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第36話
(25)
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和彦の内奥は、侵入者を見境なく締め付ける。玲はまだ快感を味わえてはいないだろう。
玲が緩く腰を突き上げながら、少しずつ侵入を深くしていく。和彦は浅い呼吸を繰り返し、なるべく下腹部に力を入れないよう努める。内奥の圧迫感と異物感が増していき、馴染みのある感覚に安堵する。
何度か出し入れを繰り返し、内奥の肉を押し広げていく。玲なりに、和彦に苦痛を与えまいと努力しているのが伝わってきて、じわりと胸の奥が温かくなる。
「んうっ」
切羽詰った声を上げたのは玲だった。内奥に欲望を根元まで埋め込むと、和彦の胸元に倒れ込んでくる。熱くなった体からはすでに汗が噴き出し、濡れている。
繋がっているせいもあり、玲の力強い鼓動がこちらにまで伝わってくるようだった。一回り以上も年下の青年の生命力をこんな形で感じて、繋がった部分が疼く。
しがみついてくる玲の背を何度も撫でながら、和彦は低く囁く。
「もう少し待ってくれ。中が柔らかくなって、具合がよくなる」
顔を覗き込んできた玲が笑った。
「――エロいな、あなた。すごく」
ここで唇を重ね、貪るように唇と舌を吸い合う。短い間に、玲の口づけはどんどん和彦好みのものへと変化していた。
差し出した舌先を擦りつけ合い、唾液を交わす。それから舌を絡め合いながら、和彦は腰を揺らす。内奥で息づく熱い欲望の存在を強く意識して、吐息を洩らしていた。玲がぎこちなく欲望を動かし、やはり吐息を洩らす。
「本当だ。中、柔らかくなってきました。でも、締まってます」
「痛くない?」
和彦は息を詰め、内奥を収縮させる。玲が呻き声を洩らし、欲望が小刻みに震えた。
「気持ちいい……。すげー、いい。腰が溶けそうです」
玲が腰を揺すり、和彦は小さく喘ぐ。意外にがっしりしている腰に両腕を回して抱き寄せると、玲は呻き声を洩らす。
あっ、と和彦が声を洩らしたときには、玲は内奥で達していた。
ビクビクと震える欲望の蠢きに、和彦は快感にも似た愛しさを感じる。相手が誰であろうが、自分が快感を与えられたと強く実感できるこの瞬間は、好きだった。
ポタポタと汗を滴らせながら玲が顔を寄せ、切実な声で訴えてくる。
「まだ……、あなたの中に、いたい……」
「いいよ。ぼくもまだ、君に中にいてほしい」
玲の回復力は目覚しく、抱き合って呼吸を整えている間に、内奥で瞬く間に欲望が力を取り戻していく。
ぐっと腰を押し付けられ、和彦は鳴いた。
「あっ、あっ、い、い――……。硬いの、奥まで、きてる……」
「本当に、エロいな、あなたは……」
抱き合ったまま、玲が腰だけを動かして律動を始める。もう、和彦が助言するまでもなく、どう動けばいいのか、本能――というより欲情によって理解したのだ。
きつい収縮を繰り返すばかりだった内奥の動きが変わったことに、玲は気づいただろう。
物欲しげに淫らな蠕動を始め、熱く濡れた襞と粘膜が、激しく動く欲望に愛しげにまとわりつき、吸い付く。そこを擦り上げられるたびに、さざなみのように肉の悦びが生まれ、和彦の全身へと広がっていくのだ。
「はあっ……、んっ、んぅっ、ふっ……」
このままでは自分だけが一方的に悦びを享受してしまうと、甘い危惧を抱いた和彦に、玲が生まじめな声でねだってきた。
「――後ろから、いいですか? あなたの全部を見ておきたい」
「初めてだっていうのに、探究心旺盛だな」
和彦は、玲の要望を叶えるため、一度繋がりを解いてうつ伏せとなる。腰をわずかに上げた拍子に、さきほど注ぎ込まれた玲の精が内奥から滴り落ちた。
玲の手に腰や尻を撫でられ、濡れた内腿もまさぐられる。和彦がゆっくりと息を吐いていると、いきなり背後から押し入られて、堪え切れずに声を上げる。
「あうぅっ」
内奥深くまで欲望を捩じ込まれる。この体位は、よりはっきりと欲望の形を感じ取り、顔が見えないからこそ、相手の手の動きや息遣いに敏感になる。
腰を掴まれて深く繋がると、玲が大きく息を吐き出した。
「……思った通りだ……。後ろからも、いい」
和彦がわずかに身を捩って玲を振り返ろうとしたところで、背を撫で上げられ、ゾクリとした。
無防備な姿を晒しているという事実が、被虐的な愉悦を生み出す。背をしならせると、その動きに誘われたように、背後から緩やかに内奥を突かれ、和彦は控えめに声を上げる。
多淫な襞と粘膜を擦り上げられ、自分でもどうかと思うほど、異常に高ぶり、感じていた。玲の欲望をしっかりと咥え込んで締め付けながら、浅ましく腰を揺らすと、内奥を抉るようにぐうっと突かれる。
