王道くんと、俺。

葉津緒

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第四章

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俺は絶対に騙されないぞ、んな無駄にフェロモン垂れ流しの笑顔が可愛いとかエロいとか変に胸が高鳴るだなんて……千賀郁人の思う壷だろ。惑わされるな俺ぇえッ!?)


――現在いろいろと葛藤中。




 ガラッ


「あ」


何の前触れもなく教室の後ろの扉が開き、中へと入って来た一人の生徒。
彼の姿にクラスの皆は息を呑んで静まり返る。
そんな妙な雰囲気と視線を気にもせず歩を進めた人物は、最後列、窓から二番目の席に座った。

うん、それってつまり俺の隣の席ね。


「亮ちゃんオハヨー、もうお昼過ぎてるけどねー。ご飯食べたぁ?」

「……ああ食った。眠みぃ」


ふあぁ、と大きな欠伸をする亮ちゃん。

“土屋 亮介”(ツチヤ リョウスケ)

って名前で、長身銀髪の美形不良くん。
クールな一匹狼……っぽく振る舞ってるけど本当はそんなことないから。わりと苦労性なオカン気質だと思うし。
あと、どっかのチームに所属してて、昨夜は寮を抜け出してその会合(ケンカ?)に行ってたみたい。朝帰りだったのは街で少しゴタついたから、とか言ってたかな。

ん?
そういえば肝心な部分を言い忘れてました。
俺と亮ちゃん、寮の同室者さん同士なんだよぉ。
という訳で朝のショートホームルーム中に千葉ちゃんが言ってたのは、ここにいる亮ちゃんのことでした。
みんな宜しくね♪



「ねぇ亮ちゃんそれ、何持ってるのー……って学園新聞?」

「さっき廊下でぶつかって来た奴が大量に抱えてた、のをお詫びです、つって無理やり渡された」

「ふうん?」


相手は新聞部の人かな。
寝起きの亮ちゃんって、物凄く機嫌悪そうに見えるからなぁ。

実際は低血圧で頭が回ってないだけなのに。
あ、たまに頭痛も酷いらしくて眉間にしわ寄せてるけど。(眼力すごいよ)

そんで普段わりと無表情だし、勝手に誤解されて怖がられちゃうみたい。

寮部屋だと、たまに照れたように笑う時とかすっごく可愛いのにね。勿体ない。
……男前で不良のギャップ萌え、最高!


でもでも、そんな一匹狼くんの孤独な心を

『俺と友達になれば淋しくないよな?』

とか言って王道くんが癒してあげるんだよね。うはっ楽しみー。


 ポコン


「あたっ」

「郁人、その顔やめろ。何かムカつく」

.
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