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揚げ納豆
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先に芹を出版社の前でおろしたのは、丁度良かったのかも知れない。そのあと棗はアパートの方へ車を向ける。
「良かったな。お前の家の前とか言われなくて。」
「そうね。本当に仕事だったからでしょうけど。」
仕事だと言ったらあまり他のことには構わないのは変わらないのだ。それは沙夜もそして棗も同じように思える。思いだしたら一直線なのだ。
「俺もお前の家は付いて行きたいんだけどさ。」
鶏肉は保冷バッグに入れていて、温度を一定にするように氷なんかを入れているが、あまり時間を置きたくなかった。だから店に着いたらすぐに仕込みをしないといけないだろう。今日は大事な客が来るのだ。
「構いませんよ。」
「迎えは来るのか?」
「いいえ。もう一人ででも大丈夫ですから。それに明るいですし。」
瀬名の件で痛い目に遭っている出版社なのだ。しばらくは何を記事にしても信用されないだろう。それどころか偽造されていると訴えられているのだ。沙夜の件を記事にしたところで、それも信用されないだろう。
「ふーん……。だったら平気か。」
「しかし、誤解されるようなことを言ってしまったのは事実なんです。あまり派手に動かないようにとは言われましたけどね。」
「お前は結構熱くなるところがあるみたいだ。もしライブなんかしたら、テンションが上がりまくるんだろうな。」
「えぇ。だから一度、「Flipper's」で一馬と一緒に弾いたときに、一曲の約束が三曲になったんですから。」
「ははっ。それはその場に居たヤツが役得だったな。」
そうかも知れないが、それで沙夜も一馬も痛い目に遭ってしまった。しかしそれをチャンスに変えられた。そうやって機転を利かせられることはそう無いかも知れない。だから行動は慎重にしないといけないだろう。
アパートの前に付き、沙夜は荷物を降ろすと棗の車はそのまま走り去っていく。
そしてアパートの中に入る前に、郵便受けを探った。ダイレクトメール。チラシなどが入っているが、その中に手紙のようなモノがあった。
「ん?」
それを手にして沙夜はその場でその手紙の宛名を確認した。するとそこには実家の住所と母親の名前が書かれている。どうせろくなモノでは無いだろう。お見合い写真とかそんなモノかも知れないが、その割には薄い。そう思ってその手紙を手に部屋に戻る。
部屋に帰り、荷物を置くと手紙を手にして封を開けた。するとそこには封筒が二通入っている。一つは沙夜当て。そしてもう一つは棗に当てたモノだった。
手紙が同封されていて、その手紙を見るとどうやら沙夜の叔母である時子から言付けされていたらしい。全く沙夜が実家に帰ってこないので、渡して欲しいというモノだった。
おそらくこれはお見舞い返しだろう。沙夜当ての封筒を開けてみるとそこには商品券が入っていた。時子らしいお見舞い返しだと思う。挨拶をするなら連絡を直接取って欲しいと、時子の連絡先を書いていた。なので早速連絡をしてみる。
「えぇ……。最近忙しくて、すいません。今頂きまして。えぇ……。」
時子は足が治って休みながらもまた畑を始めたらしい。育っている作物は、辰雄のところとあまり変わらないモノのようだ。
「沙夜さん。またあなたのピアノが聴きたいわ。ご実家にはまだあのピアノはあるみたいだし、帰ってまた聴かせて頂戴ね。」
その電話を切ったあと、やはり沙夜は不信感を隠せなかった。時子がそんなことを言うのは初めて聞いたが、それは母親に言わせられているのでは無いかと思えた。
慕っていた時子だが、疑心暗鬼になりそうだと思う。しかしそう思ったとき、ふと手首に触れた。そこにはブレスレットがある。
「落ち着いて行動をしろ。」
一馬に言われているようで少し心が落ち着く。
そして今は何をしないといけないのかと思い直した。まずはシャワーを浴びよう。それから野菜を冷蔵庫に入れるモノ。遥人の家に持って行くモノと分けたいと思う。
少し離れたところだが、写真スタジオというモノはある。そこで雑誌に載る写真を撮っていた沙菜は、そのまま自分の出番が終わると事務所へ呼び出されてそのまま事務所へ行く電車に乗っていた。昼間の電車では尚更沙菜だと気づかれることはない。
それに電車の中はあまり人がいないのだ。サラリーマンのような人も居るが、沙菜だとは気が付かない。どちらにしても芸能人ではないのだから、知らなくて当然だろう。そう思いながら、沙菜は携帯電話でSNSをチェックしていた。
