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第34話
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肌に残る愛撫の痕跡を指先で辿りながら、賢吾がそんなことを呟く。和彦は、ここ数日の自分の浅ましい生活を思い返し、激しい羞恥から顔を背ける。実は今日も、まさか仕事で呼び出されるとは思っておらず、朝から三田村と、ベッドで睦み合っていたのだ。
「三田村は、お前を丹念に愛してやっているようだ」
腕の付け根についた鮮やかな鬱血の跡に、賢吾が唇を押し当ててくる。いきなり強く肌を吸い上げられて、和彦は痛みに声を洩らす。こんな愛撫を全身に施されては、せっかく回復した体力を吸い尽くされてしまうと本気で危惧したが、賢吾は自分がつけた跡を満足げに眺めたあと、まだ水気が残る和彦の肌を舌で舐め回し始めた。
「うっ、あぁっ……」
首筋をベロリと舐め上げられて、熱い疼きが体の奥で湧き起こる。耳の穴まで丹念に舐められ心地よさに身震いしたあと、重なってきた逞しい体に両腕を回してすがりつく。和彦が何を欲しているかよくわかっている男は、もったいぶった手つきで自分が着ている浴衣を脱ぎ落とした。
喉を鳴らし、和彦は背の大蛇にてのひらを這わせる。賢吾が身じろぐたびに、背の大蛇の鱗が蠢く様を想像して、官能が高まる。できることなら、三田村にしたように、背に唇と舌をたっぷり這わせたいが、それは賢吾が許してくれなかった。
和彦の顔を覗き込み、こんなことを言ったのだ。
「――味わうのは、俺が先だ。お前のいやらしい部分の肉の味を、全部確認しておかないとな」
唇を塞がれ、引き出された舌を露骨に濡れた音を立てて吸われる。さらに強く歯を立てられたときは、このまま噛み千切られるのではないかと本気で怯えたが、乱暴な口づけの最中に、胸の突起を優しくくすぐられて、呆気なく賢吾のやり方に翻弄される。
瞬く間に興奮のため硬く凝った突起を、これ見よがしに舌先で弄られて、和彦は細い声を洩らす。乱暴な口づけでしたように、きつく吸い上げ、歯を立ててほしいのに、賢吾はそうはしてくれない。焦らすように左右の突起を軽く吸い上げ、尖りを確認するように舌先でそっと舐めるだけだ。
「はっ……、賢、吾っ……」
「三田村に吸われまくって、こんなに真っ赤に腫らしているくせに、俺にも吸ってほしいのか?」
意地悪く三田村の名を出して煽られ、和彦は唇を引き結ぶ。そんな和彦の表情を上目遣いで確認した賢吾は、いきなり突起を口腔に含み、激しく吸い始める。さらに、もう片方の突起を強く指先で摘み上げられ、捻られる。和彦は痛みに悲鳴を上げ、賢吾の頭を押しのけようとしたが、反対に肌に強く吸い付かれ、歯を立てられた。
胸元にいくつもつけられたのは、愛撫の跡という可愛いものではなく、暴力の跡だ。かろうじて血は滲んでいないが、賢吾が内に秘めた残虐性を知るには十分だった。
ようやく賢吾が顔を上げたとき、和彦は息を喘がせながらぐったりとしていた。痛みに怯えて身を硬くしていると、それだけで体力を消耗する。
弱々しく賢吾を睨みつけると、薄い笑みで返された。
「――自分が、どんな男のオンナなのか、思い出したか?」
あごの下をくすぐりながらの賢吾の言葉に、和彦は吐き出すように答える。
「思い出すどころか、忘れたことはない」
満足げに目を細めた賢吾が、優しく唇を啄ばんでくる。最初は意地になって応じなかった和彦だが、腰と腰を密着させられ、賢吾の熱い欲望を下腹部に擦りつけられているうちに、息が弾み、つい唇を吸い返してしまう。
賢吾に片手を取られ、力強く脈打つ欲望を握らされる。小さく喘ぎ声をこぼすと、すかさず舌が口腔に入り込み、ここでもう賢吾を拒むことはできなくなっていた。自分からしっかりと賢吾の欲望を握り、緩やかに扱く。すると賢吾の手も、和彦の欲望に触れてきた。まだ反応していないと知ると、苦笑交じりで言われた。
「溜まる暇もないみたいだな。俺たちに搾り取られ、三田村に搾り取られ――」
「下品な言い方をするなっ」
「ふやけるほどしゃぶってやってもいいが、勃たないなら、つらいだけだろう。だったら、後ろの肉を味わうとするか」
体を起こした賢吾が、羞恥で全身を熱くしている和彦の腿を軽く叩き、傲慢に命令してくる。
「うつぶせになって、尻を突き出せ」
「……何様だ、あんた……」
「お前をオンナにしている男だ。――さあ、早くしろ」
もう一度腿を叩かれ、仕方なく命令に従う。さすがに尻を突き出せないでいると、賢吾に腰を掴まれ、容赦なく引き寄せられた。
「うっ」
