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第16話
(10)
内奥深くで賢吾のものがゆっくりと動き、身震いしたくなるような肉の悦びを感じる。この状態で賢吾の囁きは、あまりに危険だった。どれだけ屈辱に満ちた命令だろうが、従いたくなる。
「どうしても、ダメか?」
抉るように内奥を突き上げられ、和彦の唇から喘ぎがこぼれ出る。なんとか浅く頷いた和彦に、賢吾があるものを見せてきた。快感に霞む目を凝らしてよく見てみると、細長いヘアピンだった。凝った飾りがついてはいるものの、珍しいものではない。
「着物の間に紛れ込んでいた。普通は髪を留めるために使うものだが、性質の悪いヤクザは、こういう形をしたものを見て、あることに使えると考えるんだ」
「……な、んだ……」
しっかりと腰を抱え込まれた和彦は、ヘアピンを持つ賢吾の片手が、両足の間に差し込まれたことを感じ、『性質の悪いヤクザ』が何をしようとしているのか理解した。
恐怖が体を駆け抜けるが、悔しいことに、それだけではないのだ。濡れた先端を、くすぐるようにヘアピンが掠める。和彦の呼吸が弾む。
「これぐらい細ければ、案外すんなりと入るぞ。最初は痛いらしいが、独特の快感があるらしい。――ここを開発してくれた男は、さすがにいなかっただろ。味わってみるか?」
賢吾の口調は冗談めいてはいるが、だからこそ、実行しても不思議ではなかった。
全身を震わせるようにして喘ぐ和彦に、賢吾が念押しするように問いかけてくる。
「突っ込まれたいか?」
和彦が懸命に首を横に振ると、賢吾は目の前で、ヘアピンを放り投げてくれた。次の瞬間、両手でしっかりと腰を掴まれ、背後から激しく突き上げられる。
「うあっ、あっ、賢吾さんっ……、あっ、い、や――、あううっ」
「さあ、先生のわがままは聞いてやったんだ。俺のわがままを聞いてくれ」
ヤクザの手口だった。望んでもいないことを押し付けてきて、こちらがうろたえながら拒否すると、引いてはくれるのだが、次に恩着せがましく要求を突きつけてくる。この手口に搦め捕られたら、多分逃げられない。
賢吾の逞しいものが内奥を強く擦り上げる。自分の快感だけを追い求めている動きだが、それでも和彦に狂おしい悦びを与えてくれる。
和彦の腰を抱え込み、賢吾が低く唸る。同時に内奥で、熱い欲望が脈動して、爆ぜた。
「ひっ……、あっ、あぁ……」
精のすべてを注ぎ込むように賢吾にゆっくりと突き上げられ、両足を震わせながら和彦はその動きを受け止める。しかし賢吾は、和彦をさらに追い上げてきて、反り返って震えるものを長襦袢の布で包み込み、軽く扱いてくる。滑らかな絹の感触は、鳥肌が立ちそうなほど強烈だった。
気がついたときには和彦も絶頂に達し、長襦袢を精で汚してしまう。和彦は掠れた声で必死に訴えた。
「……も、う、立って、られないんだ」
「ああ。よくがんばったな、先生」
内奥から賢吾のものが引き抜かれた途端、その場にへたり込む。このときになって和彦は、自分がくしゃくしゃになった着物の上に座っていることに気づいた。とてつもない罪悪感に襲われ、慌てて着物の上から退こうとしたが、すかさず賢吾に抱き締められ、両足の間をまさぐられる。
「さあ、先生、〈漏らして〉見せてくれ――」
屈辱と羞恥、否定できない被虐的な悦びを生む一言を耳元に囁かれ、和彦は抗えなかった。嗚咽をこぼしながら賢吾の腕にすがりつき、望まれるまま痴態を晒す。
大蛇の化身のような男を喜ばせるために。
ダイニングでお茶を飲みながらも、不機嫌さを隠そうとしていない和彦を見て、千尋は苦笑を洩らした。
「もしかして、オヤジが原因?」
「……本宅にいて、ぼくを怒らせる原因が他にあると思っているのか」
何がおかしかったのか、千尋は腹を抱えて爆笑する。怒っている和彦とは対照的に、千尋は機嫌がよさそうだ。
「それで先生、昼前に風呂入って、どこか出かける予定でもあるわけ?」
ようやく笑い収めた千尋に問われ、内心でうろたえながらも和彦は首を横に振る。
「別に……。ちょっとさっぱりしたかっただけだ」
賢吾が着替えに使っていた和室は、片付けは組員に任せればいいと言われたが、冗談じゃないと一喝して、羞恥に身を震わせながら和彦が掃除した。汚れた着物と長襦袢については、和彦がバケツに水を汲みに行った間に、賢吾が処分したようだ。
千尋の母親が残していったものを、あんな形で汚したのは、心が痛む。ときどき、賢吾の物事に対する淡白さについていけなくなることがあるが、今日の行為は、まさにそれだ。一方で、〈オンナ〉に対する絡み付くような賢吾の執着に、妖しい衝動も覚えたりするのだから、我ながら度し難いと和彦は思う。
