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本編
80.「村長さんがね、皆を元気にして欲しいって」
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清波の街の外れにある信葉の領地。そのまた外れにある場所には練兵場が存在しており、そこでは連日のように訓練が行われていた。
「やー!!」
槍を武器とした一人の女が、訓練用の槍を繰り出す。
だが、それを相手は槍の穂先を使って横に流すと、柄の部分で女の腹部を叩いた。
「ぐふっ」
「もっと重心を落として隙を無くしましょう。貴女自身の技量は悪くありませんが、それだけだと今のように簡単に弾かれてしまいますよ」
女は腹を押さえながら相手を見やり、悔しそうに口をへの字に曲げる。
「う~~……くそっ。いつかそのデケェ胸しばいてやる……!」
「その意気です。なに、貴女達はまだまだ若いのです。成長する余地は充分すぎるほどあります」
女……信葉の子分の一人である前利又米は指導教官である鈴華の言葉に不満そうにしながらもこれ以上言い返すことはなかった。
あの地獄の制裁の後、前利を含む不良達はこの領地に住み(無理矢理だが)毎日練兵場でこうして訓練を行なっている。
彼女らとて元は怠惰な不良達。逃げたいのは山々だが、先日の制裁の恐怖が抜けきっていない上に鈴華や力丸が見張っているために、逃げ出すことができなかった。
「ハァ……ハァ……」
「ちっ、なんで私らがこんな事しなくちゃならないんだよぉ」
不良達の中でも特に体力のない者達は訓練についていくことができず、地面に倒れ伏している。
ブツクサと文句を言う不良達であったが、そんな彼女達の元に力丸が近付いてきた。
「そりゃオメーらが信葉様の家来になりたいっつーからだろうが。戦に行きたいんだろ?これくらいの事でへばっててどうすんだ」
「そ、そうだけどよぉ……」
「それならシャキッとしろ!ほら、もう一本いくぜ!」
「ひぇぇ!」
力丸の言葉に不良達は悲鳴を上げながら立ち上がる。
そんな様子に鈴華は苦笑し、力丸を見つめる。彼女は身体も厳ついし、言葉遣いも荒い。戦の中で生きてきた女だ、そうなるのも当然だろう。
だからこそ信葉は彼女を自分と同じ指導役に抜擢したのだろう。平民ながらも自らの武と感覚だけで戦を生き延びてきた力丸は指導役としては打って付けの存在だからだ。
生まれ持っての英傑の力が無いと言うのに実力で生き残ってきた……これは信葉にとって喉から手が出るほど欲しい人材であった。先の戦で白狐や力丸のような有能な者を配下に加えれたのは信葉にとって僥倖であった。
無論、その中には鈴華も含まれている。
「では前利さん。もう一度やりましょう」
「ぐ、わかったよ……やー!!」
再度槍を突き出す前利。だがその攻撃は鈴華には当たらず、横に流される。そしてそのままバランスを崩した前利の首筋に槍が当てられた。
「動きが単調です。もっと考えて動くように」
「くっそー!」
槍を引っ込め、悔しがる前利。
本気で突いている筈なのに自分の攻撃は鈴華には掠りすらしない。その事が前利をより苛立たせ、余計に動きを単調にさせる悪循環を生み出していた。
「(まだまだ粗削りなところは多いですが……)」
鈴華は前利の動きを見ながら思う。
元々不良として喧嘩に明け暮れていた彼女だ。槍の技量としては並以下だが、それを補って余りあるほど戦の才能がある娘だと思っている。
恐らくは英傑の血が流れているのだろう、彼女の身体の奥底から滾るものを鈴華は感じ取っていた。
だがまだその血は覚醒していない。それは彼女がまだ若いからと言うのもあるだろうが、一番はやはり実戦を経験していないからだろう。
