当て馬ポジションに転生してしまった件について

四章 〜原作突入〜

九十八話 『困惑』

——学校に行くと、


「あ、月坂」
「あ、如月くん。どうかした？」


如月くんと美穂ちゃんの声が聞こえてきた。如月くん、久しぶりに見たな……暫くは王子のターンだったし


「悪いけど、ちょっといいか？」
「ええ。構わないわ」


如月くんは、美穂ちゃんを連れて教室を出て行った。……美穂ちゃんと何の話だろう？
　

「おはようございます。城ヶ崎さん！」
「花咲さん、おはようございます」


そんなことを思っていると、花咲さんが声をかけてきた。……久しぶりに花咲さんを見たような気がする。


「城ヶ崎さん、久しぶりにお昼を一緒に食べませんか？」
「ええ。いいわよ」
「ありがとうございます！」


……花咲さん、やっぱり可愛いな……この子は今のところ夢にも出てこないし……本当に原作に関わりがない子なんだなぁ。


そういう子、新鮮だわ。今までの子達って、皆原作キャラの誰と関わりがあったり、接点が多かったりしたから。
でも……やっぱり花咲さんを見ていると、何か違和感を感じるのよね……何が変なのかはわからないけど……


「あの、城ヶ崎さん」
「どうしたの？」
「もしよければ、なんですけど……」


花咲さんは少し恥ずかしそうにしながら言った。


「私も、名前で呼んでください！」
「……え？」


予想外の言葉に驚きを隠せなかった。まさかそんな事を言われるとは思わなくて。だって今までそんなこと誰も言わなかったし……


「……ええ。いいわよ。柚葉さん。……で、いいかしら？」
「はい！わ、私も透華様と、お呼びしても——？」
「……ええ。もちろん。」
「ありがとうございます！」


柚葉さんは、本当に嬉しそうに笑った。……可愛いわね。この子も。
　　　　

「……あの、透華様？今日、久しぶりにお昼でもどうです？二人っきりで♡」
「ええ。いいわよ。」


私は彼女の誘いを受けることにした。なんか、語尾にハートが付いている気もするけど、気にしないでおこうと思う。……多分気のせいだと思うし？


それにしても、こんな風に普通に女子高生としての青春を送れるなんて……改めて考えるだけで最高だなぁ…と、私はそう思ったのだった。


△▼△▼


放課後になり、私は帰る準備をしていく。今日は柚葉さんとお昼を食べたけど楽しかった。


やっぱり友達と一緒に食べるご飯って美味しいよね！なんて呑気なことを思っていると、電話が鳴った。


「……ん？誰だろう？」


画面を見ると、そこには“玲奈”と表示されていた。


「れ、玲奈様！？」


何か、久しぶりに、玲奈様を見た気がする。そう思いながらも通話ボタンを押した。


「もしもし？玲奈様？」
『久しぶりねー。透華ちゃん』


数ヶ月ぶりの玲奈様の声は、相変わらず綺麗だった。


『ちょっとお願いしたいことがあるんだけど、いいかしら？』
「はい！もちろん、大丈夫です」
『ありがとう。じゃあ早速だけど、今から言う場所に来てくれるかしら？』
「わかりました。何処です？」


私がそう言うと、玲奈様は——


「……え？」


私は、玲奈様の言葉に困惑した