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第1章 才能皆無の悪役貴族
第10話 大罪人は勝利する
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観客の全員がスクリーンの映像を見て呆然とする中、ローブを被った何人かの人間がこそこそと逃げ出そうとしているのが目に入った。
「犯人が逃げようとしているぞ!! 観客たちよ、真実が知りたいだろう!? なら捕まえろ!!」
俺は今捕まえられる状況ではないので、観客たちを煽って捕まえさせようと考えた。
そしてそれは功を奏する事となり、
「おい、怪しげな奴が逃げていくぞ! 俺たちで捕まえて真実を明らかにしようぜ!」
1人の男がそう叫ぶと、伝染して観客の中でも拘束魔法を持っていたらしい奴らが逃げる回復魔法士を捕まえる。
そんな姿を確認した俺は、元凶である両親の方を見ると、どちらも顔を真っ青にしており、体が震えているのが遠目からでも確認できた。
ククッ……これで後は依頼主を吐かせれば俺の勝ちだな。
しかし——問題はもう1つ残っているが……。
俺はアレスの方に目を向ける。
「ど、どう言う事だ……僕は不正なんてしてない……だって父上が回復系の魔道具だと……」
アレスは呆然とした表情で手を剣で軽く斬ると、指に嵌めてあった指輪に魔力を流し込む。
しかし指輪は魔力を吸収しても治癒させることはなかった。
「あっ……」
一向に止まらない血を見ながらアレスが小さく声を漏らす。
俺はその哀れすぎる姿を見ることが出来ず、顔を背けてしまう。
本当に酷いことをしやがるな、ウチの親は……。
こんな事するのは俺に不利だと分かっているが……。
しかしあの呆然としたアレスを見ていると、前世の俺を思い出してしまい頭が痛む。
俺は頭を抑えながら思考を巡らせる。
純粋な戦闘での今の俺の勝率は限りなく低い。
だからこのまま勝ちにするのが最も安全な道だと分かっている。
分かっているが、感情がそれを良しとしない。
「……チッ、本当に胸クソ悪い」
俺はアレスの元に向かい、下級の回復魔法——【ヒール】を掛けてやる。
「《汝に癒やしを——【ヒール】》」
「お、お前……何でこんな事を……」
「何でだろうな……俺も分からん……だが、治ったんならさっさと決着付けるぞ。勿論お前も木剣でな」
俺はそう言ってエマに予備として用意させていた木剣を渡す。
正直真剣でやらせる訳にはいかないので敢えての行為だ。
そして距離を取り、剣を構える。
この体での剣術は、魔法よりも遥かに練度が低く、前世の100分の1の力も出せない。
しかし今回は殺さないといけないわけではないので何とかなるだろう。
「……どうした? 早く来ないのなら俺の勝ちになるが……いいのか?」
と言うか俺的に言えばこのまま素直に負けを認めて欲しい所だが、案の定アレスは立ち上がって木剣を構えた。
はぁ、やはり諦めないか……なら一瞬で終わらせる——!
「行くぞ、レインッッ!!」
「来い、アレス」
アレスが地面を蹴って俺に接近してくる。
子供にしては速い。
しかし実戦経験がないせいか酷く直線的だ。
これくらいならこの体でも対処できる!
俺は木剣をアレスの剣に合わせるようにして衝撃を吸収しながら受け流し、未だ100kgオーバーの体重の乗った体当たりを食わし、地面に倒れ込む。
すると重い鎧を着ているアレスは体幹で体を支えることが出来ずに自分が下敷きになる。
「——がはッ!?」
「ぐッ……」
しかしダメージは勿論俺も受ける。
なにせ硬い金属の上に落ちるんだからな。
しかしこんな時に脂肪がいい仕事をしてくれた。
俺はよろけながらも何とか立ち上がる。
しかしアレスは既に伸びており、立ち上がる気配はない。
「……審判」
「しょ、勝者——レイン・アークボルト!!」
「「「「「「おおおおお!!」」」」」」
ふぅ……これで決闘は何とかなったな。
さて、後は———
「観客達よ! 先程捕まえた怪しげな奴らを此方に連れて来い!!」
「おうよ! 連れていこうぜ!!」
俺の掛け声に反応した観客達が、拘束された怪しげなローブを着た男女を連れてくる。
よし、これで準備は整った。
しっかり見ておけよ?
