チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら

文字の大きさ
14 / 40
第1章 落第勇者の帰還

第13話 落第勇者、剣を手に入れる

しおりを挟む
「……結局それ以上の収穫は無しか……」

 俺はパソコンを閉じて背もたれにもたれ掛かる。
 あの異世界帰還者の孫のサイトは、結局あれ以上に目を引く物は無かった。
 後はグダグダとよく訳の分からない事を永遠と話していただけ。

 強いと言えば、この世界には異能者がある程度の数いると言うことくらいか。
 まぁ1人いたら何人かはそりゃあ居るだろうよ。
 
 俺的にはもっと祖母の話をして欲しかったのだが、もう既に他界しているらしく、詳しい事はもう分からないのだとか。
 なら書くなよと思わない事もないが、自分以外にも確かに異世界転移経験者がいる事が分かっただけでも十分だろう。
 そして異能者ね……。

「なら俺もスキルの使用は控えないとな……」

 特に感知はスキルを感知できる奴からしたら1番簡単に分かってしまう。
 結構な範囲で発動させるから、身体強化よりもバレる確率が高い。

「でも使わないと行けない時は使うんだけどなぁ。――ッ!?」

 俺がうんうんと唸っていると、ふとピリッと殺気を感じた。
 少し眠たくなっていた意識が一気に覚醒する。

 くそッ……使うのを遠慮しようとした瞬間に何で殺気なんて物騒な物が飛んでくるかな……。
 もしかしたら普通の殺人犯かもしれないし……ああもう、【感知】使うしかないじゃないか。

 俺は部屋からこっそり出て玄関の靴を持ち、再び部屋に戻ると、窓から外に飛び出す。
 そして感知を発動。

 何と自分の家の半径200m内に殺気ではないものの、不思議な気配を感知した。
 それには魔力が宿っており、何かヤバそうだ。

 俺はその場へと直行。
 もし異能者が居るのなら待ってみようかと思ったが、もし来なかった時に家族に危険が出ない様に、俺自ら対処する事に決めた。
 その場へと着いた時には、そこにはまさしくファンタジーな光景が広がっていた。

 公園の真ん中の空間に亀裂が入っている。
 その亀裂に警戒しながら近づくいて中を覗いてみると、そこは漆黒に染め上げられていて何も見えなかった。

「何なんだこれ……いきなり現れたと思ったら何も起きないし……」

 なんてフラグ的な事を言ったのが行けなかったのだろうか。
 亀裂からゴブリンの気配を感じたと思ったら、いきなり俺の前に出現した。
 隠れようにも既にバッチリ目があったので不可能。
 何なら今向かい合ってるし。

 そのゴブリンは先程のゴブリンと比べて体長は小さくなって俺と同じくらいだが、その威圧感は先程よりも強く手に大剣を持っている。
 そのゴブリンは俺のよく知る種類で、名はゴブリンキング。
 ゴブリン種の中では最高峰の実力を持っている大将的存在だ。

 ついさっき会いたくないと言ったんだがな……!

「【身体強化:Ⅲ】」

 強さの指標はB級最下位だが、普通にトラックくらいなら吹き飛ばすので、あの強さはこの世界の人間では絶対に太刀打ちできない。
 なのでここは俺が何とかしないといけないということだろう。
 どうせ見つかっているし。

 俺はゴブリンキングの振るう大剣を周りに被害が出ないように白刃取りで受け止める。
 相変わらず凄まじい力だ。
 お陰で地面が陥没しそうになったじゃないか。
 全身を使って何とか道路が陥没するのは防げたが、少しアスファルトにヒビが入ってしまった。

「でもそんな相手は剣持ってるのに俺は素手って……ハンデありすぎだよな。俺も剣があれば良いんだけど」

 俺は異世界で使っていた愛剣――破壊剣を思い出す。
 破壊剣は魔剣の一種で、等級的には聖剣にも劣らない名剣だった。
 しかし破壊剣には扱う者への試練があり、俺は精神を破壊されそうになったが、何とかクリアして晴れて俺の所有物となった。
 その際に契約をしたのだが、俺は別世界に帰還したのでもう契約も切れているかもしれない。

「一応呼ぶだけ呼んでみるか? まぁ来なかったら来なかったで残念だったと思うことにしよう」

 俺は力ずくで大剣の軌道をずらし、その内に一旦距離を取る。

「《我が手に絶対なる破壊を。来い――》【破壊剣】」

 俺は手を前にかざして言葉を紡ぐ。
 しかし何秒か経っても何も起きない。

 その間にもゴブリンキングは俺に向かって駆け出しており、防御態勢を取るしかなかった。

「やっぱりだめか……」

 そう思った瞬間――

『我が所有者の所在を確認。異世界転移を開始する。待っていろ、我が主』
「――ははっ、相変わらず偉そうな相棒様だ」

 俺はその言葉が頭に響くと同時に、剣を持っているように振りかぶり、渾身の力で振り下ろす。
 そして――

「さぁお出ましだ。来い―――破壊剣!!」
『待たせたな主よ――』

 いつの間にか俺の手に収まっていた黒い剣がゴブリンキングを真っ二つにし、跡形もなく消滅させた。

「はぁ……終わったぁ……」

 俺はもう一度【感知】を使って他に居ないか確認した後、身体強化を解除する。
 既に亀裂は跡形もなく綺麗サッパリ無くなっており、結局モンスターがそこから現れるということしか分からなかった。
 そして自分の右手に握られている剣を見て呟いた。

「――……これどうしよう……」

 この国で剣なんて持ってたら銃刀法違反だし、見つかれば絶対取り上げられる。
 そうなった場合が1番面倒くさい。
 破壊剣は自身が認めた者以外に触られることを極度に嫌い、触れば精神攻撃をするため、この世界の一般ピーポーだったら確実に廃人になってしまう。

 俺は平穏に人生を過ごしたいだけなんだけどなぁ……。



 もう既にそれが叶わない所まで来ていることをまだ隼人は知らない。
 そしてそんな隼人に接近して来ている何者かがいることも。

―――――――――――――――――――――
新作を投稿しました。
ぜひ見てみてください。

『無能な悪役貴族様は元大罪人』
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...