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昼前、隆はシャワーを軽く浴びて食事をすると部屋を出ていった。部屋の中にはまだ藍と累がいる。時間ぎりぎりまで三人でセックスをしていたのだ。さすがに少し疲れているような気がするが、それでも気持ちはすっきりしている。
いろんなことの気持ちの整理がついた。
国家のことなどどうでもいいと思っていたが、そうも言っていられないし、普通に育っていた自分でも役に立つことはある。
それに島でも累のことを認めてくれていた。このまま累を嫁に貰うのはそう難しくはないだろう。
だが嫁に貰ってからも、藍は彼女の元にやってくるのだろうか。三人でセックスをする日々が続くのだろうか。累はもう二人だけでセックスをするのに満足しないのだろうか。
「……。」
もう考えない方がいい。隆はそう思いながら、懐に入っている銃を服の上からなぞる。そして音香の扉を開いた。
シーツや他の衣類を洗濯機からだして、ベランダに干した。寒いが、いい天気だ。すぐに乾くだろう。
そしてリビングで新聞を読んでいた藍に声をかける。
「藍。」
彼女はそういって彼の隣に座った。
「どうした。」
「藍は彩が怪しいと思っているのですか?」
「……彩だけではない。実は怪しいと思うのは、ヤツだけじゃない。」
「……。」
「俺があのアパートを出たのはどうしてだと思う?」
「信頼おける人を絞っているから。そうおっしゃっていましたね。」
「あぁ。お前と隆、それから京だ。」
「……アパートの方も信用できませんか?」
いろいろと助けてくれた人だ。そんなことを考えてはいけないと思っていたのに。
「だが不自然な点はある。京の家を爆発させたとき、穂の遺体に近づけたのは、あの二人のうち一人だ。」
「……。」
「信が仕掛けたとも考えられるが、信はその爆発物を手に入れる時間はなかったはずだ。となると、手渡した人物がいる。」
「……それもあの二人のうちの一人。」
「どっちかはわからない。それに彩であることも捨てきれない。」
もう一人、藍には怪しい人物がいると思っていた。しかしそれを告げれば、彼女は彼を責めるだろう。だから言いたくはなかった。
「……。」
「累。」
「……一人一人、潰していきましょう。疑いがかからなくなったら、残った人が灰音なのでしょうから。」
ぐっと拳に力が入る。
「だが……紅花の立場として言うと、正直自分の部下を疑うのは、気が引ける。」
「どうしてですか?国家を潰そうとしている人を潰そうとしているのに。」
「結果的にはそうだ。しかし自分の部下を潰すと言うことは、国家の力も潰すと言うことだ。こんな時に黄の国から攻め込まれればすぐに負ける。」
「……。」
「紫練の思惑通りになる気がする。そうし向けているような……。」
「藍。」
彼女は彼をのぞき込むように下から彼を見る。
「どちらにしても竜さんか、舞さん。どちらかが紫練の息がかかっている。そんな感じもします。」
「……。」
「離れて正解だったのかもしれません。藍。自分の行動をすべて否定することはありません。」
すると彼はぐっと彼女の腰に手を回す。そして彼女を引き寄せた。
「……コレも否定しなくていいのか?」
「……。」
「累。お前はまだ俺に何も言っていないな。あれだけ乱れているのは、隆の前だからか。」
その言葉に、彼女は藍の方を見なかった。戸惑っていたからだろう。
「累。」
「だめです。」
体を押される感覚。隆といるから抱かれてるのか。自分はそのついでだというのか。彼はぐっと拳に力が入る。
「……言葉に出せば戻れません。今まで押さえていたんです。あなたと別れてずっと……隆だけを見て、それで過ごせればいいと思ってたんです。藍。それを言葉に出すことは出来ません。」
頬に伝う涙。藍はその頬に手を伸ばした。涙を拭い、彼女の視線にまでかがんだ。
「累。だったら言わなくてもいい。お前からキスをしてくれないか。」
「……。」
「累。」
すると彼女は頬に当てられているその手のひらに、唇を寄せた。わずかに濡れているその手のひらに、柔らかな感触が伝わった。そしてそのまま、指先に唇が這ってくる。
