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第壱章
第5話 篝、江戸にきたる
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妹はすでに江戸にいた。
勘十郎が国元を出てすぐ、彼を追いかけていた。
江戸の執事喫茶「R・グレイ」で住み込みのバイトをしていた。
超短期間でメキメキと成長し、今では、指名No.1の実力者である。
「江戸で兄上を探してるんです。必ず見つけて国に連れて帰ろうと思っています」(キリッ)
その兄弟愛とイケメンぶりから、ものすごい人気になっていた。
「お嬢様、どうぞ私のわがままをお許しください。兄上のことが心配で、お暇をいただきたいのです」
カガリに見つめられた上、こういわれて、拒否できる子はいなかった。
実際は仕事なので辞めはしない。通い詰めたお嬢さんたちは、江戸中で兄(勘十郎)を探し歩いている。執事カガリに褒めてほしい一心でだ。
たとえ見つけたら帰ってしまうのはわかっていても、カガリの「ありがとう」を聞きたい。もし可能なら二人の感動の再開が兄弟愛溢れる展開にならないかと目の色が違う。
篝は自分が有名になることで兄が自分を見つけてくれないかと思っている。
兄のことだから、木を隠すなら森の原理で、江戸にいると予想した。
この予想は見事に当たっているのだが、当の本人である勘十郎が妹は久利呉藩にいると思い込んでいるため、気づかないでいる。
「あぁ、兄上、どこにいるのですか。カガリは寂しゅうございます。」(ほろり)
その涙は本物だ。何滴かはお嬢様方が大事に保存している。
「お嬢様、ご心配ありがとうございます。【執事の手ずからチーズケーキ】お待たせいたしました。はい、お口を開けてくださいまし。あーん。」
兄を心配していたはずであるが、男装にハマりつつあった。あれ?私、イケてるんじゃない?これ天職なんじゃない?と思ってしまう。久利呉藩にいるときよりも稼ぎがでていた。もういろんな意味で後戻りできなくなりつつある。
夜になって仕事が終わり、執事カガリから篝に戻ると、どっと疲れが彼女を襲う。
それでも、空いた時間を使って、情報収集のため、街へと消えていく。
「あー、まじ、カガリ様かっこよ。まじぴえん。」
R・グレイから出てくるつばめ。旅籠がシフト休みの日は通い詰めるほどのお得意様であった。
「お兄さん、どこにいるやら。見つかるといい…。ま、つばめとしては?カガリ様がいてくれればそれでいい。つばめの理想は、男だったら勘十郎さま、女だったらカガリ様かな…。」
その後も、つばめは、自分自身も男装をしてみようか、メイクの仕方はどうしようなどとブツブツ言いながら旅籠へと帰ってゆく。
つづく
勘十郎が国元を出てすぐ、彼を追いかけていた。
江戸の執事喫茶「R・グレイ」で住み込みのバイトをしていた。
超短期間でメキメキと成長し、今では、指名No.1の実力者である。
「江戸で兄上を探してるんです。必ず見つけて国に連れて帰ろうと思っています」(キリッ)
その兄弟愛とイケメンぶりから、ものすごい人気になっていた。
「お嬢様、どうぞ私のわがままをお許しください。兄上のことが心配で、お暇をいただきたいのです」
カガリに見つめられた上、こういわれて、拒否できる子はいなかった。
実際は仕事なので辞めはしない。通い詰めたお嬢さんたちは、江戸中で兄(勘十郎)を探し歩いている。執事カガリに褒めてほしい一心でだ。
たとえ見つけたら帰ってしまうのはわかっていても、カガリの「ありがとう」を聞きたい。もし可能なら二人の感動の再開が兄弟愛溢れる展開にならないかと目の色が違う。
篝は自分が有名になることで兄が自分を見つけてくれないかと思っている。
兄のことだから、木を隠すなら森の原理で、江戸にいると予想した。
この予想は見事に当たっているのだが、当の本人である勘十郎が妹は久利呉藩にいると思い込んでいるため、気づかないでいる。
「あぁ、兄上、どこにいるのですか。カガリは寂しゅうございます。」(ほろり)
その涙は本物だ。何滴かはお嬢様方が大事に保存している。
「お嬢様、ご心配ありがとうございます。【執事の手ずからチーズケーキ】お待たせいたしました。はい、お口を開けてくださいまし。あーん。」
兄を心配していたはずであるが、男装にハマりつつあった。あれ?私、イケてるんじゃない?これ天職なんじゃない?と思ってしまう。久利呉藩にいるときよりも稼ぎがでていた。もういろんな意味で後戻りできなくなりつつある。
夜になって仕事が終わり、執事カガリから篝に戻ると、どっと疲れが彼女を襲う。
それでも、空いた時間を使って、情報収集のため、街へと消えていく。
「あー、まじ、カガリ様かっこよ。まじぴえん。」
R・グレイから出てくるつばめ。旅籠がシフト休みの日は通い詰めるほどのお得意様であった。
「お兄さん、どこにいるやら。見つかるといい…。ま、つばめとしては?カガリ様がいてくれればそれでいい。つばめの理想は、男だったら勘十郎さま、女だったらカガリ様かな…。」
その後も、つばめは、自分自身も男装をしてみようか、メイクの仕方はどうしようなどとブツブツ言いながら旅籠へと帰ってゆく。
つづく
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