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プロローグ
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高校を卒業してすぐ、三好冷衣は地元を出た。
三万円が入った貯金通帳と、携帯電話だけを握りしめて、母とその恋人から逃げきることだけを目的に、とにかく地元から遠く離れた土地へ。
母の恋人は冷衣が十八歳になるまでに何度も何度も変わったが、そのほぼすべての男が母にも冷衣にも暴力をふるった。
最後の男と冷衣が一緒に暮らしたのは、たった一か月だったが、こいつは体中に入れ墨の入ったチンピラだった。
こいつは殴りこそしなかったが、常に威圧的で粗暴で母と冷衣の稼ぎに寄生するヒモで、母と彼は喧嘩が絶えなかった。
恐らく、キャバクラで働く母の稼ぎだけでは満足しないだろうから、冷衣が家を出たら母とも別れるだろう。そしたら、母はまた別のクズ男を見つけ、そのクズ男に搾取されながら生きる……そんな母を間近で見続けることに、冷衣はいい加減耐えられなかった。
だから、家を出た。
それに、冷衣が高校生になったころから、母は時おり冷衣のことを薄気味悪い目で見つめるようになっていたから、そのことも耐えられなかったのだ。冷衣にとって、母は大好きなお母さんであり、女としての母の願望に応えることはできなかったから……。
遠く離れた土地で、冷衣は職を転々としながら、飲食店を何店舗も経営しているという男に居酒屋で働いているときに誘われ、二十二歳でホストクラブで働くようになった。
接客業は冷衣の性に合っていたようで、すぐに人気が出て、その店のナンバー2になった。
そして、二十五歳の時に、客として来ていた女と急速に親しくなり、彼女と同棲。女には十歳になる息子がいた。
息子、佳吾は冷衣にすぐに懐いてくれて、一年間は何事もなく三人で楽しく暮らしていたが、二年目に入ったあたりから、彼女の帰宅が極端に遅くなり、とうとう朝帰りをすることが当たり前になる。その頃から喧嘩が絶えなくなり、冷衣が問い詰めると、とうとう浮気していることを白状し、同棲し始めて三年目になる直前、彼女は浮気相手の男と逃げた。
一人息子である佳吾を、冷衣のもとに残して……。
〇 〇
春の風が、まだ冷たさを残している三月の終わり。
昼過ぎのカフェで、冷衣は佳吾を待っていた。
数日前、佳吾は大学を無事に卒業し、この春からとある企業で働くことが決まっている。今日は佳吾の卒業&就職おめでとう会と称して、二人で一泊二日の小旅行へ出掛ける予定となっていた。
あの小さかった佳吾が、いつの間にか二十二歳……立派な男になって、とうに冷衣の身長も追い抜かした。
十年前、早朝に帰宅した冷衣を待っていたのは、リビングダイニングのソファーでポツンと座り、テレビを見ながらトーストをひとりで食べている佳吾の小さな背中で、彼女はまだ帰っていないのか……と思った冷衣は、佳吾に特に声をかけることなく風呂に入った。
出てきた時にはすでに佳吾の姿はなく、ソファーの前のローテーブルの上に、チラシの切れ端を使ったメモ書きが置いてあった。
”お母さん 出て行った”
彼女が出て行ったことには、それほど驚きも怒りもなかった。
最近は喧嘩ばかりだったし、何より彼女は浮気していた……大方、その浮気相手と逃げたのだろう、としか冷衣は思わなかった。が、問題はそこではない。
彼女が出て行ったのなら、佳吾はなぜここにいる?
夕方、学校から帰ってきた佳吾に『お母さん、そのうち迎えに来るって言ってたよ』と言われ、ひとまず安心したが、そこから待てど暮らせど彼女が佳吾を迎えに来ることはないまま、十年が過ぎた。
ホスト仲間に相談したら、施設に預ければ?や、お前の子じゃないんだから、お前が面倒を見る義務はないだろう、と言われたが、冷衣は色々と悩んだ末、佳吾本人の意思に任せることにした。
佳吾本人は、実の父親の所在も知らないし、親戚も知らない。となると、まずは警察に相談して、次は児相に相談して、生きているなら実父、逃げた母親を見つけて……と、手続きの面倒さを考えるだけで、冷衣は気が遠くなる思いだった。
それに、この国の“実の親の権力”は絶大だ。もし、警察が彼女を見つけたら、まだ幼い佳吾は強制的に彼女の元へ行かされてしまうだろう。もし、彼女が佳吾の引き取りを拒否したら、佳吾は児童養護施設へ一時保護ということになり、学校も転校することになるかもしれない。などなど、色々と悩んだ冷衣は、勇気を出して佳吾本人に尋ねてみた。
お前はどうしたい?このままここで母ちゃんを待つか?