「累。それは……。」
ほんの数時間前まで乱れ放題三人でセックスをしていたのに、また抱きしめたくなる。服を脱がせたくなる。
指先に彼女はキスをすると、彼を見上げた。そして手を彼の頬に手を当てる。ざらっとした髭の感触が伝わった。その手が彼の首の後ろに回り、彼女は彼に近づいていく。
「好き。」
彼も彼女の首に手を回した。唇が触れる瞬間、彼女はわずかに言った。
「……。」
唇が軽く触れる。そして彼女はうつむいた。
「……累。」
その言葉が聞こえて、彼はうつむいている彼女の顎を持ち上げると、唇にまたキスをする。今度は触れるだけではなかった。彼は彼女の口内を舐めて、そして肩を押してソファに押し倒す。
「また……するのですか?」
「時間は?」
「……店に行く前に市場に行きたいです。」
「明日では悪いのか?」
「……だめではないのですけど……。」
すると彼は彼女の唇に再びキスをする。そしてシャツに手をかけた。シャツの下の彼女の白い肌には、無数の跡がある。それは隆が付けたモノもあるし、藍が付けたモノもある。それをなぞり、また彼はそこに跡を付けた。
「あっ……。」
声が上がり、彼は彼女を少し抱き起こすと、背中に手を回した。そのときだった。
ピンポーン。
チャイムが鳴る。この間、隆が玄関のチャイムを修理していたので、音が鳴ったのだ。
「はい。」
彼女はシャツを戻すと、玄関に向かっていく。
もう少しだった。もう少しで自分と彼女だけの時間を過ごせれ留と思ったのに。悔しそうに彼は拳を握った。
「……はい。」
玄関のドアを開けると、そこには彩の姿があった。」
「彩……。」
「やぁ。」
まずい。今部屋の中には藍がいる。彩は藍と組んでいることは知らないのだ。ましてやセックスをしているなど思っても見ないだろう。
「……どうしました?」
「店を見せて欲しいと思ってね。改装が終わったって聞いたし。二人で働くんだろう?」
「はい。いずれは。」
「今じゃないんだね。」
「えぇ。」
すると彩は少し微笑む。
「累。隆にはあまり気を許さない方がいいのかもしれない。」
「どうしてですか?」
「彼はまだ何かを君に隠しているんじゃないのか。」
その言葉が藍の耳にも聞こえ、ぐっと拳を握った。
いろんなことの気持ちの整理がついた。
国家のことなどどうでもいいと思っていたが、そうも言っていられないし、普通に育っていた自分でも役に立つことはある。
それに島でも累のことを認めてくれていた。このまま累を嫁に貰うのはそう難しくはないだろう。
だが嫁に貰ってからも、藍は彼女の元にやってくるのだろうか。三人でセックスをする日々が続くのだろうか。累はもう二人だけでセックスをするのに満足しないのだろうか。
「……。」
もう考えない方がいい。隆はそう思いながら、懐に入っている銃を服の上からなぞる。そして音香の扉を開いた。
シーツや他の衣類を洗濯機からだして、ベランダに干した。寒いが、いい天気だ。すぐに乾くだろう。
そしてリビングで新聞を読んでいた藍に声をかける。
「藍。」
彼女はそういって彼の隣に座った。
「どうした。」
「藍は彩が怪しいと思っているのですか?」
「……彩だけではない。実は怪しいと思うのは、ヤツだけじゃない。」
「……。」
「俺があのアパートを出たのはどうしてだと思う?」
「信頼おける人を絞っているから。そうおっしゃっていましたね。」
「あぁ。お前と隆、それから京だ。」
「……アパートの方も信用できませんか?」
いろいろと助けてくれた人だ。そんなことを考えてはいけないと思っていたのに。
「だが不自然な点はある。京の家を爆発させたとき、穂の遺体に近づけたのは、あの二人のうち一人だ。」
「……。」
「信が仕掛けたとも考えられるが、信はその爆発物を手に入れる時間はなかったはずだ。となると、手渡した人物がいる。」
「……それもあの二人のうちの一人。」
「どっちかはわからない。それに彩であることも捨てきれない。」
もう一人、藍には怪しい人物がいると思っていた。しかしそれを告げれば、彼女は彼を責めるだろう。だから言いたくはなかった。
「……。」
「累。」
「……一人一人、潰していきましょう。疑いがかからなくなったら、残った人が灰音なのでしょうから。」
