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それから
しおりを挟む顔が熱くて、喉が熱くて、ドキドキする。するけど昨日みたいに壊れそうな感じじゃない。
「は、」
苦しくて合間にちょっと目を開けたら、潤んで高揚した瞳と目が合った。
途端に何か色々昂って、大きく口が開いたせいで飲み下せなかった唾液が口から溢れる。
恥ずかしくて拭こうとした腕をソファに縫い付けられて、零れて垂れた所から舐め取られて、そのまま上がってきた唇に吸い尽くされそう。
最後にちゅって音と共に口が離れたけど、拘束された手はそのままだし、耳に息かかってこそばゆい。
「生涯かけて幸せにするよ。好きになってくれてありがとう、桜」
抱き寄せられたままの体制で、耳元で掠れた声で囁かれて、言葉になってない変な返事しか出来なかった。
***
ちゃんと告白して、約束してからのハルト様は迅速だった。
その日のうちに7年間の婚約を経て結婚するってことになってて、最短で式の予定が組まれた。
私は社交出来ないって事になってるから、それ利用して領地で本当に小さい式を挙げる。他の人なんてわかんないし、千花とマークスさんがお祝いしてくれるだけで嬉しい。
王様には流石にご挨拶に行くことになった。
浴衣気に入ったのが分かってたハルト様が豪華な着物を仕立ててくれていて、それを着て会いに行く。
「ドレスとかよりこっちのがいいね、やっぱ日本人には着物だよ。数年早いけど成人式みたいにあとで写真とろーよ」
「えー、それなら千花も着てよ。そんで一緒に撮ろ?着物ってよっぽど背の高さ違わない限り着れるよね」
まだ何着も部屋に着物が並べられてて、絶対こんないっぱい着て行く機会ない。
「この顔に着物合うー?そもそも桜に似合う色柄しかないでしょ。あ、式で白無垢見たい。殿下に提案しとこ」
「…私お金ないから作ってとか言えないけど、レンタルとかないかハルト様に聞いてみる。白無垢もあるならレンタルで十分だな」
「私のはともかく桜の分は絶対作るよ、そんで記念にとっときそう」
うん。そうなる未来しか見えない。
「ねー、この世界の和洋折衷感すごいよね」
「確かに日本の感覚あったら違和感あるかも、思考停止して便利~って思っとくしかないな。不便より全然いいしさ。私あんま考えないタイプだし何も思わないけど」
「考えないのは私も得意っぽいからそーする」
「あはは、無事纏まって良かったね。おめでと♡いつか桜と恋愛話してみたかったんだよねぇ、まさか30年かかるとは思わなかったよ」
後ろから笑いながら言われたけど、私的には1年経ってないしな。
「私基本の性格そのままで割とすぐ順応したんだけど、記憶戻ってからずっと桜が気になっててさ。こんな時間経ってても、また仲良く出来る様になって嬉しいよ。自分がおばちゃんな感覚がどうしてもあったけど、桜と居ると高校時代に戻ったみたい。今度は一緒に大人になろーね?私もう成人してるけどさ、気持ちは桜と同じ17だから♡」
「そうだね、みんな大人だもんねぇ」
「気持ちは高校生だって言ってんじゃん。ほい出来た、素人にしちゃ上等でしょ」
お喋りしながら髪を器用に結ってくれていた千花
が全体を見えるように鏡を向けてくれて、スッキリしたまとめ髪と温泉街で買ってもらった髪飾りが見える。
「おー、千花すごーい。ありがと!」
「初めて侍女っぽいことしたわ、普段は髪の毛ハルト様がやらせてくんないし」
ハルト様は案外不器用だったようで、まとめ髪はいくら練習してみても失敗するので今回諦めてくれた。
「うん、いー感じ。そんじゃ頑張って行ってらっしゃーい」
手を振りながら背中を押されて、部屋を追い出されたら廊下でハルト様が待ってた。
「ああ、似合うな。さっさと終わらせて帰って、可愛い桜を抱き締めたい」
すぐさま駆け寄ってきて、軽く頬にキスされる。
「ハルト様いつもよりキラキラしてますね」
今日はゴージャス感強い。豪華な着物着たところで太刀打ちできないな、私全然釣り合ってない。
二人で玄関を出て、お城まで手を繋いで並んで歩いてく。
「今日が終わったらあとはもう本当にやることがないから、土地を移ったあとはのんびり出来るな」
「今でも十分のんびりさせてもらってますけど、ハルト様は色々お仕事お疲れ様でした」
「全部桜と居るための事ばかりだったからそんなに疲れてないよ。ここ数ヶ月は幸せなことばかりだった」
数ヶ月で人生まるっきり変わっちゃったな。
変わっちゃったけど、変わらず穏やかな心で生活してて、これからもずっとそうなんだろうなって思うからこの先にあんまり不安はない。
「うん、私も幸せです」
ハルト様の蕩けた瞳が嬉しそうに私を見て、髪を撫でながら口付けられる。
私もいろんな気持ちを込めて、繋いだ手を引き寄せてキスを贈った。
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