23 / 23
それから
しおりを挟む顔が熱くて、喉が熱くて、ドキドキする。するけど昨日みたいに壊れそうな感じじゃない。
「は、」
苦しくて合間にちょっと目を開けたら、潤んで高揚した瞳と目が合った。
途端に何か色々昂って、大きく口が開いたせいで飲み下せなかった唾液が口から溢れる。
恥ずかしくて拭こうとした腕をソファに縫い付けられて、零れて垂れた所から舐め取られて、そのまま上がってきた唇に吸い尽くされそう。
最後にちゅって音と共に口が離れたけど、拘束された手はそのままだし、耳に息かかってこそばゆい。
「生涯かけて幸せにするよ。好きになってくれてありがとう、桜」
抱き寄せられたままの体制で、耳元で掠れた声で囁かれて、言葉になってない変な返事しか出来なかった。
***
ちゃんと告白して、約束してからのハルト様は迅速だった。
その日のうちに7年間の婚約を経て結婚するってことになってて、最短で式の予定が組まれた。
私は社交出来ないって事になってるから、それ利用して領地で本当に小さい式を挙げる。他の人なんてわかんないし、千花とマークスさんがお祝いしてくれるだけで嬉しい。
王様には流石にご挨拶に行くことになった。
浴衣気に入ったのが分かってたハルト様が豪華な着物を仕立ててくれていて、それを着て会いに行く。
「ドレスとかよりこっちのがいいね、やっぱ日本人には着物だよ。数年早いけど成人式みたいにあとで写真とろーよ」
「えー、それなら千花も着てよ。そんで一緒に撮ろ?着物ってよっぽど背の高さ違わない限り着れるよね」
まだ何着も部屋に着物が並べられてて、絶対こんないっぱい着て行く機会ない。
「この顔に着物合うー?そもそも桜に似合う色柄しかないでしょ。あ、式で白無垢見たい。殿下に提案しとこ」
「…私お金ないから作ってとか言えないけど、レンタルとかないかハルト様に聞いてみる。白無垢もあるならレンタルで十分だな」
「私のはともかく桜の分は絶対作るよ、そんで記念にとっときそう」
うん。そうなる未来しか見えない。
「ねー、この世界の和洋折衷感すごいよね」
「確かに日本の感覚あったら違和感あるかも、思考停止して便利~って思っとくしかないな。不便より全然いいしさ。私あんま考えないタイプだし何も思わないけど」
「考えないのは私も得意っぽいからそーする」
「あはは、無事纏まって良かったね。おめでと♡いつか桜と恋愛話してみたかったんだよねぇ、まさか30年かかるとは思わなかったよ」
後ろから笑いながら言われたけど、私的には1年経ってないしな。
「私基本の性格そのままで割とすぐ順応したんだけど、記憶戻ってからずっと桜が気になっててさ。こんな時間経ってても、また仲良く出来る様になって嬉しいよ。自分がおばちゃんな感覚がどうしてもあったけど、桜と居ると高校時代に戻ったみたい。今度は一緒に大人になろーね?私もう成人してるけどさ、気持ちは桜と同じ17だから♡」
「そうだね、みんな大人だもんねぇ」
「気持ちは高校生だって言ってんじゃん。ほい出来た、素人にしちゃ上等でしょ」
お喋りしながら髪を器用に結ってくれていた千花
が全体を見えるように鏡を向けてくれて、スッキリしたまとめ髪と温泉街で買ってもらった髪飾りが見える。
「おー、千花すごーい。ありがと!」
「初めて侍女っぽいことしたわ、普段は髪の毛ハルト様がやらせてくんないし」
ハルト様は案外不器用だったようで、まとめ髪はいくら練習してみても失敗するので今回諦めてくれた。
「うん、いー感じ。そんじゃ頑張って行ってらっしゃーい」
手を振りながら背中を押されて、部屋を追い出されたら廊下でハルト様が待ってた。
「ああ、似合うな。さっさと終わらせて帰って、可愛い桜を抱き締めたい」
すぐさま駆け寄ってきて、軽く頬にキスされる。
「ハルト様いつもよりキラキラしてますね」
今日はゴージャス感強い。豪華な着物着たところで太刀打ちできないな、私全然釣り合ってない。
二人で玄関を出て、お城まで手を繋いで並んで歩いてく。
「今日が終わったらあとはもう本当にやることがないから、土地を移ったあとはのんびり出来るな」
「今でも十分のんびりさせてもらってますけど、ハルト様は色々お仕事お疲れ様でした」
「全部桜と居るための事ばかりだったからそんなに疲れてないよ。ここ数ヶ月は幸せなことばかりだった」
数ヶ月で人生まるっきり変わっちゃったな。
変わっちゃったけど、変わらず穏やかな心で生活してて、これからもずっとそうなんだろうなって思うからこの先にあんまり不安はない。
「うん、私も幸せです」
ハルト様の蕩けた瞳が嬉しそうに私を見て、髪を撫でながら口付けられる。
私もいろんな気持ちを込めて、繋いだ手を引き寄せてキスを贈った。
2
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる