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神に戻された男①

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家族が帰った後俺はこれからの事を考えていた。



これからどうしよう、スキルは問題なく使えるみたいだけど、次元収納にしまってある貴金属は地球で売れないよな、宝石なんか出どころが分からない物は売れないしな魔石何ってこの世界じゃ存在自体してなさそう。



好きにして良いって言うけど家族と言う柵が有ったら無理でしょう、せめて神様も何か報酬をくれても良いと思うのに、最後にシルフィーに会いたかったな。なんか異世界の事が段々と遠い記憶に成っていく。



もうなんか嫌だな、でもお袋を悲しませる事は出来ないなから死ぬ訳には行かないしなんかこの世界でも役立つスキルは無いかな。



暗殺者なら大統領だってどっかの将軍様だって誰にもバレずに殺す自信は有るけどそんな仕事には着きたく無いしな、身体強化のスキルでスポーツ選手でも目指すかなアメリカの花形スポーツなら稼げるけど素人の俺がいきなり入れてくれないだろうしな、ボクシングなら世界も狙えるかな?でも絶対力加減を間違えて相手を殺しちゃいそう。



そんな事よりトイレに行きたく成ってきた、頭は固定されてるしどうしよう、看護師さん呼ぶしかないか。



俺は枕元に有るナースコールボタンを押した。



「どうしました?」



「すみません、トイレに行きたいんですけど」



「分かりました今行きます」



良かった来てくれる。



直ぐに看護師さんが病室に来てくれた。

思うんだけど看護師さんってテレビで見るのと違って、頭にはナースキャップも無いしズボンだしマスクで顔も見えない、俺が想像していた入院とは違う、しかも尿瓶なんか持ってるし。



「男鹿さん~先生から尿を集めて検査するそうですので、おむつをやめてトイレに行きたい時はナースコールを押してくださいね」



「お、おむつ」



「意識が無くても出る物はしょうがないです、点滴してますからね」



若い看護師さんは青いゴム手袋をはめ布団をはがし、おむつを脱がそうとした。



「ちょっと待って下さい」



「恥ずかしがらないで良いですよ、自分じゃ脱げないですから」



「でも」



「大丈夫ですよ、任せて下さい」



無造作に俺の息子をつままれ、なかなか出るもんも出やしない、なんとか出ても今度はパンツを穿かされるしかも足のギブスでなかなか穿けない痴態プレイ、絶対に異世界に行ってあの女神に復讐してやる。



「あと少しの我慢です、これが仕事ですから恥ずかしがらなくて良いですよ」



「いつ頃この頭の固定取れますか?」



「明日先生に確認しますね、何か有ったら呼んで下さいね」



俺は身体はボロボロなのになんかモンモンとしながら天井を見た。



「知らない天井だ」



今更言っても遅いけど、言ってみたかった。個室以外では恥ずかしくて言えないけどね。



いつの間にか寝てしまったかと思うと病院の朝は早い、まだ6時なのにドアが開き看護師さんが入って来る。



「おはようございます、よく眠れたようですね」



「あ、はい」



「体温と血圧測って点滴替えますね」



有無を言わさず体温計を脇に刺すと手をとり血圧を測りだした。



看護師さんも忙しいんだな。



「今日から食事ができますから、介護士さんが食事をとらせてくれますから安心してください」



「そうなんですか」



何だろう異世界でも勇者の佐藤が死んでボロボロに成ってた時にシルフィーに看護して世話を貰っていた時を思い出すな、シルフィー元気かな、ああ~異世界で暮らしたかった。



食べさせてくれる介護士に僅かばかりの期待をしていたが来たのはおばちゃんだった、ベッドを起こしてもらったのでほとんど自分で食べられた。



しかし可笑しいな自己再生のスキルが有るはずなのに治りが遅いような気がする、スキルが有っても向こうっで神の作った体とは違うのか退院したら色々調べなくては。



回診が終わり、先生に頭の固定具は外せないがベッドを起こしても良いと言われ、やっとテレビを見ることができ、テレビを見ていると母さんと兄嫁がお見舞いに来てくれた。



しかもアロナさんは俺のノートパソコンとスマホを持ってきてくれた、これでネットができるこれで暇は潰せるな。



今日初めて事故の事を聞くと、暴走車はブレーキとアクセルを間違えた老人らしい、その奥さんと息子さんが申し訳ないと土下座までして謝ってる姿みて、事故を起こした本人じゃないのにあの時は私もお父さんも取り乱して酷い事言ってしまったから、謝りに来たらあんまり責めないで上げてねと母さんに言われたが俺は責める気は無い、俺だって佐藤君の二度目の死の原因なんだ。



