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死ぬ前に誘拐?
しおりを挟む目が覚めたら、すごいキラキラなベッドの上に居た。
こう…ゴージャスとしか言えないすごいヤツ。
そして、これまたやたらゴージャスな男の人に手を握りこまれてた。
「ああ、サクラが目覚めた!顔色は悪くないな、病ではないようだ…サクラ、サクラ、ずっと会いたかった」
なんかめっちゃ目を潤ませて手にスリスリしながら感激してる。ゴージャス。
「………どちら様でしょうか」
「私がわからない?いや、混乱しているだけかもしれない…ナイトハルトだ、この名に心当たりはないか?やはり転生していたか……それにしては色以外私が知るサクラと相違がなさすぎるが…」
顎に手を当ててゴージャスなナイトハルトさんがブツブツ言ってる。
ナイトハルト…ナイトハルトなぁ……心当たりってあれかなぁ…
「ナイトハルト王太子殿下…」
「!そうだ、分かるかっ?!やはりサクラのままだ!」
うぅん、昨日まで攻略やってた王子様ですねぇ……
「全て覚えているか?サクラは私と居る時、突然消えてしまったんだ」
電源引っこ抜いたからかなぁ?最近の乙女ゲームって辞めたら消えるんだ。
「目の前からサクラが消えて、気が狂いそうだった。ずっと探していたんだ、サクラ。君にまた会いたかった」
「ええっと……どうして私はここにいるんでしょうか」
「魂召喚の儀を行った。どうしても会いたくて、命が尽きる前の時間軸で何処か別の世界に居るサクラの魂を呼び寄せた。私とサクラの絆があったからこそ実現した奇跡だ」
召喚。召喚されちゃったのか。ええ~。
「私もう帰れない?」
「帰れないし、帰さない。もう二度と消えさせない」
「ママとパパにももう会えない?」
「今世の生活があったのはわかるが戻ってもサクラは何かの理由で数刻で死んでしまう。帰す手段はそもそもないが、あったとしてもそのような世界には戻してあげられない。親しい人との別れを奪ってすまない」
「えっ、なんで私死ぬ予定になってるの。ピンピンしてるんだけど」
「ああ、やはり病気ではないのだな!また一緒に居られる、嬉しい。サクラ」
「いや、だからあの…」
「事故か何かに遭う筈だったんだろう。来世で共に生きたいと呼び寄せたが、嬉しい誤算だ」
手とか腕とかめっちゃちゅっちゅされてる。ゴージャス王子様すごい。さっきから熱烈。
「え、じゃあ私日本に帰れず…死ぬこともなく…この世界で生きろってこと?」
「そうだ、私と生涯を共にしてくれ」
「死ぬの助けてくれたのはありがとうございます?でも私、王子様を好きなわけでもないし…」
ゲームやってただけだしなぁ。
「以前のようにハルトと呼んで、サクラ。私への気持ちは忘れてしまったのか?あんなに深く愛し合ったのに」
そうだっけ?あのゲーム18禁じゃなかったよね、まだ出来る年じゃないし。せいぜいベロチューの描写あったくらいじゃなかったっけ。
「あの、ゲームでやってただけで…」
「ゲーム?」
「テレビゲーム…なんて言えばいいのかな。あ、ゲームブックみたいな。自分の選択で物語が変化する」
お土産でもらってやったことある。あれもすぐ飽きた。
「ゲームブックは知っている。サクラはそれをやって私と恋に落ちたと」
「まぁ、そんな感じです。それにゲームのサクラは本当の私じゃないです、好かれてるのはそっちのサクラでしょ?」
「しかしゲームブックの中だとしてもサクラ本人が私と愛し合ったのは事実だ。私には現実で、君は私が愛したサクラ本人だ。何の問題がある?」
あなたを好きじゃないという大問題が。
「ほんの些事だ。サクラが私をもう愛していないならもう一度恋に落ちてもらう」
「最初から愛してないし…」
「本の中だろうと全て覚えている。サクラ、共に過ごした時は消えていない。愛した事実も消えない」
「事実…事実ぅ……?」
えぇー?ゲームしただけなのに?
「7年だ…7年探したんだサクラ。君を想わない日などなかった。愛している。サクラは軽い気持ちだったのかもしれないが、責任をとって私に愛されてくれ。必ずサクラの愛を得ると誓おう」
「責任…7年……」
「そうだ、私の愛を手に入れた責任をとって欲しい」
ゲームしただけなのに責任が伴っちゃうのか、乙女ゲームこわい。
「責任をとるって、どうすればいいんですか?」
「婚姻を」
「責任の取り方が重いです。むり」
「……では婚約を」
「一緒ですって…それに私庶民だし、王太子様の相手にはちょっと。王妃様とか無理です」
「サクラはまだ侯爵家に籍がある。全く問題ないし、サクラを呼び寄せた後自死すると決めた時に王太子の座を返上したから王妃にはならなくて良い。サクラが生きているならこのまま臣下に下る」
王子様の愛が重い。
「あの……私誰かを好きになったことってなくてですね」
「そうか、それは嬉しい情報だ。愛したのも口付けを交わしたのも全て私だけだと」
「いや、ゲームはゲームで現実じゃないんで。愛してないしキスもしたことないです」
二次元をカウントしないでくれないかな。
「何度も言うが私には現実だ、サクラの告白も柔らかい唇も全て本物だった。、ん」
上向かされてちゅ、って口くっつけられた。
「………」
「ホラ、以前と何も変わらない。柔らかくて潤しい唇だ」
「ファーストキス……」
「そうだ、サクラと私の二度目のファーストキスだな」
王子様はそれはそれは麗しく蕩けるような顔をして笑った。
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