鈍い音が響く。
男は潰されたカエルのような声を出しながら、ピクッ、と痙攣しているので意識はあるようだが、先までの迫力はない。
「ぁ……うぇ…あ……」
「おい、お前……今なんつった?鈴宮さんが……何だって?」
光輝の口調は普段の彼からは想像できないほど冷たく、鋭いものだった。
「ひぃ……っ!!」
男の顔から血の気が引いていくが、光輝はゆっくりと近付いていく。
その様子はまるで獲物に狙いを定めた肉食獣のようであった。
「答えろ。鈴宮さんが……何だ?」
「……ぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
恐怖に耐えきれなくなったのか、叫びながら逃げていった。幸い、奈緒と光輝以外にはお客さんはいなかったので騒ぎにはならなかった。
それから暫く沈黙が続いた後、光輝は口を開いた。
「………なんかさ、ムカつくよね。あんな奴に鈴宮さんのこと悪く言われて……なんか腹立つ」
また鼓動が激しくなった。顔が熱い。きっと今の自分は真っ赤になっているだろう。やっぱり、この気持ちは本物だ。
光輝の言葉が嬉しくて、泣きそうになる。この気持ちを奈緒は知っている。もっと触れていたい。側に居たい。
――私は……彼のことが好きだ。
その気持ちを抑えきれず、思わず言ってしまった。
「好き……」
言ってしまった。とうとう言ってしまったのだ。
「…え?」
戸惑う彼を前にして、更に言葉を続ける。
「ずっと前から好きでした。貴方のことを……」
彼は何も言わない。当然だろう。いきなり告白されても困るだけだ。でも、伝えずにはいられなかった。
光輝は少しの間黙っていたが、やがて言った。
「………ごめん……少し考えさせてくれないか」
光輝はそう言って俯いた。
幼馴染み同士の相思相愛で、誰がどう見たってラブラブのカップルだった。幸せそうに笑う二人を見る度に、奈緒の心を蝕んでゆく。
だからあのときの奈緒は嫉妬していたのだ。そして今でも何故自分がこんなことをしているのか分からないでいる。でも、やってしまった。
「貴方が"なるみやー"さんですか?」
不意に後ろから声をかけられた。振り返るとそこには一人の少年がいた。年の頃なら奈緒と同じぐらいだろう。黒髪短髪をワックスか何かでツンと立たせている。少し長めの前髪の間からは鋭い眼光が覗いていた。
「えーと……貴方が"こっしー"ですか?」
奈緒は今やSNS上で知り合った人とオフ会をするようになっていた。最初はネット上の付き合いなど信用していなかったのだが春香との一件があって以来、自暴破棄になっていたのだ。
この相手も例によってネット上で知り合いになった人だった。
「はい。僕はこっしーです」
こっしーと名乗るその人は笑顔を浮かべながら答えた。だが、目は笑ってはいないようだった。
「私は鈴宮奈緒といいます。よろしくお願いしますね。今日は」
一夜限りの関係だ。奈緒はこの人を抱き、処女を捨てる――と自暴自棄になりながらも考えていた。最初はお喋りをしながら食事をするだけだった。そして――、
「ねぇ?期待してたの?」
そう言って腕を掴む彼。その時、急に怖くなって逃げ出したくなった。だけど、もう遅い。彼の手は既に奈緒の腕を掴んでいる。そしてそのまま――。
「おい。彼女が嫌がってるだろ!辞めろよ!」
不意にそんな声が聞こえてきた。見るとそこには男の姿があった。黒髪短髪の男だ。背丈は170センチほどだろうか。年齢は学生服を着ていることから高校生だと分かる。彼はこちらに向かって歩いてきた。
するとこっしーという男は舌打ちをしてその場から離れていった。
「……大丈夫か?」
男が尋ねてくる。それに対して奈緒は何も答えることができなかった。否、何も言えなかったと言う方が正しいかもしれない。ただ黙ったまま俯いていることしかできなかった。
やがて男は口を開いた。
「えーと、とりあえず、落ち着くまで喫茶店とかに……」
そこでようやく奈緒は自分の体が震えていることに気付いた。目の前にいる男の顔を直視することができない。
それから暫く沈黙が続いた後、彼が言った。
「……とりあえず、行こう?」
そう言って手を引いてくる彼に抗うことはできなかった。
△▼△▼
彼の名前は篠宮光輝といった。近くの高校に通う二年生だという。あの日以来、光輝と会う時間が増えた。
別に付き合っているわけではない。でも、この人の側にいるのは安心できた。光輝の側にいると、不思議と心が落ち着けられるのだ。
そんなある日のこと。
「……それでさー、最近のみんな、彼氏とか彼女ができたみたいで……俺だけ取り残されてるんだよなぁ~」
何気のない会話の中でふっと呟かれた言葉だ。愚痴のようなものだと思っていたから適当に相槌を打っていた。
しかし、次の瞬間――、
「ねぇ、鈴宮さんは彼氏いるの?」
突然そんなことを聞かれて驚いた。まさか自分に振ってくるとは思わなかったからだ。
少し迷ったが正直に答えることにした。
いないわよ。好きな人も特にいなくて……。
その返答を聞いた途端、
「へぇー……そうなんだ。意外だな……鈴宮さん美人だしモテそうだと思ったんだけど」
