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8.魔法少女は空を飛ぶ その1
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「くさいよぉぉぉ、くさいよぉぉぉ!! 死にそうだよぉぉ!!」
「あああ、ハエがぁぁぁ! このクソバエどもがぁぁ!!」
「水! 水をもってこい!! 早くしろ!!」
「あああ、鼻がまがりそうだよぉぉ!!」
「こんな、くさいにおいは、田舎でもかいだことがないよぉぉ!」
魔法少女ロガシーの魔法で、カキクケ皇国の軍隊は大混乱です。
黄土色のドロドロに全身をつつまれ、そのまわりを数えきれないほどのハエがたかってくるのです。
ミドリ色のテカテカに光った大きなハエです。
「くそぉぉ! からだを洗っても、全然においがおちないぞ!」
「こっちへくるな! くさいぞ! おまえ!」
「あああ、鼻が死にそうだぁぁ!! 肺がくさりそうだあぁぁ!!」
こんなカキクケ皇国の軍勢のようすを、魔法少女ロガシーとアイウエ王国の兵隊さんのサシス・セーソは岩のかげからみていたのです。
カキクケ皇国の兵隊たちは、大混乱で、ふたりに気がつくわけがありませんでした。
「すごいや、ロガシー。でも、このにおい…… いったいなんの魔法なんだい?」
サシスはこれ以上ちかづいたら、見つかるより前に、鼻がくさって落ちるのではないかと思ったのです。
ロガシーの魔法で作ったドロドロの黄土色をした、ヌルヌルの泥沼は、本当に、本当に、本当に、ガチで、まったくもって信じられないほどにくさかったのです。
「ボクの魔法かい。うーん…… 神さまの魔法とでもいえばいいかな」
「神様だって!」
「ああそうだよ。神様の創りだしたモノが、作りだしたものを自由自在にあやつったり、生成(つくりだすこと)できる魔法といえばいいのかな」
「すごいなぁ、ロガシー」
サシスはおどろきました。
だって、魔法というのは風・火・土・水の精霊の力をつかうものだと思っていたからです。
それが、「神様」なのです。神様といえば、この世界で一番えらくて、すごいに決まっています。
神様はこの世界を創って、そして人間だって作ったのです。
精霊だってかなうはずがありません。
サシスだってそれくらいは分かります。
ヌルヌルドロドロの黄土色のシチューかスープのような泥沼は、兵隊たちの体にくっついて、凄いにおいを出しています。体温であたたまりくっさい湯気がでているようでした。
そして、いくら水で洗ってもにおいが全然落ちないのです。
ハエの大軍は、4万5000人以上のカキクケ皇国の軍勢の何倍も数が多そうでした。
ミドリ色に光る吹雪のように、カキクケ皇国の軍隊をつつみ込んでいます。
「あれ?」
「ん、どうしたんだいサシス」
カキクケ皇国の軍隊がきた道をもどりだしたのです。
サシスは、要塞の「秘密の門」から、街道ではない道なき岩山をつっきって、先回りしました。
サシスの本当の役割は、カキクケ皇国の大軍が、王国にせまってくることを知らせる伝令だったのです。
「ここでしばらく止まってしまうかと思ったのに……」
サシスはくさい泥沼を前にしても、カキクケ皇国軍は、なんとかしようとして、ここで立ち止まると思ってました。
泥沼を埋めてしまうとか、いそいで橋をかけるとか…… そんなことをするかなと思っていました。
それくらい、敵はねばり強く王国を攻めてくるのではないかと思っていたのです。
しかし、カキクケ皇国の将軍は「要塞包囲にもどる、いったんもどって残してきた1万人の兵と合流する」と命令したのです。
いったいなぜでしょう。
ロガシーが魔法で作った泥沼は滅茶苦茶くさすぎて、近くにいることができなかったのです。
うめてしまうとか、橋をかけるとかをすれば、くささににガマンできなくなった兵隊を交代で仕事させなければならないのです。でなければ、くさすぎて、兵隊は死んでしまうでしょう。
それには、すごく時間がかかってしまいます。
そういうことで、カキクケ皇国の将軍はこのくさい泥沼をうめるか、橋をかける兵隊5000人を残して、要塞に戻ることにしたのです。
4000万人の兵隊と残した1万人の軍勢で、カキクケ峠の要塞を攻めてほろぼせばいいのです。
そして、後ろの心配がなくなったころには、このくっさい泥沼もうめるか、橋がかかっているでしょう。
カキクケ皇国の将軍はそう考え、軍勢をまた分けて要塞に向かって戻っていくのです。
それは、退却ではなく、要塞にむけた進軍であるとカキクケ皇国の将軍は思いました。
「これは、大変だ! 早く要塞にもどって知らせないと!」
サシスはおおあわてで、走り出そうとしまいした。
「うっ!」
しかし、サシスは急に背中にずきーんというイタみを感じたのです。
それは、とてもいたく背中から頭のてっぺんまで太い針でつらぬかれたようなイタさでした。
「うーん…… くそぉぉ」
「サシス、どうしたの?」
「きのう転んだときのイタみが今でてきたみたいだ」
ぶつけたときは平気でも、あとから急にいたくなってくることはよくあることです。
サシスも、農作業をしているとき、田んぼで転んで、ウシに背中をふみつぶされたことを思い出しました。
あのときも、三か日目くらいから、いたくなったものです。
やさしいサシスはそれでもウシをうらんだりなんてしませんでしたが。
(どうしよう…… 背中がイタくてはしることなんてできそうにない)
カキクケ皇国の軍隊がまたふたつに分かれて、要塞に向かっていることを早くしらせなければいけないのです。
