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第一章 偽りの冒険者
シリー講師初日で墓穴を掘る
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「それでは、本日の授業を始める。まず、お前等は出来れば魔法学園よりも、こっちに集中をして欲しい。俺達の目標は、半年後に開催される英雄祭の闘技大会で英雄のチームに勝ちブッチギリで優勝をする事だ。」
「え?」「嘘だろ。」「よし!」
「本当の話だ。だからこそ、俺の授業はスパルタになる。つまり命がけの実戦だ。ダンジョンで極限までレベルを上げ、モンスターカードも揃えて、それらを強化する。全員には俺のパーティーなどに入り指示にも従って貰うがそれでいいな?」
「「はい」」
シリーは、ステータス画面を操作し、悪だくみの笑顔を見せる。
「がはははははは。じゃあ。さっそく出発だ。」
シリーが教室を出る素振りを見せるとニックが慌ててそれを阻止する。
「シリー先生。ダンジョンでもし危険になったら、助けてくれるんですよね?」
「ニック君。俺は戦闘での手助けを一切しない。だが、心配はいらない。紙ランク冒険者であるハンナ先生は戦闘に参加する。」
「紙ランク冒険者は、冒険者見習いじゃないですか。冒険者登録をすれば誰でもなれますよ。」
「がはははは。ニック君。そこは触れてくれるな。大丈夫。ハンナ先生はこう見えて、Lv18だ。お前等のようにモンスターカードによる強さではなく、この中で一番弱くても経験を積み上げて来た。ハンナ先生、そうですよね? 」
「すいません。レベリング※です。」
「がはははは。そういう事だ。では、ダンジョンに行くぞ。」
「え? 本当に大丈夫なんですか? それに今、一番弱いって。」
「そりゃそうだろ。ハンナ先生は平民なんだぞ。レベルは高くても、お前等のように親に与えられたそれなりのモンスターカードではない。説明する時間が勿体ないから、早くEランクダンジョンに行くぞ。」
シリーの言葉に、今度はスカーレットが疑問を持つ。普通に考えたらあり得ない事なのだ。
「先生……今、Eランクって言いませんでした?」
「スカーレット君。Eランクで間違いない。」
「魔法学園では、一般生徒はFランクダンジョンでの実習ですよ? この落ちこぼれメンバーでそれは自殺行為なのでは?」
「俺は、お前等を英雄にする。一般生徒ではなく特別な生徒だ。どちらかと言えばCランクダンジョンと迷ったんだぞ。」
アマンダがそれを聞いて唸る。アマンダの目がいつになく輝いている。
「シリー先生、その高い志、気に入ったぞ。私はCランクでも良い。先生についていく。」
アマンダの言葉を聞いて、スカーレットが自分の過ちに気付いた。昨日、シリーの言葉を受けシリーを信じたつもりだった。この中の誰よりも強く、シリーの指導を欲していたと思っていた。だが、アマンダは、身分を見抜かれた自分よりも言葉だけでシリーを信じている。それがなぜかむしょうに悔しかった。
「何よ。アマンダ。だったら、私だってついていくんだから。行きましょうCランクダンジョン。」
「お二人とも先生を煽らないで下さい。危険すぎま――」
「「は? 文句あるの?」」
「いえ。それで結構です。ダンジョンに行く前に死にたくない。」
「がはははは。なら、さっさとCランクダンジョンに行くぞ。」
シリーは、笑顔の奥で、自分の軽口をとても後悔していた。さすがに今のレベルでCランクはない。Eランクダンジョンの入口で自信を失った所で、Fランクダンジョンに移動し、自分の審判仕込みのアドバイスで無双させるつもりだった。
現在、スカーレットLv12 アマンダLv8 ニックLv13 ハンナLv18である。それは一般的にいえば最弱のダンジョンでしか通用しない数値である。
ただし、ステータスはレベルの通りではない。この場合は名前が先の人の方が、良いモンスターカードを装備している事でステータスが高い。スカーレットなど金持ちの公爵令嬢の為、一般では強い部類のカードを装備しているのだ。
シリーは自分のアドバイス次第では、Fランクダンジョンなら無双できると思っていた。
「がはははははは。」
シリー講師初日で墓穴を掘る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
※ここからは後書きです。興味の無い場合は読み飛ばして下さい。
レベリング(この世界で使われている用語です)
異世界では強い人のいるパーティーで、自分は活躍せずに討伐の経験値だけを貰ってしまう行為をいう。
冒険者ランクは、冒険者証の色や使われている素材で判断される。
呼び方はそれぞれ二通りある。
