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第五章
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しおりを挟む<飛鳥 視点>
放課後。
副会長の瑞穂があのクソ生意気な転入生を生徒会室に連れ込んでいやがった。
普段は「一般の生徒は立入禁止です」とか偉そうに言ってるくせに、大事な従兄弟だから特別だ? ふざけんなよ。俺様は二度と近づくな? こっちだって正直、んなキモ野郎なんか見たくも近づきたくもねーわ!
クソッ、なんでこんな奴をあいつは……。
会計の埜吾がどっか行っちまうと、生徒会室の中はさらに居心地の悪いもんになった。
妙に息苦しいし、換気でもするかと窓に近づけば。
なんだあれ、誰かを肩に担いで走ってる奴がいるな。
待てよ、もしかして埜吾か?
何やってんだあいつ。一緒にいる生徒は……いや、まさか。
「あれー、埜吾ちゃん変なことやってるね。なんで人担ぎながら走ってんだろ、拉致ごっこ? あ、もしかして担がれてるのって例の『千賀郁人』くんじゃない? あはは、苦しそー」
書記の神田先輩、の片方が俺様の横から外を覗き込む。
ちなみに俺様には双子の見分けはつかねぇ。
「……ちょっと出てくる」
「行ってらっしゃーい、埜吾ちゃんによろしくねー」
何も告げてねぇのに行き先がバレてるな。まあいい。
楽しげに手を振る神田先輩に見送られ、俺様は居心地の悪い生徒会室をあとにした。
埜吾が走っていた場所から少し先へ進むと、見えてきたのは大きな温室だった。
ああ、確か生徒会役員専用だとかで前に一度来たことがあったな。まったく興味がなくて忘れてたわ。
そういえば一般の生徒は入れないはず、だったような。
埜吾がたまに「散歩」と言って逃げ込んでたのはここか。なるほど、人嫌いのあいつが好きそうな場所だ。
……ここに千賀郁人を連れ込んだのか?
なぜだ。わざわざ肩に担いで拉致するかのようにしてまで。
温室の扉の鍵は、カードキーですんなり解除できた。はやる気持ちを抑えて大小様々な植物達のあいだを進めば、温室の中なのに小さな建物が見えてくる。
ここは確か休憩所だったか。
……あいつはここにいるのか?
埜吾と二人で、なんのために。
頭をよぎるのは奴の、千賀郁人の噂。
学園の情報屋からの報告書。
今朝、それと昼の出来事。
学園新聞に書かれていた転入生との関係。あの写真。
ぐるぐると不快な何かが体内を駆け巡るが、それらを抑えて建物の中に入る。
そこは、ちょっとした居住空間のようだった。テーブルやソファー、簡易ベッドに小型冷蔵庫などもあるし。どんだけ居心地の良い隠れ家を作ってんだ、埜吾のやつ。
壁がガラス張りで丸見えだけどな。温室の外からは多分見えねーだろうし、まあ問題ないのか?
「ここで何をしている」
「飛鳥!?」
「お前一人か? さっき誰かを肩に担いで走ってただろう。そいつはどこだ」
.
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