41 / 41
好きです、今も。
柔らかな日差し。
頬を撫でる風はさわやかで、暖かい。
春休みにもかかわらずキャンパスへとやってきた俺はぼんやりと目の前の木を眺める。
それは、今年も美しく薄桃色の花を散らしていた。
俺はこの春四年になった。
まだ実感は薄い。まだ一年のような気もする一方で、随分と長く大学生をやっているようにも思える。
ふと、視線を落とすと、スマホのカレンダーが目に入った。
四月、の文字に思わずあの日の約束が蘇る。
――次の春まで。
あれから約半年。
俺は不安や怖さを抱えながらも、この言葉を拠り所にしてきた。
だからこそ、今日この場所で、全ての答えを出さなければいけない。
「……先輩。」
耳に届いたその声に心臓が跳ねる。
視線を上げればあの日と変わらない金の瞳。
ただし、その眼差しはあの日よりずっと確かで、真剣な光を宿している。
「……約束を、果たしに来ました。」
どこまでもまっすぐ告げられた言葉。
沈黙が落ちる。
桜の花が揺れる音だけが静かに響いた。
数秒見つめ合った後、おもむろに安達の手が俺に伸ばされる。
それは俺の手を捕まえて、攫っていった。
指先に伝わる熱。それはあの朝よりも随分と熱い。
風が安達の綺麗な黒髪を揺らす。覗く耳は少し赤く染まっていた。
やがて、意を決したように安達は口を開く。
「先輩。――好きです、今も。ずっと、これからも。」
静かに、しかし確かに俺の胸に響いたその言葉に、視界が潤む。
抑えきれずに涙は頬を伝って落ちていった。
心が震える。
秘めていた想いが涙とともに溢れ出して、そのまま、口から零れた。
「っあぁ。……俺も。好きだ。」
その瞬間、ぐっと腕を引かれて安達の体に収まる。
「っちょ、お前ここ外。」
「……先輩、好きです、愛してます。」
耳元で小さくそう、囁かれた。その言葉を理解した瞬間、急に耳が熱を持ったように熱くなる。
「愛し!? って話聞けよ!」
それでも決して離そうとしない腕に、俺は小さく笑った。
安達もつられて笑い出す。
あぁ、幸せだな。
きっとこれから先も、こんな幸せを積み重ねて行けるのだろう。
風が桜の花を散らしていく。舞う花びらの下、重なる二つの笑い声。
――それは確かに、春を告げていた。
頬を撫でる風はさわやかで、暖かい。
春休みにもかかわらずキャンパスへとやってきた俺はぼんやりと目の前の木を眺める。
それは、今年も美しく薄桃色の花を散らしていた。
俺はこの春四年になった。
まだ実感は薄い。まだ一年のような気もする一方で、随分と長く大学生をやっているようにも思える。
ふと、視線を落とすと、スマホのカレンダーが目に入った。
四月、の文字に思わずあの日の約束が蘇る。
――次の春まで。
あれから約半年。
俺は不安や怖さを抱えながらも、この言葉を拠り所にしてきた。
だからこそ、今日この場所で、全ての答えを出さなければいけない。
「……先輩。」
耳に届いたその声に心臓が跳ねる。
視線を上げればあの日と変わらない金の瞳。
ただし、その眼差しはあの日よりずっと確かで、真剣な光を宿している。
「……約束を、果たしに来ました。」
どこまでもまっすぐ告げられた言葉。
沈黙が落ちる。
桜の花が揺れる音だけが静かに響いた。
数秒見つめ合った後、おもむろに安達の手が俺に伸ばされる。
それは俺の手を捕まえて、攫っていった。
指先に伝わる熱。それはあの朝よりも随分と熱い。
風が安達の綺麗な黒髪を揺らす。覗く耳は少し赤く染まっていた。
やがて、意を決したように安達は口を開く。
「先輩。――好きです、今も。ずっと、これからも。」
静かに、しかし確かに俺の胸に響いたその言葉に、視界が潤む。
抑えきれずに涙は頬を伝って落ちていった。
心が震える。
秘めていた想いが涙とともに溢れ出して、そのまま、口から零れた。
「っあぁ。……俺も。好きだ。」
その瞬間、ぐっと腕を引かれて安達の体に収まる。
「っちょ、お前ここ外。」
「……先輩、好きです、愛してます。」
耳元で小さくそう、囁かれた。その言葉を理解した瞬間、急に耳が熱を持ったように熱くなる。
「愛し!? って話聞けよ!」
それでも決して離そうとしない腕に、俺は小さく笑った。
安達もつられて笑い出す。
あぁ、幸せだな。
きっとこれから先も、こんな幸せを積み重ねて行けるのだろう。
風が桜の花を散らしていく。舞う花びらの下、重なる二つの笑い声。
――それは確かに、春を告げていた。
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―
なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。
――はずだった。
目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。
時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。
愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。
これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。
「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、
年上αの騎士と本物の愛を掴みます。
全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。
完結|好きから一番遠いはずだった
七角
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
【完結】浮薄な文官は嘘をつく
七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。
イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。
父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。
イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。
カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。
そう、これは───
浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。
□『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。
□全17話
【完結】大学で再会した幼馴染(初恋相手)に恋人のふりをしてほしいと頼まれた件について
kouta
BL
大学で再会した幼馴染から『ストーカーに悩まされている。半年間だけ恋人のふりをしてほしい』と頼まれた夏樹。『焼き肉奢ってくれるなら』と承諾したものの次第に意識してしまうようになって……
※ムーンライトノベルズでも投稿しています
ガラス玉のように
イケのタコ
BL
クール美形×平凡
成績共に運動神経も平凡と、そつなくのびのびと暮らしていたスズ。そんな中突然、親の転勤が決まる。
親と一緒に外国に行くのか、それとも知人宅にで生活するのかを、どっちかを選択する事になったスズ。
とりあえず、お試しで一週間だけ知人宅にお邪魔する事になった。
圧倒されるような日本家屋に驚きつつ、なぜか知人宅には学校一番イケメンとらいわれる有名な三船がいた。
スズは三船とは会話をしたことがなく、気まずいながらも挨拶をする。しかし三船の方は傲慢な態度を取り印象は最悪。
ここで暮らして行けるのか。悩んでいると母の友人であり知人の、義宗に「三船は不器用だから長めに見てやって」と気長に判断してほしいと言われる。
三船に嫌われていては判断するもないと思うがとスズは思う。それでも優しい義宗が言った通りに気長がに気楽にしようと心がける。
しかし、スズが待ち受けているのは日常ではなく波乱。
三船との衝突。そして、この家の秘密と真実に立ち向かうことになるスズだった。