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13話:激しく淫らなキス

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 響はこの異常な状況に酔っていたのかもしれない。
 どうやって、家まで歩いてきたのか分らない。
 悠真と一緒に自宅に向かっている。
 誰に見られているか分らないという状況そのものが、響の情欲を刺激していた。

 自分が教鞭を勤める高校――
 その生徒を家に招き入れるのだ。
 しかも、親と同居している家なのだ。
 今の時間は留守とはいえ、いつ帰ってくるか? 確実なことは言えない。
 
 小学校時代の甘く切ない思いが蘇る。
 そしてその後の母の叱責――
 母が自分をどう見ているか――
 あれ以来、母との関係は良くない。 

『アンタみたいなのに、よく教師がつとまるわね――』
『一人暮らし? アンタみたいなのを一人暮らしさせられるわけないでしょ――』
 
 それはそうだ。
 母の方が正しい。
 
(私は変だ。おかしい…… でも)

 響は、自分でも異常なことをしているは分かっていた。
 ただ、その異常さが、響を抜け難い情欲の闇の中に引きずり込んでいく。
 抗い難い妖しい魅力をもって……

 響の隣、程よい距離間で悠真は歩いていた。
 横目で悠真を見る。
 中性的な…… 女の子のような白い肌と、サラリとした髪の少年。

 響はこの少年のことをどう思っているのか?
 分らなかった。
 ただ、今は――
 今は、この少年の肉体だけが無性に欲しくなっていた。

 教師であるとか、生徒であるとか関係なかった。

 響はただ雌となっていた。

        ◇◇◇◇◇◇

「さあ、入って」

「お邪魔します」

 悠真は響について玄関を上がった。
 心臓が頭に移動したみたいに、ドキドキしていた。
 本当に普通の一軒家だった。

(先生は独身だったはずだし――)

 悠真は響の家族構成は知らなかった。
 ただ、自然に独身の大人は一人暮らしをするものだと思っていた。
 でも、家は一戸建てだ。 

「せ、先生は、おひとりで住んでいるんですか?」

 鼓動の音が響く中、胸の内にあった疑問を口にした。
 口の中がカラカラに乾いていたのに今気づいた。

「いいえ、母と一緒よ」

 響はすっと悠真の靴を玄関のたたきの下に隠した。

「え?」

「帰って来るのは遅い時間だから、今はいないわ――」

 悠真の脈がいっそう早くなる。

「先生じゃあ……」

「今は誰もいない。この意味は分るでしょ。二階が私の部屋」

 ふたりは、響の部屋の中に入る。

(ここが、響先生の部屋か…… なんかいい匂いがするし、どうしよう…… あれを、やっぱりあの続きを……)

 悠真は童貞を奪われた日のことを思い出した。
 響に逆レイプのように、搾り取られたことを……
 最初は戸惑っていた。でも、時間がたつと先生のことが余計に忘れることができなくなった。
 
「あうっ…… せ、先生」

 響がすっと悠真を抱き寄せる。
 ふたりの身長は、響の方がやや高いくらいだ。
 甘い吐息が悠真の唇にかかってきた。
 バラの花弁のような唇が迫ってくる。
 心臓が限界を超え、破裂しそうだった。

 まるで、捕食されるかのように、悠真は唇を奪われた。
 年上の女教師に食べられることを望んだのだ。
 自分が、この美しい教師に捧げられる生贄のようだと思った。
 
(ああ…… いいわ。悠真君。ああ、駄目、私変になっている。濡れてる…… 凄く濡れている)

 響は自分のパンティがヌルヌルに濡れていることに気づいていた。

 唇が触れると同時に舌が絡みつく。
 響は若いオスの粘膜を貪るようにして、舌を絡めてきた。
 お互いの粘膜を絡ませあい、唾液を混ぜあい、すする。
 それは激しい官能の焔を起こさせるキスだった。

「あふっ…… んあんッ♥」

 響は唇を貪りながら、スーツを脱ぎ、下着姿となった。
 すっと唇を離すと「来て」と甘い呼気ともに、言葉を漏らした。
 悠真の手を握り、ブラの中に差し入れたのだった。

(あふぁ、せ、先生ぇ、先生のおっぱい…… ああ、こんな、こんな柔らかい。ああ)

 童貞を失ったときは、響の胸の感触を楽しむ余裕も無かった。
 今は、その柔らかさ、温かさを指に感じていた。
 
 ふたりは身体を密着させ、キスの続きをした。
 ズルズルとお互いの口をすする音が響いていた。

「さあ、ベッドに来て……」

 響は悠真をベッドに誘うのであった。  
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