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25.人を破壊するのが好きなんだ
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最悪だった。
意識を失った瞬間、長い脚がボクの身体にまきついてきた。
後ろから――
そしてキュッと首を絞められた。
寝技の状態、裸絞めと胴絞めで、ボクの身体は絡め捕られていた。
「殺してやる――」
薄れゆく意識の中、首に巻きついた腕の力が跳ね上がる。
まるで、大蛇に締め付けられているような――
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
「はぁはぁはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」
ボクは裸絞めから脱出していた。
ザラザラした喉を熱い呼気が通過していく。
本当に、あと一瞬で、ボクは死んでいたかもしれない。
この金髪プリンは裸絞めをしながら、顎を基点に、頚椎をへし折ろうとしたんだ。
逆に、それだから少しだけ呼吸や血流に余裕ができたのかもしれない。
「あははははははは……」
ボクはよろよろと立ち上がって、力なく笑った。
そして、血まみれになっている人差し指を舐めた。
鉄の味がした。
「てめぇぇぇ―― 眼をぉぉ、眼を突きやがってぇぇぇ!」
片目を押さえ、蹲っている金髪プリンが、呻くように言った。
ルールなし、素手であること以外なんでもありの戦いの場で何を言っているんだろう?
――眼を突ける位置に頭を置く方が悪い。
と、ボクは思ったというより、本当に当たり前の感覚として常識としてそう感じた。
「普通、躊躇なく目を突くかよ……」
「だって、ここではいいんだよ。全部やって。だからボクの眼を突いてもいいんだ」
「てめぇ……狂ってやがる」
「狂気を持ってない人がこんなとこ来るのが間違っているよ」
ボクは眼窩から太い血を流している女の顔面を蹴った。
眼を押さえていないほうの手でガードしたけど、関係なかった。
あははは――
赤いペンキを頭からかぶったみたいに顔面が血まみれになっている。
ボクの足にも返り血がとんだ。まあ、気にしないけど。
「さっき、卵巣を打たれたの痛かったなぁ」
ボクは思い切り下っ腹の子宮を蹴った。
その衝撃で、おそらく子宮に格納していた卵巣が飛び出した。
皮膚の下に卵形の卵巣の形が浮き上がった。
あはははははは――
ボクはそこに手を当てた。
身体を最速でスピンさせる。氷上のスケーターより速く。
耳朶に風を斬る音を感じ、生じた全エネルギーを卵巣に叩き込んでやった。
「げぼぉぉぉぉぉぉぉ!!」
金髪プリンは反吐を吐きながら吹っ飛んだ。
試合終了の知らせがイヤホンから聞こえた。
ボクは二勝目を上げた。
◇◇◇◇◇◇
一戦目と二戦目の戦いで結構な金額を手にすることが出来た。
お金を獲得することが目的じゃないのだけども、数百万円のお金を手にすれば、少しは浮かれる。
それに、今までボク自身も知らなかったのだけど、ボクは相手をぶちのめして血まみれにして蹂躙するのが大好きなようだった。
女体化して、精神に影響が出たんじゃんじゃないだろう。これがボク自身なんだという確信があった。
――先生と同じだ。ボクは先生と同じなんだ。
地下闘技場に君臨する、百鬼先生の容赦のない戦い方。
あれを見て震えた。
そして、ボクは先生と精神的に同じ場所に立っていることを感じたんだ。
人の肉体を徹底的に破壊することが大好きな人間。
それが、女体化したボク。そして、先生なんだ。
「オレは銭はいらねーよ。どっちかってーと、乳もませてほしい」
論師匠は本気でそう思っているようだった。
ボクが女体化した元男の子であることは論師匠は知らない。
「で、二勝したって、戦いはどんなだったのよ?」
ボクは自分で説明できる限りは、説明した。
相手の目玉を穿ったことも、卵巣に「鬼雷崩」をぶちこんだことも。
「ふーん、師匠様としては、弟子の戦いを見たいところであるなぁ」
と、ボクの話を聞いて興味を示す。
師匠は鼻の穴を多きくして、血まみれになる女の子の話を聞いていた。
この人も、生粋の武道家で、尋常な精神の持ち主ではないことは明らかだった。
精神の成長とか、人格の形成とか、お題目よりも「人」を「破壊」することが大好きなんだ。
「じゃあ、なんとかネット中継見れるようにしますよ」
「お、そんな便利なものがあるのか」
ボクはスマホのアプリを起動して、トーク機能で秩父賀さんに連絡をいれた。
間を置かず返事があった。
「師匠」
「ん?」
「地下闘技場のプロモータさんが会いたいって」
「オレに?」
「そう、それに、晶姉も」
ボクと師匠、従姉の晶姉が、地下闘技場のプロモータである秩父賀美礼と会うことになった。
意識を失った瞬間、長い脚がボクの身体にまきついてきた。
後ろから――
そしてキュッと首を絞められた。
寝技の状態、裸絞めと胴絞めで、ボクの身体は絡め捕られていた。
「殺してやる――」
薄れゆく意識の中、首に巻きついた腕の力が跳ね上がる。
まるで、大蛇に締め付けられているような――
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
「はぁはぁはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」
ボクは裸絞めから脱出していた。
ザラザラした喉を熱い呼気が通過していく。
本当に、あと一瞬で、ボクは死んでいたかもしれない。
この金髪プリンは裸絞めをしながら、顎を基点に、頚椎をへし折ろうとしたんだ。
逆に、それだから少しだけ呼吸や血流に余裕ができたのかもしれない。
「あははははははは……」
ボクはよろよろと立ち上がって、力なく笑った。
そして、血まみれになっている人差し指を舐めた。
鉄の味がした。
「てめぇぇぇ―― 眼をぉぉ、眼を突きやがってぇぇぇ!」
片目を押さえ、蹲っている金髪プリンが、呻くように言った。
ルールなし、素手であること以外なんでもありの戦いの場で何を言っているんだろう?