母さんはどんだけ俺を心配したか、俺が死んだら後を追おうかと思っていたとか泣きながら話していたが、俺にはどうする事も出来ず申し訳なさと罪悪感で暗い気分に成ってきた。



俺達は召喚されたばかりの頃、初めて魔獣で無く人型の悪魔と戦った時、俺は女型の悪魔を殺せなかった。



俺が甘かったんだ逃がした悪魔は仲間を連れ夜襲してきた、しかも大群でだ。護衛の騎士に守られ撤退しようとした時に別動隊に襲われ、俺が逃がした女の悪魔に佐藤君を殺されてしまった。



俺はボロボロに成りながらも騎士に守られ逃げれたが、30人以上居た騎士は俺の護衛に着いた4人騎士を除き全員殺されてしまった。



勇者なら直ぐに敵を討つ行動に出れるかもしれないが、俺は城の一室で半年も腐っていた。



ああ~異世界の事を思い出すとすべてが嫌に成る、そんな事を思っているとアロナさんが母さんの暗い話を遮った。



「お母さん、怪我や病人には暗い話はダメです、助かったんですから明るい話をしましょう、レイジさんの事故映像モザイクが掛かってましたけど子供を助けた映像がニュースで流れてヒーロー扱いされてたわよ」



「あの子は無事なの?」



「あの子は怜志のおかげで無事よ、今日もたぶんお見舞いに来るわよ」



「そっか良かったな」



「でも私は他人より自分を大切にしてほしかった」



「母さん分かったから暗い話は終わり」



それから俺は必要と思われる物を自宅に取りに行ってもらった、Wi-Fiルーターや髭剃り等を頼んだ。



そうすると話し相手も居なくなり暇になる、看護師さんは呼べば来てくれるが忙しいのか用事が終われば直ぐに行ってしまう。



俺は暇なんでスマホでネットを見る事にした、ネットニュースを見ている時に俺は有ることに気が付いた。



俺は異世界に行く前からスキルを持っていた事を女神から召喚時に聞いた事を思い出した、元々はたいした効果は無かったが異世界に行って女神に強化してもらいそれによって俺は異世界で生き残れた。



ただ佐藤君が死んだ時はスキルを使いこなせていなかったが今は使える。



そのスキルは先読みだ、ただ自分に係る事ならば1分先までしか分からないが、新聞や掲示物を使うとそこに表示されている未来が見える。



スマホでネットニュースを見ると未来の出来事が見える、俺は決めたこの能力を使い株式投資で儲けて好きに生きるんだ、とりあえずはネットでロトを買って投資資金を増やすぞ。



ネットでロトを買い株の売買は明日以降に行う為に株式相場を調べた、口座に有る700万を株式口座に移し相場を調べるがいくら信用取引で元手より多くの金額が動かせてもやはりそれほど一気に稼ぐ事は出来ないが一週間あれば年収以上は稼げる。



これなら小さい頃からの夢のランボルギーニやフェラーリと言ったスーパーカーが買える、ミニチュアで無く本物が買える、俺の持ってるミニチュアだって高い物は23万もしたんだなんか夢が膨らむな。



そんな事を思っているとLINEが母さんから届く、タンスやクローゼットの中身がぐちゃぐちゃだとお怒りな様だ、俺は料理や洗濯はできるが片付けが出来ない、会社でもパソコンのデスクトップと引き出しの中はぐちゃぐちゃだ、ただし机の上は綺麗にしている単に引き出しの中に詰め込んでるだけだけどね。



しかし義理の姉さんに見られたのは恥ずかしい。



そんな事より親友達や同僚から沢山メッセージが届いていたので無事意識が回復したことを伝えた。



うれしい反面8割が男と言うのも悲しい、しかも2割の女性も同僚や大学の時の知り合いのみ、中学高校と私立の男子校なんかに通わせた親を恨むぞ、まっそのおかげで今の親友の4人と出会えたんだけどね。

中学高校は女っけの無い青春だった、しかも親は兄と同じ帝都大学を目指せって言いやがって何が悲しくて8割男しかいない大学なんか行きたくないから同じ国立の一ノ橋大学に行ってやった。



結局大学4年間で付き合った彼女は1人だけしかも1年持たずに振られた。



でもこれからは金を稼いで可愛い彼女を見つけるぞ。





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