レインの両親達よ。
「さぁ始めようか? 両親の裁判をな……」
そしてまずは作り替えて見せよう。
この最低最悪の家をな———
「犯人が逃げようとしているぞ!! 観客たちよ、真実が知りたいだろう!? なら捕まえろ!!」
俺は今捕まえられる状況ではないので、観客たちを煽って捕まえさせようと考えた。
そしてそれは功を奏する事となり、
「おい、怪しげな奴が逃げていくぞ! 俺たちで捕まえて真実を明らかにしようぜ!」
1人の男がそう叫ぶと、伝染して観客の中でも拘束魔法を持っていたらしい奴らが逃げる回復魔法士を捕まえる。
そんな姿を確認した俺は、元凶である両親の方を見ると、どちらも顔を真っ青にしており、体が震えているのが遠目からでも確認できた。
ククッ……これで後は依頼主を吐かせれば俺の勝ちだな。
しかし——問題はもう1つ残っているが……。
俺はアレスの方に目を向ける。
「ど、どう言う事だ……僕は不正なんてしてない……だって父上が回復系の魔道具だと……」
アレスは呆然とした表情で手を剣で軽く斬ると、指に嵌めてあった指輪に魔力を流し込む。
しかし指輪は魔力を吸収しても治癒させることはなかった。
「あっ……」
一向に止まらない血を見ながらアレスが小さく声を漏らす。
俺はその哀れすぎる姿を見ることが出来ず、顔を背けてしまう。
本当に酷いことをしやがるな、ウチの親は……。
こんな事するのは俺に不利だと分かっているが……。
しかしあの呆然としたアレスを見ていると、前世の俺を思い出してしまい頭が痛む。
俺は頭を抑えながら思考を巡らせる。
純粋な戦闘での今の俺の勝率は限りなく低い。
だからこのまま勝ちにするのが最も安全な道だと分かっている。
分かっているが、感情がそれを良しとしない。
「……チッ、本当に胸クソ悪い」
俺はアレスの元に向かい、下級の回復魔法——【ヒール】を掛けてやる。
「《汝に癒やしを——【ヒール】》」
「お、お前……何でこんな事を……」
「何でだろうな……俺も分からん……だが、治ったんならさっさと決着付けるぞ。勿論お前も木剣でな」
俺はそう言ってエマに予備として用意させていた木剣を渡す。
正直真剣でやらせる訳にはいかないので敢えての行為だ。
そして距離を取り、剣を構える。
この体での剣術は、魔法よりも遥かに練度が低く、前世の100分の1の力も出せない。
しかし今回は殺さないといけないわけではないので何とかなるだろう。
「……どうした? 早く来ないのなら俺の勝ちになるが……いいのか?」
と言うか俺的に言えばこのまま素直に負けを認めて欲しい所だが、案の定アレスは立ち上がって木剣を構えた。
はぁ、やはり諦めないか……なら一瞬で終わらせる——!
「行くぞ、レインッッ!!」
「来い、アレス」
アレスが地面を蹴って俺に接近してくる。
子供にしては速い。
しかし実戦経験がないせいか酷く直線的だ。
これくらいならこの体でも対処できる!
俺は木剣をアレスの剣に合わせるようにして衝撃を吸収しながら受け流し、未だ100kgオーバーの体重の乗った体当たりを食わし、地面に倒れ込む。
すると重い鎧を着ているアレスは体幹で体を支えることが出来ずに自分が下敷きになる。
「——がはッ!?」
「ぐッ……」
しかしダメージは勿論俺も受ける。
なにせ硬い金属の上に落ちるんだからな。
しかしこんな時に脂肪がいい仕事をしてくれた。
俺はよろけながらも何とか立ち上がる。
しかしアレスは既に伸びており、立ち上がる気配はない。
「……審判」
「しょ、勝者——レイン・アークボルト!!」
「「「「「「おおおおお!!」」」」」」
ふぅ……これで決闘は何とかなったな。
さて、後は———
「観客達よ! 先程捕まえた怪しげな奴らを此方に連れて来い!!」
「おうよ! 連れていこうぜ!!」
俺の掛け声に反応した観客達が、拘束された怪しげなローブを着た男女を連れてくる。
よし、これで準備は整った。
しっかり見ておけよ?
レインの両親達よ。
「さぁ始めようか? 両親の裁判をな……」
そしてまずは作り替えて見せよう。
この最低最悪の家をな———
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