チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら

文字の大きさ
12 / 40
第1章 落第勇者の帰還

第11話 この世界の異変

しおりを挟む
 俺はあの後急いでゲーセンに戻ると、そこには既に宮園の姿は見当たらなかった。
 もしかしたらゲーセンの中かもと思い探してみるも中々見つからない。
 
「やっぱり待たせすぎたか……?」
「――何が?」
「うおっ!?」

 俺が【感知】を使って探そうとした瞬間に後ろから声をかけられる。
 また手が出そうになるも今回はギリギリの所で行動に移す前に止めることが出来た。
 俺は無駄に冷や汗をかきながらも振り返って話しかける。
 
「ど、何処に居たんだよ……」
「貴方が遅いから私もお手洗いに行っていたの」

 そう言って「貴方のせいだからね」と付け足す宮園。
 明らかに怒ってそうな雰囲気だ。
 その証拠に少し眉間に皺が寄っている。

「ご、ごめん……」
「別にいいわよ。さっさと材料と道具を買ってから帰りましょ」
「そうだな。なら手分けして買うか?」

 そう提案すると宮園は少し考える素振りをした後、

「もしそうしたら会えなくなるから却下ね。私スマホ今持ってないし」
「あ、はい」

 まさかのスマホを持っていないと言う衝撃的な事実と共に手分けして買う案は却下された。
 




☆☆☆






 あれから1時間以上掛けて材料やその他雑貨を買い揃えた俺達は、そのまま現地解散となった。
 なので今俺は1人で悲しく帰っている。
 
 本来なら遥と帰ろうと思ったのだが、買い出しがあったため泣く泣く断った。
 そのため――

「帰り方が分からない……」

 始めは地図アプリとかを使っていたのだが、異世界と違って細かいので思いっきり迷ってしまった。
 今はあてのない道を彷徨っている。
 27歳にもなって自分の家にすら帰れないとか自分で言うのも何だがヤバいな。
 そしてどうにかして帰らないといけないのだが、一体どうしようか……遥を呼ぶか?

「いや、それは止めておこう。もうあたりも真っ暗だしな」

 既に時刻は7時を過ぎており、秋ともなれば辺りは殆ど真っ暗だ。
 そんな中女の子を1人で歩かせるには危険すぎる。

「特に今日のことがあったら尚更な……」

 俺はほんの1時間程前のことを思い出す。
 
 異世界で見たゴブリンとは身体的な特徴は多少違ったが、戦闘の癖や習性は何も変わらなかった。
 逆にその不自然さが俺を不安に駆らせる。

 異世界から俺のように転移してきたのなら、その大元を探せば何とかなるかもしれない。
 しかし今回俺が相対した相手は10年間冒険者をしていた俺ですら知らないモンスター。
 勿論魔王軍にもあの様なゴブリンは一体も存在していなかった。

 偶々突然変異したゴブリンって線はないかな?
 もしそうなら同じく異世界転移の発動した場所を感知すれば済む話なんだけどなぁ。

 俺は限りなく小さな可能性に縋りたくなるが、それは現実的じゃないことは分かっている。
 それに――

「今は家族がいるんだ。家族だけは絶対に守らないとな。皆には迷惑をかけたし」

 俺が1ヶ月間昏睡していた時、遥は軽い鬱病になり学校を殆ど休んでいたらしい。
 母さんも気疲れして何度も寝込み、父さんも死んだように仕事に行っていたんだとか。
 
 これは全部俺が病院に居た時に、看護婦さんや俺も何度も会ったことのある遥の友達や父さんの会社の人がお見舞いに来てくれた時に教えてくれたのだが、その事を聞いた時は流石の俺も取り乱してしまった。
 まさかそこまで酷いとは思っていなかったからだ。
 愛されていた自覚はあったし心配してくれることも分かっていたが、俺は生き残ることに集中していたため殆ど家族のことを気にする時間はなかった。

 俺は何て薄情な奴なんだと心底自分に失望したよ。
 
 だからそんな状態になってでもこんな俺を心配してくれて、尚且退院した時には暖かく迎えてくれた家族は絶対に不幸にさせないと決めたのだ。
 それにはまだまだ知らないことが多すぎる。
 
「……取り敢えず調べないといけないよな……」

 俺は早く家に帰るために思いっきり空中へと駆けた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...