佳吾は、さして悩む様子もなく即答した。『うん、ここで待つ。中学を出たら働くよ。迷惑はかけないから』と、力強く言った。
気持ちだけ受け取っておくよ、と冷衣は佳吾の頭をくしゃくしゃとかき混ぜ、それから生活を整えることにした。
まず、自分をホストとしてスカウトした武藤に、昼の仕事に変わりたい、と相談。武藤に事情を説明すると、彼の事務所の社員として雇ってくれることとなった。
月の収入は減ったが、大人ひとり子ひとりで暮らしていく分には充分で、朝九時出勤、夜十七時退勤の勤務形態が何よりありがたかった。
これまでは、彼女が昼の仕事、自分が夜の仕事、でバランスが取れていたからよかったが、冷衣がひとりで佳吾と暮らしていくとなったら、朝に佳吾と一緒に家を出て、帰ってくる時間帯も大体同じ夕方くらい……という生活のほうがいいだろう、と考えた末の選択だった。
父親……だなんて、そんな大層なものになれた実感はないが、幸いにも、大きな喧嘩はなく、こうして二人で旅行に出掛けよう、と計画できる程度には良好な関係を築くことができた。冷衣自身は、佳吾を息子だと思っていた。
一時、軽い反抗期のようなものはあったが、すぐに元に戻った。そして、もうすぐこの冷衣の子育ても終わりを迎える……。
やれるだけのことは、やってきた。立派に育ってくれて、本当によかった……。
そのように思いながら冷衣は、ふと顔を上げる。と、そのタイミングでカフェの出入り口から人が入ってくるのが見えた。黒いデニムに、白いハイネック、グレーのチェスターコートをひるがえしながら、一九〇センチ近くの見事な体躯の若い男が、こちらへ笑顔で歩いてくる。こうして外で見ると、その精悍さが際立っていた。
加坂佳吾。冷衣の唯一の家族であり、冷衣の”可愛いうちの子”だ。
「冷衣ちゃん」
体は大きくなり、すっかり大人の男になったが、この呼び方は小さい頃から変わらない。佳吾、と名を呼ぶと、彼の笑みが一層深くなった。
「ごめん、待った?」
まるでデートの待ち合わせみたいなことを言う佳吾がおかしくて、冷衣は「ふふ…」と笑う。なに、なにかおかしい?と笑いながら、佳吾は冷衣の向かいに腰かけた。すぐに店員が注文を聞きにやって来る。佳吾は「カプチーノを」と告げた。
「パーティーはどうだった?」
今日の朝から昼にかけて、佳吾は大学の友人たちと卒業記念パーティーを開いていた。パーティーと銘打っているが、それほど大げさなものではない。就職が決まった仲の良い数人で、言い出しっぺのマンションに集まり、皆で食べ物や飲み物を持ち寄っての宴会だ。今は、ちょうどいい食後のコーヒータイムだった。
「みんな盛り上がっていたよ。もう、ぐっちゃぐちゃだ」
呆れているような、心底楽しんでいるような佳吾のくだけた雰囲気に、つられて冷衣も笑顔になる。しかし、酒を飲んだ様子のない佳吾に『佳吾は飲まなかったのか?』と尋ねた。
「だって、俺も運転したいもん」
予約した温泉宿まで、車で二時間半。これまで、車でどこかへ出かけるときは、すべて冷衣が運転していた。十八歳のときに佳吾も免許を取得したが、なんとなく、二人で車に乗るときは自然と冷衣が運転席に座ることが当たり前だった。
「んー、そうか?じゃあ、半分ずつ運転するか?旅館まで二時間半かかるから、一時間ずつ」
うん!と、佳吾が嬉しそうに肯いたタイミングで、カプチーノが運ばれてきた。佳吾が運んできてくれた店員に『どうも』と笑顔で礼を言うと、女の店員は嬉しげに微笑んで会釈し、ほんのちょっとルンルンで離れていった。
冷衣は、店員の気持ちがよく分かる。親のひいき目かもしれないが、佳吾はハンサムだ。背が高く、モデルのようでありスポーツ選手のようでもある体躯と、流行りに左右されない黄金比を有した美形である。街を歩けば、複数の人がふり返っているのを冷衣はどこか誇らしい気持ちで見ていた。
ちょっとニヤニヤしている冷衣に、佳吾が『なに……俺の顔なんかついてる?』と、問うが、冷衣は『いいや、別に……』と言うだけで、それ以上は何も言わない。ただ静かに目を伏せ、冷めたコーヒーをすすった。
だから、冷衣は気づかない。長い睫毛が頬に影を作るその顔を、佳吾がとろけるような眼で見つめていることを……。
〇 〇