――眼を突ける位置に頭を置く方が悪い。
と、ボクは思ったというより、本当に当たり前の感覚として常識としてそう感じた。
「普通、躊躇なく目を突くかよ……」
「だって、ここではいいんだよ。全部やって。だからボクの眼を突いてもいいんだ」
「てめぇ……狂ってやがる」
「狂気を持ってない人がこんなとこ来るのが間違っているよ」
ボクは眼窩から太い血を流している女の顔面を蹴った。
眼を押さえていないほうの手でガードしたけど、関係なかった。
あははは――
赤いペンキを頭からかぶったみたいに顔面が血まみれになっている。
ボクの足にも返り血がとんだ。まあ、気にしないけど。
「さっき、卵巣を打たれたの痛かったなぁ」
ボクは思い切り下っ腹の子宮を蹴った。
その衝撃で、おそらく子宮に格納していた卵巣が飛び出した。
皮膚の下に卵形の卵巣の形が浮き上がった。
あはははははは――
ボクはそこに手を当てた。
身体を最速でスピンさせる。氷上のスケーターより速く。
耳朶に風を斬る音を感じ、生じた全エネルギーを卵巣に叩き込んでやった。
「げぼぉぉぉぉぉぉぉ!!」
金髪プリンは反吐を吐きながら吹っ飛んだ。
試合終了の知らせがイヤホンから聞こえた。
ボクは二勝目を上げた。
◇◇◇◇◇◇
一戦目と二戦目の戦いで結構な金額を手にすることが出来た。
お金を獲得することが目的じゃないのだけども、数百万円のお金を手にすれば、少しは浮かれる。
それに、今までボク自身も知らなかったのだけど、ボクは相手をぶちのめして血まみれにして蹂躙するのが大好きなようだった。
女体化して、精神に影響が出たんじゃんじゃないだろう。これがボク自身なんだという確信があった。
――先生と同じだ。ボクは先生と同じなんだ。
地下闘技場に君臨する、百鬼先生の容赦のない戦い方。
あれを見て震えた。
そして、ボクは先生と精神的に同じ場所に立っていることを感じたんだ。
人の肉体を徹底的に破壊することが大好きな人間。
それが、女体化したボク。そして、先生なんだ。
「オレは銭はいらねーよ。どっちかってーと、乳もませてほしい」
論師匠は本気でそう思っているようだった。
ボクが女体化した元男の子であることは論師匠は知らない。
「で、二勝したって、戦いはどんなだったのよ?」
ボクは自分で説明できる限りは、説明した。
相手の目玉を穿ったことも、卵巣に「鬼雷崩」をぶちこんだことも。
「ふーん、師匠様としては、弟子の戦いを見たいところであるなぁ」
と、ボクの話を聞いて興味を示す。
師匠は鼻の穴を多きくして、血まみれになる女の子の話を聞いていた。
この人も、生粋の武道家で、尋常な精神の持ち主ではないことは明らかだった。
精神の成長とか、人格の形成とか、お題目よりも「人」を「破壊」することが大好きなんだ。
「じゃあ、なんとかネット中継見れるようにしますよ」
「お、そんな便利なものがあるのか」
ボクはスマホのアプリを起動して、トーク機能で秩父賀さんに連絡をいれた。
間を置かず返事があった。
「師匠」
「ん?」
「地下闘技場のプロモータさんが会いたいって」
「オレに?」
「そう、それに、晶姉も」
ボクと師匠、従姉の晶姉が、地下闘技場のプロモータである秩父賀美礼と会うことになった。
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