その時だった。電車に乗ってきた人を見て沙菜は驚いて思わずそちらを見る。そこには純の姿があったのだ。特徴的な金髪を隠すようにキャップを被っているが、背負っているギターのケースは隠しようがない。それに純が載ってきたことでさすがに電車に乗っている人も気が付いたのかもしれない。視線を送っているが、純はイヤホンを耳の中に入れて無視しているように感じた。
「外で「二藍」のメンバーに会っても不用意に話しかけないで。あなたはもう一般の人では無いんだから。」
沙夜はそう言っていた。それは自分でも思うことだと思う。沙菜は男をとっかえひっかえしているというイメージがあるかも知れないが、芸能人となれば少し話が違う。特に「二藍」のようにプライベートを隠しているような人達は、沙菜のような人と繋がりがあると知られたら、嫌でもイメージが悪くなってしまうだろう。独身の純だから良いというわけでは無いのだ。
そう思ってまたSNSをチェックしていた。いいねをしたり、コメントを見たり、同業者にはコメントを入れたりしている。入れたり、入れられたりで関係をこじらせないようにしているのだ。こういう世界でも女性同士の付き合いは難しいし、面倒くさい。
そしてしばらく駅をやり過ごしたときだった。その駅に着いたとき、入ってきた人に沙菜は驚いてそちらを思わず見てしまった。それは沙夜で、白いチュニックとジーパンを履いている。あのチュニックは見たことがあるが、デートでもするのだろうかというような格好だった。そして純の方を見ると沙夜はそちらに近寄っていく。
「純。」
「お疲れ。今日、休みだったんだろう?」
「えぇ。午前中にほら。色んなモノを頂いて。サラダの材料ね。」
「いいね。それに今日の格好も良いね。凄く可愛い。」
「あら。そうかしら。でも覚えてる?これって……。」
まるで恋人同士のような会話に、沙菜はついに我慢が出来なくなった。椅子から立ち上がり二人に近づいていく。
「姉さん。」
沙菜の姿に沙夜は驚いてそちらを見た。
「あら。沙菜。こちらで仕事だったの?」
「姉さんはデートしているの?」
すると沙夜は純を見て少し笑う。純も笑いながら沙菜をみていた。
「デートって……だったら良かったのにさ。」
「そうね。純とデートってどこに連れて行かれるかしら。」
「レコード屋さんとか?
「それはそれで興味があるわ。古い音源なんかがみたいけど。私だったら、古本屋さんかしらね。」
「似たようなモノじゃん。」
その会話に沙菜は驚いて二人を見る。どうも様子が違うからだ。
「違うの?」
「違うよ。」
「そんな格好をしているのに?普段そんなチュニック着ないじゃん?」
「着ないわよ。でもちょっと行く所を考えるとね。」
「どこに行くの?」
「遥人のマンションよ。」
「遥人って……栗山さんの?」
「そう。芸能人が住むマンション。どんなところかわかるでしょう?」
その言葉に沙菜はやっと納得した。つまりあまりみすぼらしいといぶかしげにみられるので、それなりの格好をしたと言うことだろう。
「あ、思いだした。そのチュニックさ。北の町でライブをしたときに、遥人がプレゼントしたモノだろう。」
「そう。そういえばそういうモノがあったと思って着たのよ。でも遥人はやっぱりセンスが良いわ。」
「だよね。俺、女の服なんか選んだことないよ。」
その言葉に沙菜は急激に恥ずかしくなった。誤解をして沙夜に詰め寄ったのだから。それによく見ればチュニック以外は普通の沙夜の格好なのだから、責められるようなことはないだろう。
「沙菜は何をしているの?」
「あたしは……その……撮影が終わって。」
「撮影?映像の方の?」
「いいえ。雑誌なんだけど。」
「雑誌?そんな仕事もあるんだ。」
純はそう聞くと、沙菜は頷いて言う。そういえば前にそういう仕事に入ると言っていたときに、同じスタジオに入ったことがあるのだ。セックスだけが沙菜の仕事ではないのだから。
「えぇ。夏目さんはそういうのを見ないでしょ?」
「見ないね。でもほら、若い頃なんかはさ。」
沙夜が居れば純と公共の場で話をしていてもそんなに違和感はない。しかし沙菜は少し違和感を感じていた。純はもっと女性に冷たくて、厳しいイメージがあったのだが、今の純はとても取っ付きやすい。
ラジオの仕事をしていると言っていた。つまりスタジオとか、楽器のメーカーとかそういうモノとの付き合い以外にも付き合う幅が広くなったと言えるだろう。だから、色んな人に出会い、それが純という人間を大きくさせたのかも知れない。