喧嘩は強いのかもしれないが、戦での命の奪い合いはまた別だ。故に一回、なにかしらの経験を積めば化けると鈴華は確信していた。
「つーかよぉ!アンタ英傑なんだろ?そんな奴に私みたいなのが敵う訳ないじゃんかよ!」
疲れたのか膝を着いてそんな事を言う前利。鈴華はその言葉にふぅ、と息を吐いて答える。
「信葉様から貴女は前利家の子女だと聞きました。前利と言えば蒼鷲地方の小領の中でも重要な地を護る城持ち武家……。ならば貴女にも英傑の血が混ざっている筈です」
「……私は四女だ。英傑の血も薄いし、親からも期待されてねぇんだよ」
前利は吐き捨てるようにそう言った。
英傑の力というのは個人差はあるが、兆候として長女に色濃く出ると言われている。
三女、四女ともなると英傑の力が薄くなり、力の強い英傑になることは滅多にない。前利は武家の出身だ。広義では英傑であるのだが、如何せん四女という立場で産まれたので英傑としての力は非常に弱い。
恐らくはその立場から家での立場はいいものではなかろう。そんな前利にとって鈴華という強力な力を持つ英傑は眩しく、そして手の届かぬ存在だと感じているのかもしれない。
鈴華はそんな前利に近づき、視線を合わせる。
「貴女は若いのです。これからまだまだ強くなれます」
「はん、どうだか。アンタはいいよな、由緒ある武家の嫡女なんだろ?そりゃ英傑の力もあるし、信葉様からも実力を認められてるんだろうけどよ……。私らは違うんだ」
そう口にする前利の表情は何かを諦めたような、そんな色が浮かんでいた。
信葉の元にいる不良は皆が家に居場所が無いろくでなしだ。英傑の力だってないし、素行も悪い。そんな社会から弾かれた自分達を信葉は拾ってくれた。
だが、それは前利達には過ぎたる待遇だ。秀でた能力がある訳でもないし、自分達とつるんでいるだけで周囲の評価も下がる。それで信葉が付けられたあだ名が『うつけ姫』だ。
姉御はうつけなんかではない。苛烈な性格ではあるがその武勇や知恵は本物だ。昔から信葉を近くで見てきた前利達には分かるのだ。
信葉にそんな不名誉なあだ名を付けられた原因である自分達が信葉の元にいるのは場違いだと言う事は前利自身が一番よくわかっていた。
だが、それでも彼女は信葉の力になりたいと強く思っているし(訓練が嫌でサボタージュしたが)、拾ってくれた恩を返したいと思っている。
だが、人は急には強くはなれないのだ。身体も意思も、生来の性根も。
「……前利さん」
「なんだよ……って、え?」
そんな思いに耽っていた前利の顔を鈴華が両手で挟み込む。そして真っ直ぐに彼女の目を見つめて来た。
鈴華の綺麗な瞳に自分の顔が映り込み、思わず顔が熱くなってしまう。
「な、なんだよ……」
「貴女は決して弱くはないのです。武家に生まれながらも家を出て一人で生きる……その若さでそれはとても辛い事でしょう。でも、貴女はそれを選び今まで立派に生き抜いてきた」
「……」
鈴華の真剣な様子に前利も思わず言葉を詰まらせる。そんな動揺する彼女に更に鈴華が畳みかけてきた。
「確かに英傑の血というものはあります。ですが、それだけで全てが覆る訳ではありません。腐らず、努力した者は必ず報われる……」
鈴華はそう言うと視線を横にずらす。前利が釣られて視線の先を見ると、そこには碧波村の村人達が槍を手に必死に訓練する姿が飛び込んできた。
「せい!!せい!!」
「みんな!次は走り込みするべさー!!」
「分かったー!」
見るからに貧弱な身体をした女達だ。着ている服も見窄らしく、とてもではないが兵士には見えない。ただの田舎の村人だ。
だが、彼女達は懸命に訓練に励んでいる。そんな村人の姿を鈴華は眩しそうに見つめていた。
「……ふん。田舎の農民が張り切っちゃってさ。どんなに鍛えたところで常人が英傑に勝てる訳ねーのによ」
