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第1章 魔王軍入隊
第17話 久しぶりの人間
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俺はベルと言う少女を呼んだのだが、残念ながら彼女ではなく別の女性従業員が代わりに来た。
しかしベルとか言う少女とは違って、眼鏡に髪はお団子のように結んでおり、如何にも仕事できますオーラが漂っているし、札に店長って書いてある。
「――ご注文は何でしょうか? 只今のおすすめメニューはクラブキングのシーフードパスタです。……宜しければ個室に案内いたしますが」
そう言って俺の顔を見て小声で言う女性店長。
俺が人間だと言う事に気づいて落ち着けるように個室を案内してくれようとしてくれているようだ。
魔界にも残念ながらほんの少数だが人間も住んでおり、あの店長は何度か対応をしているのだろう。
めちゃくちゃ気遣いできる人なんだなこの人。
絶対皆に慕われてそうだよ。
俺も見習わないとな……同じ上司として。
「いやいいよ。いつか慣れないといけないからね」
「そ、そうですか……では何をご注文されますか?」
「店長のおすすめのシーフードパスタにするよ」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
店長は俺に一礼すると厨房に消えていった。
さて……どうやってベルとか言う少女に話しかけようか。
いきなり話しかけたら間違いなくおかしな人として出禁になりそうだし……迂闊に俺の身分を公開するのも避けたい。
俺がウンウンと唸りながらぼんやりと視界の隅で少女を確認していると、如何にもヤバそうな雰囲気の二人組の下に接客に行きだした。
おいおい……あんなヤバそうな雰囲気垂れ流しの客の下に新人行かせたらいけんやろ。
俺は他の従業員を確認してみるも、誰もが視線を逸していた。
そんな中、少女がやらかす。
「ご、ご注文は何でしょうか……――って人間の方!?」
その声に店内が一気にしんと静まり返る。
少女はハッとして口を抑えるがもう完全に手遅れ。
お、おお……コイツ本当に大丈夫か……?
客の素性を大声で叫ぶとか普通ダメだよ?
もしかしてまだバイト入ったばかりかなんかか?
まぁもしそうだとしても失礼極まりないことには変わりないのだが。
俺なら笑って許すのだが……どうやら相手は違ったようだ。
「おいガキ! 何勝手に言いふらしてんだよ!」
「す、すいませんッッ!」
俺は人間が大嫌いだが、今回は完全にあの少女が悪いので何も言えない。
「謝って許されるんなら法律は要らねぇんだよッ!」
「ひっ、ひぃぃぃぃ……すいませんすいません!! ゆ、許してくださいっ! まだ入ったばかりで……」
フードを被った大柄な男のほうが少女に怒鳴ると少女は必死に謝る。
その声で更に自分たちの正体をバラしている気もしないことはないが、もう一人の――比較的俺と同じくらいの身長の男が大柄な男を手で制すと、立ち上がって少女の耳に顔を近づけ、
「そんなに許してほしいなら俺達の言うことに従え。――取り敢えず外に行こうか?」
「―――……え?」
あっ――――コイツ腐ってるな。
少女が男の言葉に困惑の声を漏らすのを聞きながらそう断定した。
そもそも身を隠して魔界に来ている事自体で基本的に普通の人間でないことは確かだ。
何故なら前も説明したと思うが、魔界は瘴気によって人間にとって生きにくい環境であるため、普通なら来ない。
それでも来るという事は、何かから逃げてきたか魔界に行かないといけない理由があったかのどちらかなのだが、先程の言葉で確信した。
コイツは間違いなく後者だ。
逃げてきたならわざわざ自分たちが居た痕跡を残すような馬鹿は居ない。
更には店の従業員を連れ出そうとするなどありえないだろ?
幾ら相手が悪かろうとさ、見た目まだまだ幼そうだぞ?
人間で言う所の中学生くらい。
なら失敗しても仕方ないって思わないのかな?
まぁ思わないんだろうな。
現に目の前で無理矢理少女を連れ出そうとしているし。
まずいな……これは介入した方が良さそうか……?
「おい、抵抗せずにさっさと来い!」
「で、ですが……」
「黙ってついてこい」
「い、いや……や、やめッ――!」
少女は涙目になりながら必死に抵抗しているが、ステータスが下がっているせいでどんどん引きずられていく。
店の中にいる魔族はいきなりのことで驚いているのか誰一人動く気配がない。
店員達も怖いのかガタガタと体を震わして目を逸らしている。
「だ、誰か……助けて――――ッ!!」
少女――ベルが涙を溢して絞り出すように小さな声で、でも緊迫した声色で言う。
……………………―――コレはいいよな?
―――コイツら此処で殺しても。
「―――ちょっと待てよ」
「ああ!? 何だよテメェ……!!」
俺は店の入口に立ち、進路を妨害する。
そんな俺にキレ散らかしてくる大柄な男が近づいて……
「―――ゴファ!?」
――来ると同時にドアを道連れにして外に投げ捨てる。
ものすごい轟音が後ろから聞こえたが放って置く。
死んでいたとしても別にいいしな。
それにしても……
「ハハッ――最近人間に会ってなかったからすっかり忘れていたわ。人間ってこんなのだったな」
「な、何者だお前!」
「俺か? 俺は――」
もう一人の男が俺に向かってキレて言ってくるので、フードを取って顔を晒す。
そして俺の顔を見て驚いている男に静かに怒りを声に込めて告げる。
「通りすがりの――ただの人間嫌いだよ」
さぁ……覚悟しとけよ屑どもが……ぶっ殺してやる―――!!