サシスはこまってしまいました。本当に、本当にこまってしまったのです。
「あああ、ハエがぁぁぁ! このクソバエどもがぁぁ!!」
「水! 水をもってこい!! 早くしろ!!」
「あああ、鼻がまがりそうだよぉぉ!!」
「こんな、くさいにおいは、田舎でもかいだことがないよぉぉ!」
魔法少女ロガシーの魔法で、カキクケ皇国の軍隊は大混乱です。
黄土色のドロドロに全身をつつまれ、そのまわりを数えきれないほどのハエがたかってくるのです。
ミドリ色のテカテカに光った大きなハエです。
「くそぉぉ! からだを洗っても、全然においがおちないぞ!」
「こっちへくるな! くさいぞ! おまえ!」
「あああ、鼻が死にそうだぁぁ!! 肺がくさりそうだあぁぁ!!」
こんなカキクケ皇国の軍勢のようすを、魔法少女ロガシーとアイウエ王国の兵隊さんのサシス・セーソは岩のかげからみていたのです。
カキクケ皇国の兵隊たちは、大混乱で、ふたりに気がつくわけがありませんでした。
「すごいや、ロガシー。でも、このにおい…… いったいなんの魔法なんだい?」
サシスはこれ以上ちかづいたら、見つかるより前に、鼻がくさって落ちるのではないかと思ったのです。
ロガシーの魔法で作ったドロドロの黄土色をした、ヌルヌルの泥沼は、本当に、本当に、本当に、ガチで、まったくもって信じられないほどにくさかったのです。
「ボクの魔法かい。うーん…… 神さまの魔法とでもいえばいいかな」
「神様だって!」
「ああそうだよ。神様の創りだしたモノが、作りだしたものを自由自在にあやつったり、生成(つくりだすこと)できる魔法といえばいいのかな」
「すごいなぁ、ロガシー」
サシスはおどろきました。
だって、魔法というのは風・火・土・水の精霊の力をつかうものだと思っていたからです。
それが、「神様」なのです。神様といえば、この世界で一番えらくて、すごいに決まっています。
神様はこの世界を創って、そして人間だって作ったのです。
精霊だってかなうはずがありません。
サシスだってそれくらいは分かります。
ヌルヌルドロドロの黄土色のシチューかスープのような泥沼は、兵隊たちの体にくっついて、凄いにおいを出しています。体温であたたまりくっさい湯気がでているようでした。
そして、いくら水で洗ってもにおいが全然落ちないのです。
ハエの大軍は、4万5000人以上のカキクケ皇国の軍勢の何倍も数が多そうでした。
ミドリ色に光る吹雪のように、カキクケ皇国の軍隊をつつみ込んでいます。
「あれ?」
「ん、どうしたんだいサシス」
カキクケ皇国の軍隊がきた道をもどりだしたのです。
サシスは、要塞の「秘密の門」から、街道ではない道なき岩山をつっきって、先回りしました。
サシスの本当の役割は、カキクケ皇国の大軍が、王国にせまってくることを知らせる伝令だったのです。
「ここでしばらく止まってしまうかと思ったのに……」
サシスはくさい泥沼を前にしても、カキクケ皇国軍は、なんとかしようとして、ここで立ち止まると思ってました。
泥沼を埋めてしまうとか、いそいで橋をかけるとか…… そんなことをするかなと思っていました。
それくらい、敵はねばり強く王国を攻めてくるのではないかと思っていたのです。
しかし、カキクケ皇国の将軍は「要塞包囲にもどる、いったんもどって残してきた1万人の兵と合流する」と命令したのです。
いったいなぜでしょう。
ロガシーが魔法で作った泥沼は滅茶苦茶くさすぎて、近くにいることができなかったのです。
うめてしまうとか、橋をかけるとかをすれば、くささににガマンできなくなった兵隊を交代で仕事させなければならないのです。でなければ、くさすぎて、兵隊は死んでしまうでしょう。
それには、すごく時間がかかってしまいます。
そういうことで、カキクケ皇国の将軍はこのくさい泥沼をうめるか、橋をかける兵隊5000人を残して、要塞に戻ることにしたのです。
4000万人の兵隊と残した1万人の軍勢で、カキクケ峠の要塞を攻めてほろぼせばいいのです。
そして、後ろの心配がなくなったころには、このくっさい泥沼もうめるか、橋がかかっているでしょう。
カキクケ皇国の将軍はそう考え、軍勢をまた分けて要塞に向かって戻っていくのです。
それは、退却ではなく、要塞にむけた進軍であるとカキクケ皇国の将軍は思いました。
「これは、大変だ! 早く要塞にもどって知らせないと!」
サシスはおおあわてで、走り出そうとしまいした。
「うっ!」
しかし、サシスは急に背中にずきーんというイタみを感じたのです。
それは、とてもいたく背中から頭のてっぺんまで太い針でつらぬかれたようなイタさでした。
「うーん…… くそぉぉ」
「サシス、どうしたの?」
「きのう転んだときのイタみが今でてきたみたいだ」
ぶつけたときは平気でも、あとから急にいたくなってくることはよくあることです。
サシスも、農作業をしているとき、田んぼで転んで、ウシに背中をふみつぶされたことを思い出しました。
あのときも、三か日目くらいから、いたくなったものです。
やさしいサシスはそれでもウシをうらんだりなんてしませんでしたが。
(どうしよう…… 背中がイタくてはしることなんてできそうにない)
カキクケ皇国の軍隊がまたふたつに分かれて、要塞に向かっていることを早くしらせなければいけないのです。
サシスはこまってしまいました。本当に、本当にこまってしまったのです。
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