ポツリと前利はそう言った。所詮、常人というのは英傑の引き立て役に過ぎず、肉壁となり、そして最後には踏み潰されるのが常だ。
だが、そんな前利の呟きに鈴華は首を振る。
「そうでしょうか?確かに英傑の力というのは凄まじいですが……それでも戦において最も重要なのは常人の兵士です」
「はっ!何を言い出すかと思えばそんな事言うのかよ。英傑のアンタが言っても嫌味にしか聞こえないね」
馬鹿にしたように言う前利だったが、鈴華の顔から笑みが消えているのを見て言葉を詰まらせる。
「英傑とて人間。一人で出来る事には限界があります。だからこそ、英傑は常人と共に戦うのです」
鈴華の言葉に前利は言い淀む。それでも彼女の言葉に納得がいっていなかった。
吹けば飛ぶような力しか持たぬ常人など、英傑の足を引っ張るだけではないか、と。
その考えを見透かすように鈴華はフッと笑い、言葉を続ける。
「貴女も戦に出れば、分かりますよ。きっと」
鈴華はそれだけを言うと立ち上がり、他の兵士の訓練の様子を見に行ってしまった。
残された前利は何処か納得がいかないように顔をしかめながら、地面に座り込んだ。
鈴華という女について前利には思うところがある。信葉が戦から連れ帰ってきた胸がデカい女。まるで信葉の側近のように振る舞い、信葉もまた彼女を右腕として扱っている。
あの瀬良も彼女に一目置いているようで鈴華と接する時の態度が何処か違うように見えた。
「ちっ……何者なんだ、あの女は……」
誰に言うわけでもなく一人呟く前利。そんな彼女の疑問に答えるように、不意に後ろから声をかけられた。
「村長さんは村長さんだよ?」
前利の後ろから掛かる声。あまり聞き慣れないその声に反射的に振り向くと、そこには小さなキツネの半化生がニコニコと微笑みながら佇んでいた。
「ゲェ!」
白狐である。その姿を認めた前利は表情を強張らせた。
それもその筈。初めて会った時に叩きのめされたし、何より信葉が言った言葉……
ーーーこいつは前の戦でね、敵兵を千人以上ぶっ殺して内臓を抉り出して貪り食ってた半化生なのよ。
その聞くも悍ましい言葉が前利の脳裏に焼き付いているからだ。それ故に前利は白狐に苦手意識を持っていた。
だが、当の白狐は前利の表情など気にもせず、尻尾をパタパタと振って笑顔を浮かべている。
一見無害そうな半化生に見えるがコイツは恐ろしい化け物だーーー
前利はそう思い、白狐から距離を置こうと一歩後ろに下がる。
「な、なんの用だよ!」
怯えた声色を隠すように前利は威嚇するように白狐を睨みつける。だが、彼女の視線の先にいる白狐は怯えるどころか満面の笑みで近付いて来た。
「ん~?」
白狐が歩く度にふさふさの尻尾が揺れる。その動きに思わず釘付けになる前利だったが、慌てて視線を逸らした。
視線があったら殺されてしまうかもしれない。なにしろ戦場で残虐非道な行いをした半化生だ、いつ気が変わって襲って来てもおかしくはない。
戦々恐々としている前利の心情を全く気にする様子もなく、近づいてきた白狐が口を開いた。
「村長さんがね、皆を元気にして欲しいって」
白狐の言葉に思わず眉を顰める前利だったが、白狐は手に持っていた竹皮に包まれたおにぎりと、竹筒に入った水を前利に差し出した。
「だからこれあげる!」
白狐の満面の笑みに思わず固まる前利。そして白狐はくるりと振り向くと練兵場にいる皆に向かって大声で叫んだ。
「みんな~!お昼ご飯ですよ~!」
白狐の声が練兵場に響き渡った。それを聞いた瞬間、疲労困憊だった兵士の顔色が一気に明るくなった。
「やったー!飯だー!」
「うおぉぉ!腹減ったぁ!」
先ほどまで疲弊していた兵士達は我先にと白狐の元へと走り寄ってくる。
見ると白狐の足元には大量の竹皮に包まれたおにぎりと、竹筒が置かれていた。
「いつもありがとな、白狐!」
「白狐の握った握り飯はうめぇからなぁ!訓練の楽しみだべ!」