三万円が入った貯金通帳と、携帯電話だけを握りしめて、母とその恋人から逃げきることだけを目的に、とにかく地元から遠く離れた土地へ。
母の恋人は冷衣が十八歳になるまでに何度も何度も変わったが、そのほぼすべての男が母にも冷衣にも暴力をふるった。
最後の男と冷衣が一緒に暮らしたのは、たった一か月だったが、こいつは体中に入れ墨の入ったチンピラだった。
こいつは殴りこそしなかったが、常に威圧的で粗暴で母と冷衣の稼ぎに寄生するヒモで、母と彼は喧嘩が絶えなかった。
恐らく、キャバクラで働く母の稼ぎだけでは満足しないだろうから、冷衣が家を出たら母とも別れるだろう。そしたら、母はまた別のクズ男を見つけ、そのクズ男に搾取されながら生きる……そんな母を間近で見続けることに、冷衣はいい加減耐えられなかった。
だから、家を出た。
それに、冷衣が高校生になったころから、母は時おり冷衣のことを薄気味悪い目で見つめるようになっていたから、そのことも耐えられなかったのだ。冷衣にとって、母は大好きなお母さんであり、女としての母の願望に応えることはできなかったから……。
遠く離れた土地で、冷衣は職を転々としながら、飲食店を何店舗も経営しているという男に居酒屋で働いているときに誘われ、二十二歳でホストクラブで働くようになった。
接客業は冷衣の性に合っていたようで、すぐに人気が出て、その店のナンバー2になった。
そして、二十五歳の時に、客として来ていた女と急速に親しくなり、彼女と同棲。女には十歳になる息子がいた。
息子、佳吾は冷衣にすぐに懐いてくれて、一年間は何事もなく三人で楽しく暮らしていたが、二年目に入ったあたりから、彼女の帰宅が極端に遅くなり、とうとう朝帰りをすることが当たり前になる。その頃から喧嘩が絶えなくなり、冷衣が問い詰めると、とうとう浮気していることを白状し、同棲し始めて三年目になる直前、彼女は浮気相手の男と逃げた。
一人息子である佳吾を、冷衣のもとに残して……。
〇 〇
春の風が、まだ冷たさを残している三月の終わり。
昼過ぎのカフェで、冷衣は佳吾を待っていた。
数日前、佳吾は大学を無事に卒業し、この春からとある企業で働くことが決まっている。今日は佳吾の卒業&就職おめでとう会と称して、二人で一泊二日の小旅行へ出掛ける予定となっていた。
あの小さかった佳吾が、いつの間にか二十二歳……立派な男になって、とうに冷衣の身長も追い抜かした。
十年前、早朝に帰宅した冷衣を待っていたのは、リビングダイニングのソファーでポツンと座り、テレビを見ながらトーストをひとりで食べている佳吾の小さな背中で、彼女はまだ帰っていないのか……と思った冷衣は、佳吾に特に声をかけることなく風呂に入った。
出てきた時にはすでに佳吾の姿はなく、ソファーの前のローテーブルの上に、チラシの切れ端を使ったメモ書きが置いてあった。
”お母さん 出て行った”
彼女が出て行ったことには、それほど驚きも怒りもなかった。
最近は喧嘩ばかりだったし、何より彼女は浮気していた……大方、その浮気相手と逃げたのだろう、としか冷衣は思わなかった。が、問題はそこではない。
彼女が出て行ったのなら、佳吾はなぜここにいる?
夕方、学校から帰ってきた佳吾に『お母さん、そのうち迎えに来るって言ってたよ』と言われ、ひとまず安心したが、そこから待てど暮らせど彼女が佳吾を迎えに来ることはないまま、十年が過ぎた。
ホスト仲間に相談したら、施設に預ければ?や、お前の子じゃないんだから、お前が面倒を見る義務はないだろう、と言われたが、冷衣は色々と悩んだ末、佳吾本人の意思に任せることにした。
佳吾本人は、実の父親の所在も知らないし、親戚も知らない。となると、まずは警察に相談して、次は児相に相談して、生きているなら実父、逃げた母親を見つけて……と、手続きの面倒さを考えるだけで、冷衣は気が遠くなる思いだった。
それに、この国の“実の親の権力”は絶大だ。もし、警察が彼女を見つけたら、まだ幼い佳吾は強制的に彼女の元へ行かされてしまうだろう。もし、彼女が佳吾の引き取りを拒否したら、佳吾は児童養護施設へ一時保護ということになり、学校も転校することになるかもしれない。などなど、色々と悩んだ冷衣は、勇気を出して佳吾本人に尋ねてみた。
お前はどうしたい?このままここで母ちゃんを待つか?
