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死
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「翔太さん...?気のせいだよね。私もしっかりしないと」
次の瞬間、それが気のせいではない事に気づく。
翔太さんの口が動いた。
「愛莉、こんなにやせ細って」
「翔太さん?翔太さん...」
いつもの、いつもの声だ。
その時はまだ私しか病室にいなかった。先生や看護師さんを呼ぶ事さえ思いつかなくて今はただ翔太さんが話していることが嬉しかった。
「ちゃんと食べなきゃだめだよ。俺がいなくても生きていける女になれ」
「何言ってるの?私には翔太さんしかいないの。もう大丈夫なんだよね?私あの日から本当に生きた心地しなくて」
「俺な、夢見たんだ。愛莉と真っ白で何もない部屋にずっとずっと笑って過ごすの。幸せってああいう事なんだなって」
翔太さんはちょっと笑いながら言った。真っ白で何もない部屋。私の見た、あの夢みたいだ。
すると少しの間開いていた目を閉じながら最後の力を振り絞るように言った。
「愛莉、愛してるよ」
そう言って翔太さんは、死んだ。
次の瞬間、それが気のせいではない事に気づく。
翔太さんの口が動いた。
「愛莉、こんなにやせ細って」
「翔太さん?翔太さん...」
いつもの、いつもの声だ。
その時はまだ私しか病室にいなかった。先生や看護師さんを呼ぶ事さえ思いつかなくて今はただ翔太さんが話していることが嬉しかった。
「ちゃんと食べなきゃだめだよ。俺がいなくても生きていける女になれ」
「何言ってるの?私には翔太さんしかいないの。もう大丈夫なんだよね?私あの日から本当に生きた心地しなくて」
「俺な、夢見たんだ。愛莉と真っ白で何もない部屋にずっとずっと笑って過ごすの。幸せってああいう事なんだなって」
翔太さんはちょっと笑いながら言った。真っ白で何もない部屋。私の見た、あの夢みたいだ。
すると少しの間開いていた目を閉じながら最後の力を振り絞るように言った。
「愛莉、愛してるよ」
そう言って翔太さんは、死んだ。
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