「いっぱいあるから沢山食べてね~」
おにぎりの入った竹皮を受け取った兵士達はその場で食べ始める者、近くの川に行った後景色の良いところでおにぎりを頬張る者、と皆それぞれ思い思いに昼食を楽しんでいた。
そんな食事風景を見ながら前利は手渡されたおにぎりをマジマジと見る。
「……」
恐ろしい半化生が作ったおにぎり……なにを思ってこんな事をしているのかは分からないが、取り敢えず敵意はないらしい。
しかし何が入っているか分かったものではない。もしかしたら口に出すのが憚られるような具材が入っているかもしれない……
前利はそう考えおにぎりを食べれないでいた。暫くおにぎりと睨めっこをしていると、彼女の元に聞き慣れた声が掛かる
「前利!一緒に食べるっス!」
「腹減ったねぇ、早く食べようか」
川知志保と笹成奈だ。二人は前利の不良仲間であった。
三人とも武家の出ということもあって境遇も似通っており、自然と三人でよくつるむようになった。
二人は前利の横に座ると持っていたおにぎりを頬張り始める。
「おいおい、そんなもん食って大丈夫なのかよ?何が入ってるか分かんねぇんだぞ」
前利の言葉に二人はキョトンとするものの、次の瞬間には再びおにぎりを齧り口を開いた。
「大丈夫でしょ。あのキツネ忍者、アタシらに敵意ないみたいだし」
「そうそう。それに尻尾がもふもふしてるしさ」
笹の言う事は理解不能であるが、二人は前利とは違い警戒してないようであった。
そんな二人の様子に前利は不貞腐れたように舌打ちをする。
「ち!あんな化け物の作ったもんよく食えるな!警戒心ってもんがねぇのかお前らはよ」
「え?前利いらないんスか?じゃあアタシ貰うっすよ」
「……そうは言ってねぇだろ!」
前利のおにぎりに手を伸ばそうとした川知の腕を払うと、前利は乱暴におにぎりにかぶりつく。
具材は入っていない塩むすびだったが、口の中に広がるおにぎりの味は何処か優しい味がした。
ーーーーーーーーー
「白狐くん、みなさんの昼食を作って頂きありがとうございます」
練兵場の一角。そこで鈴華と白狐は向かい合いながらおにぎりを食べていた。
「ううん、僕が好きでやってる事だから!」
白狐は嬉しそうに笑顔を浮かべる。
そんな彼女に鈴華も釣られて微笑むと、持っていたおにぎりを一口頬張る。
不思議な味だ。今までに食べた事のない味だが、妙な旨みを感じる。
なんというか、口の中に広がる匂いが脳を刺激するような感覚……なんだろう、これは。
「白狐くん。これはなんの調味料を使ったのですか?」
「それねー、僕の汗……じゃなくて、特製の塩です!キツネに伝わる秘伝の塩だよ!うん!」
一瞬、不穏な単語が聞こえたような気がしたが、鈴華は考えない事にした。
それに、今はそれより気になる事がある……
「そういえば白狐くん。尻尾が一本のようですが、まだ分身の術は継続しているのですか?」
不良達を捕まえる為に白狐は三匹に分裂した。もう目的は達成したのでそろそろ元に戻っても良いと思うのだが、目の前の白狐の尻尾は一本のままだ。
どうやらまだ三匹に分裂しているらしい。鈴華にそう問われた白狐はう~んと首を傾けて口を開く。
「信葉様がね、三匹に分裂したままの方がいいって」
「信葉様が?」
「うん。なんでもこの領地に一匹、清波城に二匹置いておきたいんだってさ」
その言葉を聞いて鈴華は逡巡する。信葉の事だ、何か深い考えがあるに違いない。それについては白狐が承諾しているならば鈴華は口を出す気はなかった。
しかし、あまり長く分裂していると色々と弊害があるような気がする。具体的になんなのかは鈴華にも分からないが、どう考えても自分が三人に分裂した状態というのは正常ではない。
「お城の僕はちゃんと頑張ってるかな~」
