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1話

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「花子ぉぉぉ、花子ぉぉぉ」

 それは地獄、まさに、生き地獄だった。
 愛を誓った妻が、目の前でじじいに犯されているのだった。
 太郎は憤怒でパンパンになった視線を我が妻を犯すじじいに向ける。
 しかし、どうしようもない無力さも同時に感じていた。
 我が身をポークソテーにされるほどの辛さであった。

 花子と太郎はブタである。
 食肉用のブタだ。
 しかし、ブタであるとしても、愛はあった。
 ふたりは愛し合い、夫婦となった。
 
「あああ、見ないで太郎さん……」

 養豚業者のじじいは生粋の変態である。
 己のケツ穴に一升瓶を深く刺し込み、正常位でブタを犯すことを何よりも楽しみにしている外道だった。

「あああ、いいぞ、花子ぉぉ、可愛いのぉぉ♥」

 やせ細った身体で激しく腰を打ち付ける。
 本気の種付けをする陵辱だった。

「あああ、クソ! オレに力があれば。なぜ、オレはブタなのだ……」

 ブタとして生まれ、食用になっている我が身は仕方ないとしても、愛する妻が毎日犯されるという地獄は太郎にとって耐え難いものであった。
 しかし、養豚業者のじじいは、ブタを犯せば、メスブタの肉は、己が精子を吸収し肉が柔らかくなると信じ、さらにはそれをオスブタに見せ付けることで、腐った情欲を燃え上がらせるという手のつけられない変態だった。

 地獄の光景は続き、阿鼻叫喚のブヒ声がブタ小屋の中に響くのであった。
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