「あっ、うっ、うっ……」
玲が緩く腰を突き上げながら、少しずつ侵入を深くしていく。和彦は浅い呼吸を繰り返し、なるべく下腹部に力を入れないよう努める。内奥の圧迫感と異物感が増していき、馴染みのある感覚に安堵する。
何度か出し入れを繰り返し、内奥の肉を押し広げていく。玲なりに、和彦に苦痛を与えまいと努力しているのが伝わってきて、じわりと胸の奥が温かくなる。
「んうっ」
切羽詰った声を上げたのは玲だった。内奥に欲望を根元まで埋め込むと、和彦の胸元に倒れ込んでくる。熱くなった体からはすでに汗が噴き出し、濡れている。
繋がっているせいもあり、玲の力強い鼓動がこちらにまで伝わってくるようだった。一回り以上も年下の青年の生命力をこんな形で感じて、繋がった部分が疼く。
しがみついてくる玲の背を何度も撫でながら、和彦は低く囁く。
「もう少し待ってくれ。中が柔らかくなって、具合がよくなる」
顔を覗き込んできた玲が笑った。
「――エロいな、あなた。すごく」
ここで唇を重ね、貪るように唇と舌を吸い合う。短い間に、玲の口づけはどんどん和彦好みのものへと変化していた。
差し出した舌先を擦りつけ合い、唾液を交わす。それから舌を絡め合いながら、和彦は腰を揺らす。内奥で息づく熱い欲望の存在を強く意識して、吐息を洩らしていた。玲がぎこちなく欲望を動かし、やはり吐息を洩らす。
「本当だ。中、柔らかくなってきました。でも、締まってます」
「痛くない?」
和彦は息を詰め、内奥を収縮させる。玲が呻き声を洩らし、欲望が小刻みに震えた。
「気持ちいい……。すげー、いい。腰が溶けそうです」
玲が腰を揺すり、和彦は小さく喘ぐ。意外にがっしりしている腰に両腕を回して抱き寄せると、玲は呻き声を洩らす。
あっ、と和彦が声を洩らしたときには、玲は内奥で達していた。
ビクビクと震える欲望の蠢きに、和彦は快感にも似た愛しさを感じる。相手が誰であろうが、自分が快感を与えられたと強く実感できるこの瞬間は、好きだった。
ポタポタと汗を滴らせながら玲が顔を寄せ、切実な声で訴えてくる。
「まだ……、あなたの中に、いたい……」
「いいよ。ぼくもまだ、君に中にいてほしい」
玲の回復力は目覚しく、抱き合って呼吸を整えている間に、内奥で瞬く間に欲望が力を取り戻していく。
ぐっと腰を押し付けられ、和彦は鳴いた。
「あっ、あっ、い、い――……。硬いの、奥まで、きてる……」
「本当に、エロいな、あなたは……」
抱き合ったまま、玲が腰だけを動かして律動を始める。もう、和彦が助言するまでもなく、どう動けばいいのか、本能――というより欲情によって理解したのだ。
きつい収縮を繰り返すばかりだった内奥の動きが変わったことに、玲は気づいただろう。
物欲しげに淫らな蠕動を始め、熱く濡れた襞と粘膜が、激しく動く欲望に愛しげにまとわりつき、吸い付く。そこを擦り上げられるたびに、さざなみのように肉の悦びが生まれ、和彦の全身へと広がっていくのだ。
「はあっ……、んっ、んぅっ、ふっ……」
このままでは自分だけが一方的に悦びを享受してしまうと、甘い危惧を抱いた和彦に、玲が生まじめな声でねだってきた。
「――後ろから、いいですか? あなたの全部を見ておきたい」
「初めてだっていうのに、探究心旺盛だな」
和彦は、玲の要望を叶えるため、一度繋がりを解いてうつ伏せとなる。腰をわずかに上げた拍子に、さきほど注ぎ込まれた玲の精が内奥から滴り落ちた。
玲の手に腰や尻を撫でられ、濡れた内腿もまさぐられる。和彦がゆっくりと息を吐いていると、いきなり背後から押し入られて、堪え切れずに声を上げる。
「あうぅっ」
内奥深くまで欲望を捩じ込まれる。この体位は、よりはっきりと欲望の形を感じ取り、顔が見えないからこそ、相手の手の動きや息遣いに敏感になる。
腰を掴まれて深く繋がると、玲が大きく息を吐き出した。
「……思った通りだ……。後ろからも、いい」
和彦がわずかに身を捩って玲を振り返ろうとしたところで、背を撫で上げられ、ゾクリとした。
無防備な姿を晒しているという事実が、被虐的な愉悦を生み出す。背をしならせると、その動きに誘われたように、背後から緩やかに内奥を突かれ、和彦は控えめに声を上げる。
多淫な襞と粘膜を擦り上げられ、自分でもどうかと思うほど、異常に高ぶり、感じていた。玲の欲望をしっかりと咥え込んで締め付けながら、浅ましく腰を揺らすと、内奥を抉るようにぐうっと突かれる。
「あっ、うっ、うっ……」
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