だが、鈴華としても白狐がこの領地に常駐してくれるのは有り難いので敢えて深く聞くことはしなかった。
鈴華はおにぎりを頬張り、空を見上げた。
白狐の尻尾が四本に増えたら四匹になるのだろうか……とどうでもいい事が彼女の頭に過ぎった。
「やー!!」
槍を武器とした一人の女が、訓練用の槍を繰り出す。
だが、それを相手は槍の穂先を使って横に流すと、柄の部分で女の腹部を叩いた。
「ぐふっ」
「もっと重心を落として隙を無くしましょう。貴女自身の技量は悪くありませんが、それだけだと今のように簡単に弾かれてしまいますよ」
女は腹を押さえながら相手を見やり、悔しそうに口をへの字に曲げる。
「う~~……くそっ。いつかそのデケェ胸しばいてやる……!」
「その意気です。なに、貴女達はまだまだ若いのです。成長する余地は充分すぎるほどあります」
女……信葉の子分の一人である前利又米は指導教官である鈴華の言葉に不満そうにしながらもこれ以上言い返すことはなかった。
あの地獄の制裁の後、前利を含む不良達はこの領地に住み(無理矢理だが)毎日練兵場でこうして訓練を行なっている。
彼女らとて元は怠惰な不良達。逃げたいのは山々だが、先日の制裁の恐怖が抜けきっていない上に鈴華や力丸が見張っているために、逃げ出すことができなかった。
「ハァ……ハァ……」
「ちっ、なんで私らがこんな事しなくちゃならないんだよぉ」
不良達の中でも特に体力のない者達は訓練についていくことができず、地面に倒れ伏している。
ブツクサと文句を言う不良達であったが、そんな彼女達の元に力丸が近付いてきた。
「そりゃオメーらが信葉様の家来になりたいっつーからだろうが。戦に行きたいんだろ?これくらいの事でへばっててどうすんだ」
「そ、そうだけどよぉ……」
「それならシャキッとしろ!ほら、もう一本いくぜ!」
「ひぇぇ!」
力丸の言葉に不良達は悲鳴を上げながら立ち上がる。
そんな様子に鈴華は苦笑し、力丸を見つめる。彼女は身体も厳ついし、言葉遣いも荒い。戦の中で生きてきた女だ、そうなるのも当然だろう。
だからこそ信葉は彼女を自分と同じ指導役に抜擢したのだろう。平民ながらも自らの武と感覚だけで戦を生き延びてきた力丸は指導役としては打って付けの存在だからだ。
生まれ持っての英傑の力が無いと言うのに実力で生き残ってきた……これは信葉にとって喉から手が出るほど欲しい人材であった。先の戦で白狐や力丸のような有能な者を配下に加えれたのは信葉にとって僥倖であった。
無論、その中には鈴華も含まれている。
「では前利さん。もう一度やりましょう」
「ぐ、わかったよ……やー!!」
再度槍を突き出す前利。だがその攻撃は鈴華には当たらず、横に流される。そしてそのままバランスを崩した前利の首筋に槍が当てられた。
「動きが単調です。もっと考えて動くように」
「くっそー!」
槍を引っ込め、悔しがる前利。
本気で突いている筈なのに自分の攻撃は鈴華には掠りすらしない。その事が前利をより苛立たせ、余計に動きを単調にさせる悪循環を生み出していた。
「(まだまだ粗削りなところは多いですが……)」
鈴華は前利の動きを見ながら思う。
元々不良として喧嘩に明け暮れていた彼女だ。槍の技量としては並以下だが、それを補って余りあるほど戦の才能がある娘だと思っている。
恐らくは英傑の血が流れているのだろう、彼女の身体の奥底から滾るものを鈴華は感じ取っていた。
だがまだその血は覚醒していない。それは彼女がまだ若いからと言うのもあるだろうが、一番はやはり実戦を経験していないからだろう。
喧嘩は強いのかもしれないが、戦での命の奪い合いはまた別だ。故に一回、なにかしらの経験を積めば化けると鈴華は確信していた。
「つーかよぉ!アンタ英傑なんだろ?そんな奴に私みたいなのが敵う訳ないじゃんかよ!」
