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沈む恋は、春を待つ。
気づけば俺は自分の部屋にいた。
明かりをつける気にもなれず、暗く、冷たい空間に、雪明りだけが淡く差し込んでいる。
カバンを無造作に放り投げてベッドへと飛び込めば、張り詰めていた何かが、ぷつりと切れたような気がした。
喉の奥が焼けるほど熱い。
ぎゅっと唇を噛みしめて溢れそうになりそうなそれを耐える。
しかしながらそれは無駄な努力だったようで、ぽたり、と涙が枕に落ちた。
一度あふれ出してしまったらもう止められない。
抑えを失ったそれは、しとどに枕を濡らしていく。
「……っ、くそ……」
すすり泣く俺の情けない声が、誰もいない部屋に静かに響いた。
彼女と笑い合う安達が瞼の裏に映る。
……よかったじゃないか、これが俺の望んでいたことだろう。
だって、俺がそこに立てるなんて、端から思っていなかったじゃないか。お前はそれでよかったんだろ。
「いい先輩」なんだから。
そう、自分に言い聞かせても、涙は止まってくれない。
何度も何度も殺そうとした恋は今も俺を縛り付けて痛めつける。
自分で枯らすことはできないと、痛いほど分かってしまった。
芽吹き、蕾を膨らませ、見事に咲いてしまったそれを、もう俺は殺せない。……本当に情けない。
それでも、これ以上この感情を抱えて生きていける自信はない。
だから、他の誰か――できればあいつの手で全てを終わらせて欲しいと少しだけ願ってしまった。
そして桜舞う春の日。震える声で告げた「好き」。
安達の視線は逸らされ、優しくも明確に線引きされたあの日。
俺はそれを決して忘れない。
それでも、あの日があったから今がある。
失恋の痛みを胸の奥へとしまい込んで、大学へと歩き出した。
もし、――もし、いつかまた出会うことがあるならば、この傷跡も癒えて、またあの日のように笑い合えるのだろうか。
雪解けを確かに感じながら、俺は新しい生活へと、足を踏み入れたのだった。
明かりをつける気にもなれず、暗く、冷たい空間に、雪明りだけが淡く差し込んでいる。
カバンを無造作に放り投げてベッドへと飛び込めば、張り詰めていた何かが、ぷつりと切れたような気がした。
喉の奥が焼けるほど熱い。
ぎゅっと唇を噛みしめて溢れそうになりそうなそれを耐える。
しかしながらそれは無駄な努力だったようで、ぽたり、と涙が枕に落ちた。
一度あふれ出してしまったらもう止められない。
抑えを失ったそれは、しとどに枕を濡らしていく。
「……っ、くそ……」
すすり泣く俺の情けない声が、誰もいない部屋に静かに響いた。
彼女と笑い合う安達が瞼の裏に映る。
……よかったじゃないか、これが俺の望んでいたことだろう。
だって、俺がそこに立てるなんて、端から思っていなかったじゃないか。お前はそれでよかったんだろ。
「いい先輩」なんだから。
そう、自分に言い聞かせても、涙は止まってくれない。
何度も何度も殺そうとした恋は今も俺を縛り付けて痛めつける。
自分で枯らすことはできないと、痛いほど分かってしまった。
芽吹き、蕾を膨らませ、見事に咲いてしまったそれを、もう俺は殺せない。……本当に情けない。
それでも、これ以上この感情を抱えて生きていける自信はない。
だから、他の誰か――できればあいつの手で全てを終わらせて欲しいと少しだけ願ってしまった。
そして桜舞う春の日。震える声で告げた「好き」。
安達の視線は逸らされ、優しくも明確に線引きされたあの日。
俺はそれを決して忘れない。
それでも、あの日があったから今がある。
失恋の痛みを胸の奥へとしまい込んで、大学へと歩き出した。
もし、――もし、いつかまた出会うことがあるならば、この傷跡も癒えて、またあの日のように笑い合えるのだろうか。
雪解けを確かに感じながら、俺は新しい生活へと、足を踏み入れたのだった。
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