しかしそれだけでは無い気がした。その時、沙夜がしきりに手首に触れている。それを見て、違和感を覚えた。そこには見覚えの無いブレスレットがあるのだから。
「良かったな。お前の家の前とか言われなくて。」
「そうね。本当に仕事だったからでしょうけど。」
仕事だと言ったらあまり他のことには構わないのは変わらないのだ。それは沙夜もそして棗も同じように思える。思いだしたら一直線なのだ。
「俺もお前の家は付いて行きたいんだけどさ。」
鶏肉は保冷バッグに入れていて、温度を一定にするように氷なんかを入れているが、あまり時間を置きたくなかった。だから店に着いたらすぐに仕込みをしないといけないだろう。今日は大事な客が来るのだ。
「構いませんよ。」
「迎えは来るのか?」
「いいえ。もう一人ででも大丈夫ですから。それに明るいですし。」
瀬名の件で痛い目に遭っている出版社なのだ。しばらくは何を記事にしても信用されないだろう。それどころか偽造されていると訴えられているのだ。沙夜の件を記事にしたところで、それも信用されないだろう。
「ふーん……。だったら平気か。」
「しかし、誤解されるようなことを言ってしまったのは事実なんです。あまり派手に動かないようにとは言われましたけどね。」
「お前は結構熱くなるところがあるみたいだ。もしライブなんかしたら、テンションが上がりまくるんだろうな。」
「えぇ。だから一度、「Flipper's」で一馬と一緒に弾いたときに、一曲の約束が三曲になったんですから。」
「ははっ。それはその場に居たヤツが役得だったな。」
そうかも知れないが、それで沙夜も一馬も痛い目に遭ってしまった。しかしそれをチャンスに変えられた。そうやって機転を利かせられることはそう無いかも知れない。だから行動は慎重にしないといけないだろう。
アパートの前に付き、沙夜は荷物を降ろすと棗の車はそのまま走り去っていく。
そしてアパートの中に入る前に、郵便受けを探った。ダイレクトメール。チラシなどが入っているが、その中に手紙のようなモノがあった。
「ん?」
それを手にして沙夜はその場でその手紙の宛名を確認した。するとそこには実家の住所と母親の名前が書かれている。どうせろくなモノでは無いだろう。お見合い写真とかそんなモノかも知れないが、その割には薄い。そう思ってその手紙を手に部屋に戻る。
部屋に帰り、荷物を置くと手紙を手にして封を開けた。するとそこには封筒が二通入っている。一つは沙夜当て。そしてもう一つは棗に当てたモノだった。
手紙が同封されていて、その手紙を見るとどうやら沙夜の叔母である時子から言付けされていたらしい。全く沙夜が実家に帰ってこないので、渡して欲しいというモノだった。
おそらくこれはお見舞い返しだろう。沙夜当ての封筒を開けてみるとそこには商品券が入っていた。時子らしいお見舞い返しだと思う。挨拶をするなら連絡を直接取って欲しいと、時子の連絡先を書いていた。なので早速連絡をしてみる。
「えぇ……。最近忙しくて、すいません。今頂きまして。えぇ……。」
時子は足が治って休みながらもまた畑を始めたらしい。育っている作物は、辰雄のところとあまり変わらないモノのようだ。
「沙夜さん。またあなたのピアノが聴きたいわ。ご実家にはまだあのピアノはあるみたいだし、帰ってまた聴かせて頂戴ね。」
その電話を切ったあと、やはり沙夜は不信感を隠せなかった。時子がそんなことを言うのは初めて聞いたが、それは母親に言わせられているのでは無いかと思えた。
慕っていた時子だが、疑心暗鬼になりそうだと思う。しかしそう思ったとき、ふと手首に触れた。そこにはブレスレットがある。
「落ち着いて行動をしろ。」
一馬に言われているようで少し心が落ち着く。
そして今は何をしないといけないのかと思い直した。まずはシャワーを浴びよう。それから野菜を冷蔵庫に入れるモノ。遥人の家に持って行くモノと分けたいと思う。
少し離れたところだが、写真スタジオというモノはある。そこで雑誌に載る写真を撮っていた沙菜は、そのまま自分の出番が終わると事務所へ呼び出されてそのまま事務所へ行く電車に乗っていた。昼間の電車では尚更沙菜だと気づかれることはない。
それに電車の中はあまり人がいないのだ。サラリーマンのような人も居るが、沙菜だとは気が付かない。どちらにしても芸能人ではないのだから、知らなくて当然だろう。そう思いながら、沙菜は携帯電話でSNSをチェックしていた。
その時だった。電車に乗ってきた人を見て沙菜は驚いて思わずそちらを見る。そこには純の姿があったのだ。特徴的な金髪を隠すようにキャップを被っているが、背負っているギターのケースは隠しようがない。それに純が載ってきたことでさすがに電車に乗っている人も気が付いたのかもしれない。視線を送っているが、純はイヤホンを耳の中に入れて無視しているように感じた。