疲れたのか膝を着いてそんな事を言う前利。鈴華はその言葉にふぅ、と息を吐いて答える。
「信葉様から貴女は前利家の子女だと聞きました。前利と言えば蒼鷲地方の小領の中でも重要な地を護る城持ち武家……。ならば貴女にも英傑の血が混ざっている筈です」
「……私は四女だ。英傑の血も薄いし、親からも期待されてねぇんだよ」
前利は吐き捨てるようにそう言った。
英傑の力というのは個人差はあるが、兆候として長女に色濃く出ると言われている。
三女、四女ともなると英傑の力が薄くなり、力の強い英傑になることは滅多にない。前利は武家の出身だ。広義では英傑であるのだが、如何せん四女という立場で産まれたので英傑としての力は非常に弱い。
恐らくはその立場から家での立場はいいものではなかろう。そんな前利にとって鈴華という強力な力を持つ英傑は眩しく、そして手の届かぬ存在だと感じているのかもしれない。
鈴華はそんな前利に近づき、視線を合わせる。
「貴女は若いのです。これからまだまだ強くなれます」
「はん、どうだか。アンタはいいよな、由緒ある武家の嫡女なんだろ?そりゃ英傑の力もあるし、信葉様からも実力を認められてるんだろうけどよ……。私らは違うんだ」
そう口にする前利の表情は何かを諦めたような、そんな色が浮かんでいた。
信葉の元にいる不良は皆が家に居場所が無いろくでなしだ。英傑の力だってないし、素行も悪い。そんな社会から弾かれた自分達を信葉は拾ってくれた。
だが、それは前利達には過ぎたる待遇だ。秀でた能力がある訳でもないし、自分達とつるんでいるだけで周囲の評価も下がる。それで信葉が付けられたあだ名が『うつけ姫』だ。
姉御はうつけなんかではない。苛烈な性格ではあるがその武勇や知恵は本物だ。昔から信葉を近くで見てきた前利達には分かるのだ。
信葉にそんな不名誉なあだ名を付けられた原因である自分達が信葉の元にいるのは場違いだと言う事は前利自身が一番よくわかっていた。
だが、それでも彼女は信葉の力になりたいと強く思っているし(訓練が嫌でサボタージュしたが)、拾ってくれた恩を返したいと思っている。
だが、人は急には強くはなれないのだ。身体も意思も、生来の性根も。
「……前利さん」
「なんだよ……って、え?」
そんな思いに耽っていた前利の顔を鈴華が両手で挟み込む。そして真っ直ぐに彼女の目を見つめて来た。
鈴華の綺麗な瞳に自分の顔が映り込み、思わず顔が熱くなってしまう。
「な、なんだよ……」
「貴女は決して弱くはないのです。武家に生まれながらも家を出て一人で生きる……その若さでそれはとても辛い事でしょう。でも、貴女はそれを選び今まで立派に生き抜いてきた」
「……」
鈴華の真剣な様子に前利も思わず言葉を詰まらせる。そんな動揺する彼女に更に鈴華が畳みかけてきた。
「確かに英傑の血というものはあります。ですが、それだけで全てが覆る訳ではありません。腐らず、努力した者は必ず報われる……」
鈴華はそう言うと視線を横にずらす。前利が釣られて視線の先を見ると、そこには碧波村の村人達が槍を手に必死に訓練する姿が飛び込んできた。
「せい!!せい!!」
「みんな!次は走り込みするべさー!!」
「分かったー!」
見るからに貧弱な身体をした女達だ。着ている服も見窄らしく、とてもではないが兵士には見えない。ただの田舎の村人だ。
だが、彼女達は懸命に訓練に励んでいる。そんな村人の姿を鈴華は眩しそうに見つめていた。
「……ふん。田舎の農民が張り切っちゃってさ。どんなに鍛えたところで常人が英傑に勝てる訳ねーのによ」
ポツリと前利はそう言った。所詮、常人というのは英傑の引き立て役に過ぎず、肉壁となり、そして最後には踏み潰されるのが常だ。
だが、そんな前利の呟きに鈴華は首を振る。
「そうでしょうか?確かに英傑の力というのは凄まじいですが……それでも戦において最も重要なのは常人の兵士です」
