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FT 恋愛
【NEW】王道が一番輝いている
しおりを挟むわたくし、ミレイ・アスワード。
由緒ある侯爵家の長女として生を受けました。
「ミレイ・アスワード! この場であなたとの婚約は破棄させていただく!」
学園の卒業パーティーで、わざわざ参加者の視線が集まるように壇上にのぼり、わたくしに指をつきつける男はアムト・ビスタチア。
いいえ、訂正させていただきます。
ただの馬鹿ですわ。
「………」
「はっはっはっ! 驚きで声もでないですか!?」
かたわらに桃髪の可愛らしい娘を連れ、どうだというように見下ろすアムトに、溜息が止まらないのは何故なのか。
「アムト様、本日はそれだけでございますか?」
「それだけって他に何があるって「お黙り!!!」
このような場所で、そのような内々の揉め事をだすなど愚かにもほどがあります。桃髪は、呆気にとられた顔をして顔面を石化させていますけど。無理もないですね、なぜなら―――――――――。
「あ、アムト………さま?」
まぬけ顔が驚愕にかわり、最後には蒼白になった桃髪がわなわなと唇をふるわせ、壇上から後退りをする。
なぜなら、そこにいたのはアムトという人間ではなく、ふさふさの金色の毛並みの美しい兎が一羽、ちょこんと座っていたのですから。
『う、うあああああああああ!? ま、また俺様をこんなかわいらしいチンチクリンの見た目にしやがりましたねっ!?』
ぴん、と後ろ足で跳び上がり、抗議するように猛ダッシュでわたくしに突っ込んでくるアムト様を、ナイスキャッチで抱きとめる。
「あらアムト様。みなさまに今のあなたの声は聞こえないですよ」
愛らしい兎に満面の笑みを向ければ、この世の終わりのような顔をした兎がぐったりともたれかかった。
ああ、至福。
私の力は人を別の姿に変えるもの。
その力の内容が強すぎて、王家ですらわたくしに逆らえないというのに、この婚約者はいつだってわたくしに歯向かうのです。
『いつか、いつか絶対に婚約破棄してやります!』
※※※※※※※※※※
王道とは?(そんなものはなかったごめんなさい)
馬鹿な婚約者が可愛くて仕方がない彼女と、主導権を取りたい彼の話でした。
愛がありすぎて、どちらが主導権を取るかっていう内容です。
敬語男子は成長したら化けるって!最終的に赤面してるミレイ様もかわいい。
応援ありがとうございます!
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