ぐっと拳に力が入る。
「だが……紅花の立場として言うと、正直自分の部下を疑うのは、気が引ける。」
「どうしてですか?国家を潰そうとしている人を潰そうとしているのに。」
「結果的にはそうだ。しかし自分の部下を潰すと言うことは、国家の力も潰すと言うことだ。こんな時に黄の国から攻め込まれればすぐに負ける。」
「……。」
「紫練の思惑通りになる気がする。そうし向けているような……。」
「藍。」
彼女は彼をのぞき込むように下から彼を見る。
「どちらにしても竜さんか、舞さん。どちらかが紫練の息がかかっている。そんな感じもします。」
「……。」
「離れて正解だったのかもしれません。藍。自分の行動をすべて否定することはありません。」
すると彼はぐっと彼女の腰に手を回す。そして彼女を引き寄せた。
「……コレも否定しなくていいのか?」
「……。」
「累。お前はまだ俺に何も言っていないな。あれだけ乱れているのは、隆の前だからか。」
その言葉に、彼女は藍の方を見なかった。戸惑っていたからだろう。
「累。」
「だめです。」
体を押される感覚。隆といるから抱かれてるのか。自分はそのついでだというのか。彼はぐっと拳に力が入る。
「……言葉に出せば戻れません。今まで押さえていたんです。あなたと別れてずっと……隆だけを見て、それで過ごせればいいと思ってたんです。藍。それを言葉に出すことは出来ません。」
頬に伝う涙。藍はその頬に手を伸ばした。涙を拭い、彼女の視線にまでかがんだ。
「累。だったら言わなくてもいい。お前からキスをしてくれないか。」
「……。」
「累。」
すると彼女は頬に当てられているその手のひらに、唇を寄せた。わずかに濡れているその手のひらに、柔らかな感触が伝わった。そしてそのまま、指先に唇が這ってくる。
「累。それは……。」
ほんの数時間前まで乱れ放題三人でセックスをしていたのに、また抱きしめたくなる。服を脱がせたくなる。
指先に彼女はキスをすると、彼を見上げた。そして手を彼の頬に手を当てる。ざらっとした髭の感触が伝わった。その手が彼の首の後ろに回り、彼女は彼に近づいていく。
「好き。」
彼も彼女の首に手を回した。唇が触れる瞬間、彼女はわずかに言った。
「……。」
唇が軽く触れる。そして彼女はうつむいた。
「……累。」
その言葉が聞こえて、彼はうつむいている彼女の顎を持ち上げると、唇にまたキスをする。今度は触れるだけではなかった。彼は彼女の口内を舐めて、そして肩を押してソファに押し倒す。
「また……するのですか?」
「時間は?」
「……店に行く前に市場に行きたいです。」
「明日では悪いのか?」
「……だめではないのですけど……。」
すると彼は彼女の唇に再びキスをする。そしてシャツに手をかけた。シャツの下の彼女の白い肌には、無数の跡がある。それは隆が付けたモノもあるし、藍が付けたモノもある。それをなぞり、また彼はそこに跡を付けた。
「あっ……。」
声が上がり、彼は彼女を少し抱き起こすと、背中に手を回した。そのときだった。
ピンポーン。
チャイムが鳴る。この間、隆が玄関のチャイムを修理していたので、音が鳴ったのだ。
「はい。」
彼女はシャツを戻すと、玄関に向かっていく。
もう少しだった。もう少しで自分と彼女だけの時間を過ごせれ留と思ったのに。悔しそうに彼は拳を握った。
「……はい。」
玄関のドアを開けると、そこには彩の姿があった。」
「彩……。」
「やぁ。」
まずい。今部屋の中には藍がいる。彩は藍と組んでいることは知らないのだ。ましてやセックスをしているなど思っても見ないだろう。
「……どうしました?」
「店を見せて欲しいと思ってね。改装が終わったって聞いたし。二人で働くんだろう?」
「はい。いずれは。」
「今じゃないんだね。」
「えぇ。」
すると彩は少し微笑む。
「累。隆にはあまり気を許さない方がいいのかもしれない。」
「どうしてですか?」
「彼はまだ何かを君に隠しているんじゃないのか。」
その言葉が藍の耳にも聞こえ、ぐっと拳を握った。
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