「はっ!何を言い出すかと思えばそんな事言うのかよ。英傑のアンタが言っても嫌味にしか聞こえないね」
馬鹿にしたように言う前利だったが、鈴華の顔から笑みが消えているのを見て言葉を詰まらせる。
「英傑とて人間。一人で出来る事には限界があります。だからこそ、英傑は常人と共に戦うのです」
鈴華の言葉に前利は言い淀む。それでも彼女の言葉に納得がいっていなかった。
吹けば飛ぶような力しか持たぬ常人など、英傑の足を引っ張るだけではないか、と。
その考えを見透かすように鈴華はフッと笑い、言葉を続ける。
「貴女も戦に出れば、分かりますよ。きっと」
鈴華はそれだけを言うと立ち上がり、他の兵士の訓練の様子を見に行ってしまった。
残された前利は何処か納得がいかないように顔をしかめながら、地面に座り込んだ。
鈴華という女について前利には思うところがある。信葉が戦から連れ帰ってきた胸がデカい女。まるで信葉の側近のように振る舞い、信葉もまた彼女を右腕として扱っている。
あの瀬良も彼女に一目置いているようで鈴華と接する時の態度が何処か違うように見えた。
「ちっ……何者なんだ、あの女は……」
誰に言うわけでもなく一人呟く前利。そんな彼女の疑問に答えるように、不意に後ろから声をかけられた。
「村長さんは村長さんだよ?」
前利の後ろから掛かる声。あまり聞き慣れないその声に反射的に振り向くと、そこには小さなキツネの半化生がニコニコと微笑みながら佇んでいた。
「ゲェ!」
白狐である。その姿を認めた前利は表情を強張らせた。
それもその筈。初めて会った時に叩きのめされたし、何より信葉が言った言葉……
ーーーこいつは前の戦でね、敵兵を千人以上ぶっ殺して内臓を抉り出して貪り食ってた半化生なのよ。
その聞くも悍ましい言葉が前利の脳裏に焼き付いているからだ。それ故に前利は白狐に苦手意識を持っていた。
だが、当の白狐は前利の表情など気にもせず、尻尾をパタパタと振って笑顔を浮かべている。
一見無害そうな半化生に見えるがコイツは恐ろしい化け物だーーー
前利はそう思い、白狐から距離を置こうと一歩後ろに下がる。
「な、なんの用だよ!」
怯えた声色を隠すように前利は威嚇するように白狐を睨みつける。だが、彼女の視線の先にいる白狐は怯えるどころか満面の笑みで近付いて来た。
「ん~?」
白狐が歩く度にふさふさの尻尾が揺れる。その動きに思わず釘付けになる前利だったが、慌てて視線を逸らした。
視線があったら殺されてしまうかもしれない。なにしろ戦場で残虐非道な行いをした半化生だ、いつ気が変わって襲って来てもおかしくはない。
戦々恐々としている前利の心情を全く気にする様子もなく、近づいてきた白狐が口を開いた。
「村長さんがね、皆を元気にして欲しいって」
白狐の言葉に思わず眉を顰める前利だったが、白狐は手に持っていた竹皮に包まれたおにぎりと、竹筒に入った水を前利に差し出した。
「だからこれあげる!」
白狐の満面の笑みに思わず固まる前利。そして白狐はくるりと振り向くと練兵場にいる皆に向かって大声で叫んだ。
「みんな~!お昼ご飯ですよ~!」
白狐の声が練兵場に響き渡った。それを聞いた瞬間、疲労困憊だった兵士の顔色が一気に明るくなった。
「やったー!飯だー!」
「うおぉぉ!腹減ったぁ!」
先ほどまで疲弊していた兵士達は我先にと白狐の元へと走り寄ってくる。
見ると白狐の足元には大量の竹皮に包まれたおにぎりと、竹筒が置かれていた。
「いつもありがとな、白狐!」
「白狐の握った握り飯はうめぇからなぁ!訓練の楽しみだべ!」
「いっぱいあるから沢山食べてね~」
おにぎりの入った竹皮を受け取った兵士達はその場で食べ始める者、近くの川に行った後景色の良いところでおにぎりを頬張る者、と皆それぞれ思い思いに昼食を楽しんでいた。