「モテてないわ!告白されたことなんて無いし……それに私なんか全然可愛くないし……」
自分で言いながら悲しくなってきた。最初は可愛いと持て囃されて来たし、その通りだったと思うし、実際今も周りからは綺麗だとよく言われるけど、それは見た目だけだ。
中身は全く違う。私は醜いし汚くて気持ち悪い人間なのだ。だから誰からも好かれるわけがない。春香のように明るく振る舞えないし。
「…鈴宮さんって自己評価低いよね?もっと自信持てば?」
「自己評価が低い……ですか」
昔は自己評価が高いと自負しているところもあったのだが、今はそうでもない。自分のことが嫌いだから仕方が無いのだけれど。
でも、何故かこの人にだけは嫌われたくないと思ってしまう自分がいる。
光輝に出会った以降、春香のことも向き合うようになった。今までは嫉妬の対象でしかなかったのだが、今では普通の友人として接することが出来るようになっている。
親友(笑)じゃなくて本当の親友になれたと思ってるし、これからもずっと仲良くしたいと思っている。春香は大切な親友で親友(笑)じゃない。
「自己評価が低いのも当たり前です。だって私は……性格が悪い……と自覚していますし」
「え?そうなんだ。俺はそうは見えないけど?」
サラリと言ってくれるものだ。本当にこの人は優しい人だと思う。
だけど、そんな優しさが辛いときもあるのだ。彼に奈緒が性格悪い、と感じさせるにはどうしたらいいのだろう。もう辛い。光輝に優しくさせられるのも、それを嬉しいと感じる自分も――。
いっそのこと、嫌いになってくれたら楽になれるかもしれないのに。
「鈴宮さんは優しい子だよ、少なくとも、俺にとってはね」
そう言って笑う。――どうして貴方はいつも私の欲しい言葉をくれるんですか。
こんなにも醜い自分が貴方の隣に立っていてもいいですか?
会うたびに激しくなる鼓動に気づいてはいた。この感情が何なのか、薄々勘づいていた。
でも、そんなこと言えるわけがなかった。言えるはずもない。
「……………ん?あれーー?奈緒じゃーーん」
不意に背後から声をかけられた。振り返るとそこには――
「奈緒ってばまた新しい男引っ掛けてんの?相変わらずだねぇ~。なぁなぁ、そこの彼氏くーん、こいつ詐欺女だぜ。やらせてくれねーし、最悪だぜ?こいつ」
……そこにはいつだったかは忘れたが、付き合っていた男がいた。名前は忘れた。というより興味が無かったから覚えていない。
「(………篠宮くん……どう思っているんだろ……?)」
自分のことを軽蔑しただろうか。幻滅されたかな。そう思うと胸が痛くなった。
「こんな女といたら絶対に不幸になるぜ?彼氏くんも俺らの仲間にならねぇか?」
そう言いながら、ニヤニヤと男は笑う。この男の言うことは間違ってなかった。男を騙していた頃はあったし、男を裏切ったこともある。
だが、もう奈緒はそういうことをする気はない。
奈緒はもう二度と人を傷付けないと決めたのだ。
でも、責められても文句は言えない。奈緒がしてきたことは全て事実であり、消せない過去なのだ。
奈緒は何も言わず俯いていることしかできなかった。
そんなことを思っていると――。
「…え?」
「は?!」
それは一瞬の出来事だった。ふんわりと男の身体が宙に浮く。そしてそのまま地面に叩きつけられた。悲鳴を上げたくなるような鈍い音が響く。
男は潰されたカエルのような声を出しながら、ピクッ、と痙攣しているので意識はあるようだが、先までの迫力はない。
「ぁ……うぇ…あ……」
「おい、お前……今なんつった?鈴宮さんが……何だって?」
光輝の口調は普段の彼からは想像できないほど冷たく、鋭いものだった。
「ひぃ……っ!!」
男の顔から血の気が引いていくが、光輝はゆっくりと近付いていく。
その様子はまるで獲物に狙いを定めた肉食獣のようであった。
「答えろ。鈴宮さんが……何だ?」
「……ぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
恐怖に耐えきれなくなったのか、叫びながら逃げていった。幸い、奈緒と光輝以外にはお客さんはいなかったので騒ぎにはならなかった。
それから暫く沈黙が続いた後、光輝は口を開いた。
「………なんかさ、ムカつくよね。あんな奴に鈴宮さんのこと悪く言われて……なんか腹立つ」
また鼓動が激しくなった。顔が熱い。きっと今の自分は真っ赤になっているだろう。やっぱり、この気持ちは本物だ。
光輝の言葉が嬉しくて、泣きそうになる。この気持ちを奈緒は知っている。もっと触れていたい。側に居たい。
――私は……彼のことが好きだ。
その気持ちを抑えきれず、思わず言ってしまった。
「好き……」
言ってしまった。とうとう言ってしまったのだ。
「…え?」
戸惑う彼を前にして、更に言葉を続ける。
「ずっと前から好きでした。貴方のことを……」
彼は何も言わない。当然だろう。いきなり告白されても困るだけだ。でも、伝えずにはいられなかった。
光輝は少しの間黙っていたが、やがて言った。
「………ごめん……少し考えさせてくれないか」
光輝はそう言って俯いた。
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