Olympus Quest

狩野 理穂

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OLYMPUS QUEST Ⅲ ~神々の復活~

永遠の夢

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 巨大な珠は、曲がりながら飛んでいく。

「私がサポートしましょう」

 ヘルメスが杖を振りかざす。すると、杖に絡みついていた二匹の蛇が飛び出し、珠を囲うように並んだ。
 蛇はカーブした珠をその体で弾き、軌道を修正する。さらに弾く時に力をかけているので、速度も上がっていく。

「や……メろ…………!」

 カオスが闇を飛ばし、空間を曲げるが全て時間の珠に相殺される。蛇も自ら道を作り出してそれを回避する。

「私は旅人の守護神。旅人を塞ぐ障害は取り除くのだよ」

 ヘルメスが呟くと、光の道が現れた。その中を直進する時間。
 これは──


 全てが、終わった。


 時間が戻される。カオスと、彼が行った事象がリセットされる。
 カオスの消したアレスも復活し、彼は不思議そうな顔をしている。
 カオスは暴走以前の状態まで戻され、暴れていた闇も静かになった。

「勝った……」

 誰かが呟いた。だが、歓声はあがらない。
 俺の目の前に、1人の少年が倒れている。その立場上死ぬことは無いが、消耗することはある、存在。そして、この戦いで決して復活する可能性のない犠牲者でもある。
 彼の名はクロノス──またの名をルーシュと言った。
 自らの力を全て最期の一撃にかけて、その命をも撃ち抜いてしまった。
 時間は無限である。それ故に彼は死なない。なのに、彼は風が吹けば飛んでいってしまいそうなほど弱々しく、動かなかった。
 頬が熱い。俺は泣いているのか? 腕で拭おうとして、それが透けているのに気づいた。

「ここは元来、カオスの空間。彼が正気に戻った今、私達異界の者は本来在るべき場所へ還されます。また、クロノス殿が連れてきた十二神も──」

 イザナミの言葉に、嗚咽が混じる。常に冷静だった彼女でさえ、思うところがあるのだろう……

「ルー──」

 視界が白くなる。友に言葉をかけることさえ赦さないなんて、神はどれだけ意地が悪いんだろう。


 鼻にくる消毒液の臭い。目を開けると、そこは病院だった。なんだか永い夢を見ていたような気がする。
 どうしてこんな所にいるのか、ベッドから降りようとすると、全身に鋭い痛みが走った。布団の隙間から、包帯に包まれた腕が見える。
 そうだ、確か、道路に飛び出した白い仔猫を庇って、トラックに──
 白い仔猫。とても美しい猫だった。とても野良とは思えないその毛並み。無事だっただろうか。
 あの猫と会ったのは、学校の帰り。ダンボール箱で捨てられていたのだ。俺は飼うことが出来ないから、確か友達に預かって貰おうと……いや、だとしたら、どうして事故に?
 頬が熱い。何があった? 混乱して、何もわからない! そもそも俺の名前はなんだ!

「う……うわあぁああぁぁぁあ!!」

 誰だ? 誰が叫んでいる? 叫んでいるのは……俺だ。
 そして、俺は再び意識を失った。


『本来在るべき場所へ還されます』


 退院して、学校へ通うようになっても、何故かその言葉が頭から離れなかった。誰の言葉かは分からないが、とても信頼できる人だったのは、何となくわかる。

「今日は転校生が来ます……」

 担任の言葉も、深い水の底で聞いているかのようにぼんやりしている。

「はじめまして。父の仕事の都合で転校してきました、ルーシュ・ユピテルといいます」

 その声だけが、クリアに聞こえた。
 転校生は、金の短髪に蒼い目をしていて、吹き替えの外国映画を見ているような気分にもなる。
 彼と目が合う。俺は、彼に会ったことがある。いや、それどころではなく、共に死線をさまよったこともある。そんな記憶はないが、確信はあった。
 彼が微笑んだ。それは社交辞令だったかもしれない。ただ、俺にとっては「久しぶり」と言っている気がした。


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感想 2

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みんなの感想(2件)

徳川慶喜
2019.04.05 徳川慶喜

三部構成なのでこの章が最終と言うことになるのでしょうか?

続きが気になります!よろしくお願いします!

2019.04.05 狩野 理穂

感想ありがとうございます!
どれくらい続くかは未定ですが、この第3部でオリンポスクエストは完結です。
最後までよろしくお願いします。

解除
徳川慶喜
2018.12.27 徳川慶喜
ネタバレ含む
2018.12.27 狩野 理穂

感想ありがとうございます!
実は、第三部は未だ完成していないので更新はしばらく停止しますが、2月くらいには再開したいと思っています。
今後もよろしくお願いします!

解除

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