そんな食事風景を見ながら前利は手渡されたおにぎりをマジマジと見る。
「……」
恐ろしい半化生が作ったおにぎり……なにを思ってこんな事をしているのかは分からないが、取り敢えず敵意はないらしい。
しかし何が入っているか分かったものではない。もしかしたら口に出すのが憚られるような具材が入っているかもしれない……
前利はそう考えおにぎりを食べれないでいた。暫くおにぎりと睨めっこをしていると、彼女の元に聞き慣れた声が掛かる
「前利!一緒に食べるっス!」
「腹減ったねぇ、早く食べようか」
川知志保と笹成奈だ。二人は前利の不良仲間であった。
三人とも武家の出ということもあって境遇も似通っており、自然と三人でよくつるむようになった。
二人は前利の横に座ると持っていたおにぎりを頬張り始める。
「おいおい、そんなもん食って大丈夫なのかよ?何が入ってるか分かんねぇんだぞ」
前利の言葉に二人はキョトンとするものの、次の瞬間には再びおにぎりを齧り口を開いた。
「大丈夫でしょ。あのキツネ忍者、アタシらに敵意ないみたいだし」
「そうそう。それに尻尾がもふもふしてるしさ」
笹の言う事は理解不能であるが、二人は前利とは違い警戒してないようであった。
そんな二人の様子に前利は不貞腐れたように舌打ちをする。
「ち!あんな化け物の作ったもんよく食えるな!警戒心ってもんがねぇのかお前らはよ」
「え?前利いらないんスか?じゃあアタシ貰うっすよ」
「……そうは言ってねぇだろ!」
前利のおにぎりに手を伸ばそうとした川知の腕を払うと、前利は乱暴におにぎりにかぶりつく。
具材は入っていない塩むすびだったが、口の中に広がるおにぎりの味は何処か優しい味がした。
ーーーーーーーーー
「白狐くん、みなさんの昼食を作って頂きありがとうございます」
練兵場の一角。そこで鈴華と白狐は向かい合いながらおにぎりを食べていた。
「ううん、僕が好きでやってる事だから!」
白狐は嬉しそうに笑顔を浮かべる。
そんな彼女に鈴華も釣られて微笑むと、持っていたおにぎりを一口頬張る。
不思議な味だ。今までに食べた事のない味だが、妙な旨みを感じる。
なんというか、口の中に広がる匂いが脳を刺激するような感覚……なんだろう、これは。
「白狐くん。これはなんの調味料を使ったのですか?」
「それねー、僕の汗……じゃなくて、特製の塩です!キツネに伝わる秘伝の塩だよ!うん!」
一瞬、不穏な単語が聞こえたような気がしたが、鈴華は考えない事にした。
それに、今はそれより気になる事がある……
「そういえば白狐くん。尻尾が一本のようですが、まだ分身の術は継続しているのですか?」
不良達を捕まえる為に白狐は三匹に分裂した。もう目的は達成したのでそろそろ元に戻っても良いと思うのだが、目の前の白狐の尻尾は一本のままだ。
どうやらまだ三匹に分裂しているらしい。鈴華にそう問われた白狐はう~んと首を傾けて口を開く。
「信葉様がね、三匹に分裂したままの方がいいって」
「信葉様が?」
「うん。なんでもこの領地に一匹、清波城に二匹置いておきたいんだってさ」
その言葉を聞いて鈴華は逡巡する。信葉の事だ、何か深い考えがあるに違いない。それについては白狐が承諾しているならば鈴華は口を出す気はなかった。
しかし、あまり長く分裂していると色々と弊害があるような気がする。具体的になんなのかは鈴華にも分からないが、どう考えても自分が三人に分裂した状態というのは正常ではない。
「お城の僕はちゃんと頑張ってるかな~」
だが、鈴華としても白狐がこの領地に常駐してくれるのは有り難いので敢えて深く聞くことはしなかった。
鈴華はおにぎりを頬張り、空を見上げた。
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