お茶を啜った和彦は、ここでやっと、あることに気づいた。
「どうしても、ダメか?」
抉るように内奥を突き上げられ、和彦の唇から喘ぎがこぼれ出る。なんとか浅く頷いた和彦に、賢吾があるものを見せてきた。快感に霞む目を凝らしてよく見てみると、細長いヘアピンだった。凝った飾りがついてはいるものの、珍しいものではない。
「着物の間に紛れ込んでいた。普通は髪を留めるために使うものだが、性質の悪いヤクザは、こういう形をしたものを見て、あることに使えると考えるんだ」
「……な、んだ……」
しっかりと腰を抱え込まれた和彦は、ヘアピンを持つ賢吾の片手が、両足の間に差し込まれたことを感じ、『性質の悪いヤクザ』が何をしようとしているのか理解した。
恐怖が体を駆け抜けるが、悔しいことに、それだけではないのだ。濡れた先端を、くすぐるようにヘアピンが掠める。和彦の呼吸が弾む。
「これぐらい細ければ、案外すんなりと入るぞ。最初は痛いらしいが、独特の快感があるらしい。――ここを開発してくれた男は、さすがにいなかっただろ。味わってみるか?」
賢吾の口調は冗談めいてはいるが、だからこそ、実行しても不思議ではなかった。
全身を震わせるようにして喘ぐ和彦に、賢吾が念押しするように問いかけてくる。
「突っ込まれたいか?」
和彦が懸命に首を横に振ると、賢吾は目の前で、ヘアピンを放り投げてくれた。次の瞬間、両手でしっかりと腰を掴まれ、背後から激しく突き上げられる。
「うあっ、あっ、賢吾さんっ……、あっ、い、や――、あううっ」
「さあ、先生のわがままは聞いてやったんだ。俺のわがままを聞いてくれ」
ヤクザの手口だった。望んでもいないことを押し付けてきて、こちらがうろたえながら拒否すると、引いてはくれるのだが、次に恩着せがましく要求を突きつけてくる。この手口に搦め捕られたら、多分逃げられない。
賢吾の逞しいものが内奥を強く擦り上げる。自分の快感だけを追い求めている動きだが、それでも和彦に狂おしい悦びを与えてくれる。
和彦の腰を抱え込み、賢吾が低く唸る。同時に内奥で、熱い欲望が脈動して、爆ぜた。
「ひっ……、あっ、あぁ……」
精のすべてを注ぎ込むように賢吾にゆっくりと突き上げられ、両足を震わせながら和彦はその動きを受け止める。しかし賢吾は、和彦をさらに追い上げてきて、反り返って震えるものを長襦袢の布で包み込み、軽く扱いてくる。滑らかな絹の感触は、鳥肌が立ちそうなほど強烈だった。
気がついたときには和彦も絶頂に達し、長襦袢を精で汚してしまう。和彦は掠れた声で必死に訴えた。
「……も、う、立って、られないんだ」
「ああ。よくがんばったな、先生」
内奥から賢吾のものが引き抜かれた途端、その場にへたり込む。このときになって和彦は、自分がくしゃくしゃになった着物の上に座っていることに気づいた。とてつもない罪悪感に襲われ、慌てて着物の上から退こうとしたが、すかさず賢吾に抱き締められ、両足の間をまさぐられる。
「さあ、先生、〈漏らして〉見せてくれ――」
屈辱と羞恥、否定できない被虐的な悦びを生む一言を耳元に囁かれ、和彦は抗えなかった。嗚咽をこぼしながら賢吾の腕にすがりつき、望まれるまま痴態を晒す。
大蛇の化身のような男を喜ばせるために。
ダイニングでお茶を飲みながらも、不機嫌さを隠そうとしていない和彦を見て、千尋は苦笑を洩らした。
「もしかして、オヤジが原因?」
「……本宅にいて、ぼくを怒らせる原因が他にあると思っているのか」
何がおかしかったのか、千尋は腹を抱えて爆笑する。怒っている和彦とは対照的に、千尋は機嫌がよさそうだ。
「それで先生、昼前に風呂入って、どこか出かける予定でもあるわけ?」
ようやく笑い収めた千尋に問われ、内心でうろたえながらも和彦は首を横に振る。
「別に……。ちょっとさっぱりしたかっただけだ」
賢吾が着替えに使っていた和室は、片付けは組員に任せればいいと言われたが、冗談じゃないと一喝して、羞恥に身を震わせながら和彦が掃除した。汚れた着物と長襦袢については、和彦がバケツに水を汲みに行った間に、賢吾が処分したようだ。
千尋の母親が残していったものを、あんな形で汚したのは、心が痛む。ときどき、賢吾の物事に対する淡白さについていけなくなることがあるが、今日の行為は、まさにそれだ。一方で、〈オンナ〉に対する絡み付くような賢吾の執着に、妖しい衝動も覚えたりするのだから、我ながら度し難いと和彦は思う。
お茶を啜った和彦は、ここでやっと、あることに気づいた。
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