「外で「二藍」のメンバーに会っても不用意に話しかけないで。あなたはもう一般の人では無いんだから。」
沙夜はそう言っていた。それは自分でも思うことだと思う。沙菜は男をとっかえひっかえしているというイメージがあるかも知れないが、芸能人となれば少し話が違う。特に「二藍」のようにプライベートを隠しているような人達は、沙菜のような人と繋がりがあると知られたら、嫌でもイメージが悪くなってしまうだろう。独身の純だから良いというわけでは無いのだ。
そう思ってまたSNSをチェックしていた。いいねをしたり、コメントを見たり、同業者にはコメントを入れたりしている。入れたり、入れられたりで関係をこじらせないようにしているのだ。こういう世界でも女性同士の付き合いは難しいし、面倒くさい。
そしてしばらく駅をやり過ごしたときだった。その駅に着いたとき、入ってきた人に沙菜は驚いてそちらを思わず見てしまった。それは沙夜で、白いチュニックとジーパンを履いている。あのチュニックは見たことがあるが、デートでもするのだろうかというような格好だった。そして純の方を見ると沙夜はそちらに近寄っていく。
「純。」
「お疲れ。今日、休みだったんだろう?」
「えぇ。午前中にほら。色んなモノを頂いて。サラダの材料ね。」
「いいね。それに今日の格好も良いね。凄く可愛い。」
「あら。そうかしら。でも覚えてる?これって……。」
まるで恋人同士のような会話に、沙菜はついに我慢が出来なくなった。椅子から立ち上がり二人に近づいていく。
「姉さん。」
沙菜の姿に沙夜は驚いてそちらを見た。
「あら。沙菜。こちらで仕事だったの?」
「姉さんはデートしているの?」
すると沙夜は純を見て少し笑う。純も笑いながら沙菜をみていた。
「デートって……だったら良かったのにさ。」
「そうね。純とデートってどこに連れて行かれるかしら。」
「レコード屋さんとか?
「それはそれで興味があるわ。古い音源なんかがみたいけど。私だったら、古本屋さんかしらね。」
「似たようなモノじゃん。」
その会話に沙菜は驚いて二人を見る。どうも様子が違うからだ。
「違うの?」
「違うよ。」
「そんな格好をしているのに?普段そんなチュニック着ないじゃん?」
「着ないわよ。でもちょっと行く所を考えるとね。」
「どこに行くの?」
「遥人のマンションよ。」
「遥人って……栗山さんの?」
「そう。芸能人が住むマンション。どんなところかわかるでしょう?」
その言葉に沙菜はやっと納得した。つまりあまりみすぼらしいといぶかしげにみられるので、それなりの格好をしたと言うことだろう。
「あ、思いだした。そのチュニックさ。北の町でライブをしたときに、遥人がプレゼントしたモノだろう。」
「そう。そういえばそういうモノがあったと思って着たのよ。でも遥人はやっぱりセンスが良いわ。」
「だよね。俺、女の服なんか選んだことないよ。」
その言葉に沙菜は急激に恥ずかしくなった。誤解をして沙夜に詰め寄ったのだから。それによく見ればチュニック以外は普通の沙夜の格好なのだから、責められるようなことはないだろう。
「沙菜は何をしているの?」
「あたしは……その……撮影が終わって。」
「撮影?映像の方の?」
「いいえ。雑誌なんだけど。」
「雑誌?そんな仕事もあるんだ。」
純はそう聞くと、沙菜は頷いて言う。そういえば前にそういう仕事に入ると言っていたときに、同じスタジオに入ったことがあるのだ。セックスだけが沙菜の仕事ではないのだから。
「えぇ。夏目さんはそういうのを見ないでしょ?」
「見ないね。でもほら、若い頃なんかはさ。」
沙夜が居れば純と公共の場で話をしていてもそんなに違和感はない。しかし沙菜は少し違和感を感じていた。純はもっと女性に冷たくて、厳しいイメージがあったのだが、今の純はとても取っ付きやすい。
ラジオの仕事をしていると言っていた。つまりスタジオとか、楽器のメーカーとかそういうモノとの付き合い以外にも付き合う幅が広くなったと言えるだろう。だから、色んな人に出会い、それが純という人間を大きくさせたのかも知れない。
しかしそれだけでは無い気がした。その時、沙夜がしきりに手首に触れている。それを見て、違和感を覚えた。そこには見覚えの無いブレスレットがあるのだから。
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