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第五章
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しおりを挟む「郁人、大丈夫?」
「おふっ。む、無理……ぎぼち悪いぃ」
ノアの肩に担がれ途中から猛ダッシュで運ばれた先は、生徒会役員専用の温室でした。
その中にある休憩所的な場所――ここはちょっとした小部屋になっててね。小じんまりとしたテーブルセットや小型冷蔵庫、簡易キッチンにソファー、簡易ベッド。さらにはトイレにシャワールームまで有るんだ。すごいよねぇ、これもう普通に住めちゃうでしょ。
実は俺、何度か遊びに来たことがあるんだ。
ここでノアと一緒にまったりお菓子食べたり紅茶飲んだり、部屋の壁がガラス張りだから温室の花や植物を眺めて安らいだり。本当にたまにだけどね。
生徒会役員専用なのにノア以外全然来ないから、ほぼノアの隠れ家(?)状態らしいよぉ。
いいなー、俺も秘密基地とか欲しい。
「って、ちょっ、ノア何してんのっ」
ソファーにもたれてぐったりしてたら、なぜかノアが俺の服を脱がしはじめてます。うえっ!?
「郁人、あいつらの手垢を洗い落とせばきっとスッキリする。服脱いで、シャワー使って」
「手垢って……うん、そっか。ありがとノア」
「俺、美味しいハーブティ用意して待ってるから。それとも身体洗うの、手伝ったほうがいい?」
「や、それは大丈夫。もうほら一人で立てるし、わっ」
「郁人!」
勢いよく立ち上がるつもりが、足にまだ力が入んなくてノアに抱きとめられました。うわぁ、恥ずかしい。
「ごめん、ノア。ありがと……えへへ、カッコ悪いね俺」
「…………やっぱり俺が洗ってあげる。郁人は、全部俺に任せておけばいいから」
「いやいやいや本当に大丈夫だからっ。俺一人で洗えるから、やめ、ちょっ、待ってノア!?」
再び俺の服を脱がしはじめたノア。
思わず身体が震えて、悲鳴みたいな声が出てしまう。
途端にノアの手が止まり、心配そうな顔で俺を見つめてくる。
……うん。ちゃんと頭ではわかってるんだよ、これがノアの優しさからくる行為だって。だけどごめん、もうちょっとだけ待って。今の俺には余裕がないから。今は誰にも触られたくないんだ。
そんな俺の心の声が伝わったのか、そっと手を離してくれるノア。
「これ新しいタオル、使って郁人」
「……ん。ありがとノア」
手渡されたタオルを受け取り、泣きそうになりながらも笑顔を返す。あ、ノアが辛そうな顔してるや。バレてるなぁこれは。本っ当にごめん。
俺さっきから「ありがとう」と「ごめん」を繰り返してばっかだね。
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