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総攻撃
過去との決別
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ベスの言っていた「rose」という店は、女性がいけるような店ではないようだ。そこでノアはミケルとハンをつれて、花街へ行ってみることにした。
レオはソフィアやアイネスをつれて宿に帰っていった。
「…レオは行かないの?」
するとレオはパソコンを開きながら、ほほえんだ。
「俺、酒飲めないしね。」
「そうね。飲んでいるのみたことないわね。弱いの?」
「そうじゃないよ。昔、依存していてね。これ以上飲んだら死ぬって言われた。」
煙草と酒におぼれ、「薬」をしていた方がもっと長生きできると言わされたこともある。
「そう…。」
アイネスはレオのその言葉を気にして何も聞かなかったが、ソフィアは表情も変えずにレオに聞く。
「内臓に疾患が出来るまで飲んでいたのね。」
その言葉にアイネスははらはらしながら聞いていたが、ソフィアもレオも鈍感なのか、そういうことは気にしていないようだった。
「そうだね。酒代のために男娼の真似事までしたよ。」
「…レオ。そんなことまで…。」
するとレオは笑いながら言った。
「俺は結構男にもててたからね。今はごめんだけど。アイネスももててたんだろ?」
開けっぴろげに話すレオに、アイネスはベッドに腰掛けた。
「そうね。昔の話よ。体を使って客を取っていたのなんて。」
昔の話はしたくない。寒い冬を思い出すから。
フェイクの毛皮のコートは安物で寒さをしのげない。それを羽織り、外で客を捕まえないといけなかった。豊満な肉体だけを武器に。
「あれ?そういえば、ユーリは?」
途中までついてきていたと思ったのに、ユーリの姿がなかった。それに気がついてソフィアが2人に聞いたのだ。
「あ、そういえばどこに行ったのかな。」
すると入り口のドアが開いた。そこにはハンとミケルの姿があった。
「お帰り。どうだった?」
レオが聞くと、ミケルは不機嫌そうな顔になる。
「すげぇ場所だな。花街っていうのは。」
「男娼している奴も売春している奴も多かった。」
ハンはさらに不機嫌そうだ。女にすり寄られ、香水の匂いが染み着きそうだったのが彼の不機嫌の原因だろう。
「ボスは?」
「あの店のオーナーと何か話していたな。すぐ行くからって、俺らは先に帰ったんだけどな。」
「ユーリは?」
「ユーリ?それは知らないな。まぁ気にしない方がいい。あいつは元々俺らの仲間でも何でもないんだから、協調性なんか求めてねぇよ。」
欠伸をしながら、ミケルはベッドに腰掛けた。その彼の前にハンが立ちふさがる。
「ユーリがどうなっても良いってことか?」
「あいつは死なねぇんだろ?だったらそんなに心配することもないし、そもそも仲間じゃない。」
「仲間じゃなければいいのか。」
するとミケルは笑いながら、彼を見上げた。
「惚れているから必死だな。」
「貴様!」
ハンの拳がミケルに届こうとしたときだった。
「何をやっているんだ。」
ちょうど入ってきたのはノアだった。その後ろにユーリの姿もある。
「ユーリ…。」
「どこへ行っていたの?心配したのよ。」
すると彼女は笑いながらごめんと謝り、ミケルの横に腰掛けた。そして言葉を続ける。
「新月の夜。「shadow」は絵を密輸しているらしい。」
「え?」
「あぁ、これは精霊の言葉ではなくて、港の人に聞いたの。」
「…港へ行っていたのか。」
「えぇ。どうしても気になる店があってね。」
「誘ってくれればいいのに。」
レオはそういって頬を膨らませる。
「そうね。でもごめんなさい。一人の方が良いときもあるものだから。」
足手まといを作りたくない。それから自分に関わって犠牲者を出したくない。それが本音だった。
「そうか。それではっきりしたな。」
ノアはそういって煙草に火を付けた。
「どうしたんだ。ボス。」
「薬は「shadow」が流しているものだ。そしてあの店や、夕方に行ったスタジオなんかに横流ししている。知っている奴はそこに出入りするはずだ。」
あの食堂であったベスという女。彼女は消えることのない借金を返すために、客を取っている。当然不満がでるだろう。その不満を解消するために、店は薬を使うこともあるのだ。
「それで腕を?」
「あぁ。注射のあとが沢山あった。短期間にあんなに打っていれば、廃人手前だな。」
「…そんなにしてまで…。」
廃人寸前までいっていたミケルが口元を押さえる。もしかしたら自分もそうなっていたかもしれないと。
唯一自分の過去を後悔することがあるならば、薬をしていた過去を後悔する。
そんなミケルの様子を見て、ユーリは察したのか彼の背中に手を置いた。それに気がついて、彼は彼女の方を見下ろした。
「ユーリ…。」
「ミケル。過去は変えられないけれど、未来はいくらでも変えられるわ。あまり過去に縛られないで。」