佳吾は、さして悩む様子もなく即答した。『うん、ここで待つ。中学を出たら働くよ。迷惑はかけないから』と、力強く言った。
気持ちだけ受け取っておくよ、と冷衣は佳吾の頭をくしゃくしゃとかき混ぜ、それから生活を整えることにした。
まず、自分をホストとしてスカウトした武藤に、昼の仕事に変わりたい、と相談。武藤に事情を説明すると、彼の事務所の社員として雇ってくれることとなった。
月の収入は減ったが、大人ひとり子ひとりで暮らしていく分には充分で、朝九時出勤、夜十七時退勤の勤務形態が何よりありがたかった。
これまでは、彼女が昼の仕事、自分が夜の仕事、でバランスが取れていたからよかったが、冷衣がひとりで佳吾と暮らしていくとなったら、朝に佳吾と一緒に家を出て、帰ってくる時間帯も大体同じ夕方くらい……という生活のほうがいいだろう、と考えた末の選択だった。
父親……だなんて、そんな大層なものになれた実感はないが、幸いにも、大きな喧嘩はなく、こうして二人で旅行に出掛けよう、と計画できる程度には良好な関係を築くことができた。冷衣自身は、佳吾を息子だと思っていた。
一時、軽い反抗期のようなものはあったが、すぐに元に戻った。そして、もうすぐこの冷衣の子育ても終わりを迎える……。
やれるだけのことは、やってきた。立派に育ってくれて、本当によかった……。
そのように思いながら冷衣は、ふと顔を上げる。と、そのタイミングでカフェの出入り口から人が入ってくるのが見えた。黒いデニムに、白いハイネック、グレーのチェスターコートをひるがえしながら、一九〇センチ近くの見事な体躯の若い男が、こちらへ笑顔で歩いてくる。こうして外で見ると、その精悍さが際立っていた。
加坂佳吾。冷衣の唯一の家族であり、冷衣の”可愛いうちの子”だ。
「冷衣ちゃん」
体は大きくなり、すっかり大人の男になったが、この呼び方は小さい頃から変わらない。佳吾、と名を呼ぶと、彼の笑みが一層深くなった。
「ごめん、待った?」
まるでデートの待ち合わせみたいなことを言う佳吾がおかしくて、冷衣は「ふふ…」と笑う。なに、なにかおかしい?と笑いながら、佳吾は冷衣の向かいに腰かけた。すぐに店員が注文を聞きにやって来る。佳吾は「カプチーノを」と告げた。
「パーティーはどうだった?」
今日の朝から昼にかけて、佳吾は大学の友人たちと卒業記念パーティーを開いていた。パーティーと銘打っているが、それほど大げさなものではない。就職が決まった仲の良い数人で、言い出しっぺのマンションに集まり、皆で食べ物や飲み物を持ち寄っての宴会だ。今は、ちょうどいい食後のコーヒータイムだった。
「みんな盛り上がっていたよ。もう、ぐっちゃぐちゃだ」
呆れているような、心底楽しんでいるような佳吾のくだけた雰囲気に、つられて冷衣も笑顔になる。しかし、酒を飲んだ様子のない佳吾に『佳吾は飲まなかったのか?』と尋ねた。
「だって、俺も運転したいもん」
予約した温泉宿まで、車で二時間半。これまで、車でどこかへ出かけるときは、すべて冷衣が運転していた。十八歳のときに佳吾も免許を取得したが、なんとなく、二人で車に乗るときは自然と冷衣が運転席に座ることが当たり前だった。
「んー、そうか?じゃあ、半分ずつ運転するか?旅館まで二時間半かかるから、一時間ずつ」
うん!と、佳吾が嬉しそうに肯いたタイミングで、カプチーノが運ばれてきた。佳吾が運んできてくれた店員に『どうも』と笑顔で礼を言うと、女の店員は嬉しげに微笑んで会釈し、ほんのちょっとルンルンで離れていった。
冷衣は、店員の気持ちがよく分かる。親のひいき目かもしれないが、佳吾はハンサムだ。背が高く、モデルのようでありスポーツ選手のようでもある体躯と、流行りに左右されない黄金比を有した美形である。街を歩けば、複数の人がふり返っているのを冷衣はどこか誇らしい気持ちで見ていた。
ちょっとニヤニヤしている冷衣に、佳吾が『なに……俺の顔なんかついてる?』と、問うが、冷衣は『いいや、別に……』と言うだけで、それ以上は何も言わない。ただ静かに目を伏せ、冷めたコーヒーをすすった。
だから、冷衣は気づかない。長い睫毛が頬に影を作るその顔を、佳吾がとろけるような眼で見つめていることを……。
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