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第1章 転生したら属性至上主義の異世界でした

第2話 どうやら両親であっていたそうです

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 あれから耳が聞こえるようになるのにそう時間は掛からなかった。
 聞こえるようになった耳には、嬉しそうに弾んだ、透き通った綺麗な声が入ってくる。

「ジ、ジーク! げ、元気な子が生まれたわ……! それにとっても可愛い……! それにずっと私を見ててくれるわっ!」

 そう言って涙ぐむ姿の神々しいことと言ったら、人間ではなくもはや女神だった。
 そしてそんな女神のような女性は、めちゃくちゃ嬉しいことに俺の母親らしい。

 やばい、今世の母親を見ていると、間違いなくマザコンになりそうな予感がしてきた。
 もし姉がいるなら絶対に可愛いだろうし……。

 俺がそんなことを思いながら母親改め母さんを見つめていると、爽やかなイケメンボイスが聞こえてきた。 

「そうだなぁ……。もう少し泣くかと思ったらすぐに泣き止んだけど、元気そうだし賢い子に育つかもしれんな!」

 まぁあまり泣いていないのは、前世の記憶があるのと、女神のようなお母さんに見惚れていただけなんだが……。

 とは言え俺の父さんは顔だけじゃなくて声もカッコいいんだな……。
 前世だったら絶対アイドルか俳優してそう。
 そう思ってしまうくらいに顔も声もかっこよかった。
 
 そう思っていると、母さんが俺に話しかけてきた。

「アルト~貴方のお名前はアルトよ。そして私はママのルナですよ~。早くお名前を言えるようになってほしいわ~」

 ふむふむなるほど……俺はアルトという名前なのか。 
 アルトと晴人———なんか前世の名前と似てるなぁ。
 これも俺の記憶が引き継がれていることが原因なのだろうか?
  
 まぁそれはおいおい考えるとして、母さんの名前はルナと……。
 こう言った名前を聞くと、改めて転生したんだなぁと言う気持ちになる。
 
 と言うかこの世界か地域は、少なくとも日本ではないはずなのに、何故言葉が理解できるんだ?
 考えられる可能性としては、転生特典とか元々この世界が日本語が共通語と言うことくらいかな?
 家の内装を見る感じ、日本で主流な家ではなさそうだし。

 家の内装は、日本ではあり得ないような豪華で煌びやかな作りになっていた。
 シャンデリアがぶら下がっていたり、絵画が飾ってあったり。
 この感じはどちらかと言えば欧米に近い気がする。
 
 俺が家を見ていると、今度は父さんが顔を近づけて話しかけてきた。

「アルト、俺がパパのジークだよ。——おっ、ルナ! アルトが、もう自分の名前に反応したぞ!」
「まぁ! それは凄いわねっ! 早くお話ししたいわ」

 どうやら父さんはジークと言うらしい。
 俺はその名前を聞いて――

 ……名前までカッコいいとかかっこいいの根源かよ……羨まし……。

 と思ってしまったのはしょうがないことではないだろうか。
 きっと世のフツメン男子なら分かってくれるはずだ。
 そしてやはり神は人間を平等には作らないらしいことをほんの数十分で痛感した気がする。

「これから頑張って大きくなってくれよ~」
「本当にね。元気に大きくなってくれたら私はそれでいいわ。……まぁかっこよく成長してくれたら尚いいけど……」
「欲望ダダ漏れだよルナ……」
あうあほんとあうあそれな
「あ、あれ……? ジークは兎も角、アルトまで私をジト目で見ている気がするのは何故かしら……?」
「きっとルナの期待が届いたんだろうね」

 中々鋭いな父さん……。
 もう人格が形成されているとバレたかと思ったよ。
  
 まぁそんなことはいい。
 顔は俺じゃどうしようにもないからな。
 だが目標は必要だな……。

 …………よし! 今度こそ俺は、リア充生活を謳歌するとしよう。
 まぁコミュ障は治っていないだろうだがな。
 だがしかしであるが、それは何とかなる予定だ。
 だって両親が顔めっちゃ整ってるから、まぁ俺もイケメンな筈だし?
 それならまぁ社交的になれるかなって感じ?
 ……楽観的とか言わないでくれよ。
 治りそうにないのは自分が一番わかっているんだからさ。

 と言うかこの美男美女の子供で顔が整ってなかったら俺泣くよ?
 なんならもう一回転生できるか試す事もありえるよ?
 まぁ今は考えても意味ないので、取り敢えず自分がイケメンなのを祈るのみなのだが……。

あうっ頼むあうあーあーイケメンでありますように!」

 まだ上手く動かせない腕を必死に胸の前に移動させて手を繋ぎ、祈る俺。
 それを見ていだ母さんと父さんはと言うと——

「ねぇ見てジーク! もう元気に動いているわ!」
「あ、ああ! よくやったなルナ! よく本当に元気な赤ちゃんが生んでくれた!」

 そう言って俺のことを喜びながら、父さんが母さんを褒めた。
 すると母さんが嬉しそうに目の前で父さんにキスをし出す。

 ……おい、息子の前で深い方のキスをするなよ。
 こちとら前世でもろくに女性経験ないんだぞ。
 まぁ2人とも若そうだからしょうがない部分もあるのかもしれないけどさ……。
 出来れば俺が寝た後にしてほしかったなぁ……。
 
 俺はおっ始めそうな目の前の2人から目を逸らしながら、思わずそうぼやかずにはいられなかった。

 まぁ結局嬉しいことにおっ始めませんでしたよ。
 『ああ、良かったぁ……』と物凄いホッとした俺であった。
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