悪役令嬢はヒロインを攻略し百合妊娠させることにしました

中七七三

文字の大きさ
3 / 4

3.百合妊娠のスキル

しおりを挟む
「神様?」

「はい、そうです」

 わたしの部屋に現れた神様は、なにか神様らしくはなかった。
 でも、いきなり人の部屋に出現できるというのは、少なくとも通常の人ではない。
 ここは乙女ゲームの世界だし、そのような神がいるのかもしれない。

「本当に神様なら、なんでわたしは悪役令嬢なんですか!?」

「本当にすまない。ヒューマンエラーならぬゴッドエラーです」

「それは、バグ? 不具合?」

「いえいえいえ、仕様的な、なんといいますか、網羅テスト漏れといいますか――」

 まるで、クライアントに責められたSEのように言い訳する。
 本当に神なのだろうか。

「神です。その証拠にほら、あなたに対する他のキャラの好感度もみれます!」

 空間にオレンジに光るウィンドが現れた。
 キャラ名と「好感度」が一覧になっている。
 元のゲームではそんな画面はなかった。
 好感度は会話のやりとりで判断するしかなかったのだ。

 でも――

「ひ、低いわね……」

 悲惨なほどに低い。
 わたしの好感度はFラン大の偏差値どころの話じゃない。
 王子がリストの先頭にあったけど、好感度が「15/100」となっている。
 どうみても、あと一週間で挽回できる数値じゃない。
 それでも、他のキャラに比べればマシな感じだった。

「ソートしてみますね。好感度が高い順に」

 神様がそういうと、リストが並び代わった。

「え? なに? なんで?」

「今のところ、一番好感度が高いのはヒロインのアリーサですね――」

 驚くしかない。
 あれだけ徹底的にいじめぬいた相手が一番、わたしへの好感度が高いなんて……

「あ、別に彼女の性癖のせいではないです。健全な世界ですからここは!」

 誰もそんなことを言っていないのに説明する神様。

「なんで、こんなに高いの?」

「ヒロイン、むっちゃ優しいから、いじめられても相手を思いやるから。もう性格がマザーテレサレベル?」

「しらん! 誰それ」

「まあ、いいです。とにかく良い娘で、虐めを受けている相手ですら『なにか理由があるのかしら?』、『ああ、わたしがいけないのかしら』と考えがちになる乙女なんです」

「だから、好感度が下がりにくい?」

「そうです」

 しかし、いくら好感度がそこそこ残っていても、相手は女の子でヒロインだ。
 王子に恋して、王子と結ばれるルートを突き進む存在だ。
 わたしに何をどうすれんばいいというのだろう?

「お詫びのしるしとして、あなたにチートなスキルを与えます」

「チートなスキルって?」

「はい『百合妊娠』のスキルです」

 さっき、神はこの世界を「健全」と言ったような気がしたけど幻聴だったのだろうか?
 わたしはめまいがしてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

処理中です...