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しかしベルとか言う少女とは違って、眼鏡に髪はお団子のように結んでおり、如何にも仕事できますオーラが漂っているし、札に店長って書いてある。
「――ご注文は何でしょうか? 只今のおすすめメニューはクラブキングのシーフードパスタです。……宜しければ個室に案内いたしますが」
そう言って俺の顔を見て小声で言う女性店長。
俺が人間だと言う事に気づいて落ち着けるように個室を案内してくれようとしてくれているようだ。
魔界にも残念ながらほんの少数だが人間も住んでおり、あの店長は何度か対応をしているのだろう。
めちゃくちゃ気遣いできる人なんだなこの人。
絶対皆に慕われてそうだよ。
俺も見習わないとな……同じ上司として。
「いやいいよ。いつか慣れないといけないからね」
「そ、そうですか……では何をご注文されますか?」
「店長のおすすめのシーフードパスタにするよ」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
店長は俺に一礼すると厨房に消えていった。
さて……どうやってベルとか言う少女に話しかけようか。
いきなり話しかけたら間違いなくおかしな人として出禁になりそうだし……迂闊に俺の身分を公開するのも避けたい。
俺がウンウンと唸りながらぼんやりと視界の隅で少女を確認していると、如何にもヤバそうな雰囲気の二人組の下に接客に行きだした。
おいおい……あんなヤバそうな雰囲気垂れ流しの客の下に新人行かせたらいけんやろ。
俺は他の従業員を確認してみるも、誰もが視線を逸していた。
そんな中、少女がやらかす。
「ご、ご注文は何でしょうか……――って人間の方!?」
その声に店内が一気にしんと静まり返る。
少女はハッとして口を抑えるがもう完全に手遅れ。
お、おお……コイツ本当に大丈夫か……?
客の素性を大声で叫ぶとか普通ダメだよ?
もしかしてまだバイト入ったばかりかなんかか?
まぁもしそうだとしても失礼極まりないことには変わりないのだが。
俺なら笑って許すのだが……どうやら相手は違ったようだ。
「おいガキ! 何勝手に言いふらしてんだよ!」
「す、すいませんッッ!」
俺は人間が大嫌いだが、今回は完全にあの少女が悪いので何も言えない。
「謝って許されるんなら法律は要らねぇんだよッ!」
「ひっ、ひぃぃぃぃ……すいませんすいません!! ゆ、許してくださいっ! まだ入ったばかりで……」
フードを被った大柄な男のほうが少女に怒鳴ると少女は必死に謝る。
その声で更に自分たちの正体をバラしている気もしないことはないが、もう一人の――比較的俺と同じくらいの身長の男が大柄な男を手で制すと、立ち上がって少女の耳に顔を近づけ、
「そんなに許してほしいなら俺達の言うことに従え。――取り敢えず外に行こうか?」
「―――……え?」
あっ――――コイツ腐ってるな。
少女が男の言葉に困惑の声を漏らすのを聞きながらそう断定した。
そもそも身を隠して魔界に来ている事自体で基本的に普通の人間でないことは確かだ。
何故なら前も説明したと思うが、魔界は瘴気によって人間にとって生きにくい環境であるため、普通なら来ない。
それでも来るという事は、何かから逃げてきたか魔界に行かないといけない理由があったかのどちらかなのだが、先程の言葉で確信した。
コイツは間違いなく後者だ。
逃げてきたならわざわざ自分たちが居た痕跡を残すような馬鹿は居ない。
更には店の従業員を連れ出そうとするなどありえないだろ?
幾ら相手が悪かろうとさ、見た目まだまだ幼そうだぞ?
人間で言う所の中学生くらい。
なら失敗しても仕方ないって思わないのかな?
まぁ思わないんだろうな。
現に目の前で無理矢理少女を連れ出そうとしているし。
まずいな……これは介入した方が良さそうか……?
「おい、抵抗せずにさっさと来い!」
「で、ですが……」
「黙ってついてこい」
「い、いや……や、やめッ――!」
少女は涙目になりながら必死に抵抗しているが、ステータスが下がっているせいでどんどん引きずられていく。
店の中にいる魔族はいきなりのことで驚いているのか誰一人動く気配がない。
店員達も怖いのかガタガタと体を震わして目を逸らしている。
「だ、誰か……助けて――――ッ!!」
少女――ベルが涙を溢して絞り出すように小さな声で、でも緊迫した声色で言う。
……………………―――コレはいいよな?
―――コイツら此処で殺しても。
「―――ちょっと待てよ」
「ああ!? 何だよテメェ……!!」
俺は店の入口に立ち、進路を妨害する。
そんな俺にキレ散らかしてくる大柄な男が近づいて……
「―――ゴファ!?」
――来ると同時にドアを道連れにして外に投げ捨てる。
ものすごい轟音が後ろから聞こえたが放って置く。
死んでいたとしても別にいいしな。
それにしても……
「ハハッ――最近人間に会ってなかったからすっかり忘れていたわ。人間ってこんなのだったな」
「な、何者だお前!」
「俺か? 俺は――」
もう一人の男が俺に向かってキレて言ってくるので、フードを取って顔を晒す。
そして俺の顔を見て驚いている男に静かに怒りを声に込めて告げる。
「通りすがりの――ただの人間嫌いだよ」
さぁ……覚悟しとけよ屑どもが……ぶっ殺してやる―――!!
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