虹ランク レインボーランク
金ランク ゴールドランク
銀ランク シルバーランク
銅ランク ブロンズランク
鉄ランク スチールランク
木ランク ウッドランク
紙ランク ペーパーランク
「え?」「嘘だろ。」「よし!」
「本当の話だ。だからこそ、俺の授業はスパルタになる。つまり命がけの実戦だ。ダンジョンで極限までレベルを上げ、モンスターカードも揃えて、それらを強化する。全員には俺のパーティーなどに入り指示にも従って貰うがそれでいいな?」
「「はい」」
シリーは、ステータス画面を操作し、悪だくみの笑顔を見せる。
「がはははははは。じゃあ。さっそく出発だ。」
シリーが教室を出る素振りを見せるとニックが慌ててそれを阻止する。
「シリー先生。ダンジョンでもし危険になったら、助けてくれるんですよね?」
「ニック君。俺は戦闘での手助けを一切しない。だが、心配はいらない。紙ランク冒険者であるハンナ先生は戦闘に参加する。」
「紙ランク冒険者は、冒険者見習いじゃないですか。冒険者登録をすれば誰でもなれますよ。」
「がはははは。ニック君。そこは触れてくれるな。大丈夫。ハンナ先生はこう見えて、Lv18だ。お前等のようにモンスターカードによる強さではなく、この中で一番弱くても経験を積み上げて来た。ハンナ先生、そうですよね? 」
「すいません。レベリング※です。」
「がはははは。そういう事だ。では、ダンジョンに行くぞ。」
「え? 本当に大丈夫なんですか? それに今、一番弱いって。」
「そりゃそうだろ。ハンナ先生は平民なんだぞ。レベルは高くても、お前等のように親に与えられたそれなりのモンスターカードではない。説明する時間が勿体ないから、早くEランクダンジョンに行くぞ。」
シリーの言葉に、今度はスカーレットが疑問を持つ。普通に考えたらあり得ない事なのだ。
「先生……今、Eランクって言いませんでした?」
「スカーレット君。Eランクで間違いない。」
「魔法学園では、一般生徒はFランクダンジョンでの実習ですよ? この落ちこぼれメンバーでそれは自殺行為なのでは?」
「俺は、お前等を英雄にする。一般生徒ではなく特別な生徒だ。どちらかと言えばCランクダンジョンと迷ったんだぞ。」
アマンダがそれを聞いて唸る。アマンダの目がいつになく輝いている。
「シリー先生、その高い志、気に入ったぞ。私はCランクでも良い。先生についていく。」
アマンダの言葉を聞いて、スカーレットが自分の過ちに気付いた。昨日、シリーの言葉を受けシリーを信じたつもりだった。この中の誰よりも強く、シリーの指導を欲していたと思っていた。だが、アマンダは、身分を見抜かれた自分よりも言葉だけでシリーを信じている。それがなぜかむしょうに悔しかった。
「何よ。アマンダ。だったら、私だってついていくんだから。行きましょうCランクダンジョン。」
「お二人とも先生を煽らないで下さい。危険すぎま――」
「「は? 文句あるの?」」
「いえ。それで結構です。ダンジョンに行く前に死にたくない。」
「がはははは。なら、さっさとCランクダンジョンに行くぞ。」
シリーは、笑顔の奥で、自分の軽口をとても後悔していた。さすがに今のレベルでCランクはない。Eランクダンジョンの入口で自信を失った所で、Fランクダンジョンに移動し、自分の審判仕込みのアドバイスで無双させるつもりだった。
現在、スカーレットLv12 アマンダLv8 ニックLv13 ハンナLv18である。それは一般的にいえば最弱のダンジョンでしか通用しない数値である。
ただし、ステータスはレベルの通りではない。この場合は名前が先の人の方が、良いモンスターカードを装備している事でステータスが高い。スカーレットなど金持ちの公爵令嬢の為、一般では強い部類のカードを装備しているのだ。
シリーは自分のアドバイス次第では、Fランクダンジョンなら無双できると思っていた。
「がはははははは。」
シリー講師初日で墓穴を掘る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
※ここからは後書きです。興味の無い場合は読み飛ばして下さい。
レベリング(この世界で使われている用語です)
異世界では強い人のいるパーティーで、自分は活躍せずに討伐の経験値だけを貰ってしまう行為をいう。
冒険者ランクは、冒険者証の色や使われている素材で判断される。
呼び方はそれぞれ二通りある。
虹ランク レインボーランク
金ランク ゴールドランク
銀ランク シルバーランク
銅ランク ブロンズランク
鉄ランク スチールランク
木ランク ウッドランク
紙ランク ペーパーランク
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