その言葉が、心に滲みる。
好きな女がいる。大事にしたい女だ。しかし自分のあの過去が気になって言えなかった。
「…そうだな。」
もしかしたら過干渉と言われるかもしれない。それでも彼女はその真っ青になった彼を放っておくほど無慈悲にはなれなかったのだ。
レオはソフィアやアイネスをつれて宿に帰っていった。
「…レオは行かないの?」
するとレオはパソコンを開きながら、ほほえんだ。
「俺、酒飲めないしね。」
「そうね。飲んでいるのみたことないわね。弱いの?」
「そうじゃないよ。昔、依存していてね。これ以上飲んだら死ぬって言われた。」
煙草と酒におぼれ、「薬」をしていた方がもっと長生きできると言わされたこともある。
「そう…。」
アイネスはレオのその言葉を気にして何も聞かなかったが、ソフィアは表情も変えずにレオに聞く。
「内臓に疾患が出来るまで飲んでいたのね。」
その言葉にアイネスははらはらしながら聞いていたが、ソフィアもレオも鈍感なのか、そういうことは気にしていないようだった。
「そうだね。酒代のために男娼の真似事までしたよ。」
「…レオ。そんなことまで…。」
するとレオは笑いながら言った。
「俺は結構男にもててたからね。今はごめんだけど。アイネスももててたんだろ?」
開けっぴろげに話すレオに、アイネスはベッドに腰掛けた。
「そうね。昔の話よ。体を使って客を取っていたのなんて。」
昔の話はしたくない。寒い冬を思い出すから。
フェイクの毛皮のコートは安物で寒さをしのげない。それを羽織り、外で客を捕まえないといけなかった。豊満な肉体だけを武器に。
「あれ?そういえば、ユーリは?」
途中までついてきていたと思ったのに、ユーリの姿がなかった。それに気がついてソフィアが2人に聞いたのだ。
「あ、そういえばどこに行ったのかな。」
すると入り口のドアが開いた。そこにはハンとミケルの姿があった。
「お帰り。どうだった?」
レオが聞くと、ミケルは不機嫌そうな顔になる。
「すげぇ場所だな。花街っていうのは。」
「男娼している奴も売春している奴も多かった。」
ハンはさらに不機嫌そうだ。女にすり寄られ、香水の匂いが染み着きそうだったのが彼の不機嫌の原因だろう。
「ボスは?」
「あの店のオーナーと何か話していたな。すぐ行くからって、俺らは先に帰ったんだけどな。」
「ユーリは?」
「ユーリ?それは知らないな。まぁ気にしない方がいい。あいつは元々俺らの仲間でも何でもないんだから、協調性なんか求めてねぇよ。」
欠伸をしながら、ミケルはベッドに腰掛けた。その彼の前にハンが立ちふさがる。
「ユーリがどうなっても良いってことか?」
「あいつは死なねぇんだろ?だったらそんなに心配することもないし、そもそも仲間じゃない。」
「仲間じゃなければいいのか。」
するとミケルは笑いながら、彼を見上げた。
「惚れているから必死だな。」
「貴様!」
ハンの拳がミケルに届こうとしたときだった。
「何をやっているんだ。」
ちょうど入ってきたのはノアだった。その後ろにユーリの姿もある。
「ユーリ…。」
「どこへ行っていたの?心配したのよ。」
すると彼女は笑いながらごめんと謝り、ミケルの横に腰掛けた。そして言葉を続ける。
「新月の夜。「shadow」は絵を密輸しているらしい。」
「え?」
「あぁ、これは精霊の言葉ではなくて、港の人に聞いたの。」
「…港へ行っていたのか。」
「えぇ。どうしても気になる店があってね。」
「誘ってくれればいいのに。」
レオはそういって頬を膨らませる。
「そうね。でもごめんなさい。一人の方が良いときもあるものだから。」
足手まといを作りたくない。それから自分に関わって犠牲者を出したくない。それが本音だった。
「そうか。それではっきりしたな。」
ノアはそういって煙草に火を付けた。
「どうしたんだ。ボス。」
「薬は「shadow」が流しているものだ。そしてあの店や、夕方に行ったスタジオなんかに横流ししている。知っている奴はそこに出入りするはずだ。」
あの食堂であったベスという女。彼女は消えることのない借金を返すために、客を取っている。当然不満がでるだろう。その不満を解消するために、店は薬を使うこともあるのだ。
「それで腕を?」
「あぁ。注射のあとが沢山あった。短期間にあんなに打っていれば、廃人手前だな。」
「…そんなにしてまで…。」
廃人寸前までいっていたミケルが口元を押さえる。もしかしたら自分もそうなっていたかもしれないと。
唯一自分の過去を後悔することがあるならば、薬をしていた過去を後悔する。
そんなミケルの様子を見て、ユーリは察したのか彼の背中に手を置いた。それに気がついて、彼は彼女の方を見下ろした。
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その言葉が、心に滲みる。
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