直に尻の肉を鷲掴まれ、ビクリと腰を震わせる。賢吾の強い視線を感じる部分にも、当然三田村の丹念な愛撫は施されており、まだ微かな疼きが残っていた。
「何度見ても、絶景だな。こうして眺めるお前の尻は」
「三田村は、お前を丹念に愛してやっているようだ」
腕の付け根についた鮮やかな鬱血の跡に、賢吾が唇を押し当ててくる。いきなり強く肌を吸い上げられて、和彦は痛みに声を洩らす。こんな愛撫を全身に施されては、せっかく回復した体力を吸い尽くされてしまうと本気で危惧したが、賢吾は自分がつけた跡を満足げに眺めたあと、まだ水気が残る和彦の肌を舌で舐め回し始めた。
「うっ、あぁっ……」
首筋をベロリと舐め上げられて、熱い疼きが体の奥で湧き起こる。耳の穴まで丹念に舐められ心地よさに身震いしたあと、重なってきた逞しい体に両腕を回してすがりつく。和彦が何を欲しているかよくわかっている男は、もったいぶった手つきで自分が着ている浴衣を脱ぎ落とした。
喉を鳴らし、和彦は背の大蛇にてのひらを這わせる。賢吾が身じろぐたびに、背の大蛇の鱗が蠢く様を想像して、官能が高まる。できることなら、三田村にしたように、背に唇と舌をたっぷり這わせたいが、それは賢吾が許してくれなかった。
和彦の顔を覗き込み、こんなことを言ったのだ。
「――味わうのは、俺が先だ。お前のいやらしい部分の肉の味を、全部確認しておかないとな」
唇を塞がれ、引き出された舌を露骨に濡れた音を立てて吸われる。さらに強く歯を立てられたときは、このまま噛み千切られるのではないかと本気で怯えたが、乱暴な口づけの最中に、胸の突起を優しくくすぐられて、呆気なく賢吾のやり方に翻弄される。
瞬く間に興奮のため硬く凝った突起を、これ見よがしに舌先で弄られて、和彦は細い声を洩らす。乱暴な口づけでしたように、きつく吸い上げ、歯を立ててほしいのに、賢吾はそうはしてくれない。焦らすように左右の突起を軽く吸い上げ、尖りを確認するように舌先でそっと舐めるだけだ。
「はっ……、賢、吾っ……」
「三田村に吸われまくって、こんなに真っ赤に腫らしているくせに、俺にも吸ってほしいのか?」
意地悪く三田村の名を出して煽られ、和彦は唇を引き結ぶ。そんな和彦の表情を上目遣いで確認した賢吾は、いきなり突起を口腔に含み、激しく吸い始める。さらに、もう片方の突起を強く指先で摘み上げられ、捻られる。和彦は痛みに悲鳴を上げ、賢吾の頭を押しのけようとしたが、反対に肌に強く吸い付かれ、歯を立てられた。
胸元にいくつもつけられたのは、愛撫の跡という可愛いものではなく、暴力の跡だ。かろうじて血は滲んでいないが、賢吾が内に秘めた残虐性を知るには十分だった。
ようやく賢吾が顔を上げたとき、和彦は息を喘がせながらぐったりとしていた。痛みに怯えて身を硬くしていると、それだけで体力を消耗する。
弱々しく賢吾を睨みつけると、薄い笑みで返された。
「――自分が、どんな男のオンナなのか、思い出したか?」
あごの下をくすぐりながらの賢吾の言葉に、和彦は吐き出すように答える。
「思い出すどころか、忘れたことはない」
満足げに目を細めた賢吾が、優しく唇を啄ばんでくる。最初は意地になって応じなかった和彦だが、腰と腰を密着させられ、賢吾の熱い欲望を下腹部に擦りつけられているうちに、息が弾み、つい唇を吸い返してしまう。
賢吾に片手を取られ、力強く脈打つ欲望を握らされる。小さく喘ぎ声をこぼすと、すかさず舌が口腔に入り込み、ここでもう賢吾を拒むことはできなくなっていた。自分からしっかりと賢吾の欲望を握り、緩やかに扱く。すると賢吾の手も、和彦の欲望に触れてきた。まだ反応していないと知ると、苦笑交じりで言われた。
「溜まる暇もないみたいだな。俺たちに搾り取られ、三田村に搾り取られ――」
「下品な言い方をするなっ」
「ふやけるほどしゃぶってやってもいいが、勃たないなら、つらいだけだろう。だったら、後ろの肉を味わうとするか」
体を起こした賢吾が、羞恥で全身を熱くしている和彦の腿を軽く叩き、傲慢に命令してくる。
「うつぶせになって、尻を突き出せ」
「……何様だ、あんた……」
「お前をオンナにしている男だ。――さあ、早くしろ」
もう一度腿を叩かれ、仕方なく命令に従う。さすがに尻を突き出せないでいると、賢吾に腰を掴まれ、容赦なく引き寄せられた。
「うっ」
直に尻の肉を鷲掴まれ、ビクリと腰を震わせる。賢吾の強い視線を感じる部分にも、当然三田村の丹念な愛撫は施されており、まだ微かな疼きが残っていた。
「何度見ても、絶景だな。こうして眺めるお前の尻は」
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