平凡な365日

葉津緒

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回想4

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どうやら無意識にシャッターボタンを押したらしい。つーか何だこの間抜けな音。



そしてろくに確認もせず俺は次の奴にカメラを渡した。
一応撮ったんだから別に文句は無いだろ。そもそも面倒臭いし。

実際に写真を見たのはパネル展示された学園祭当日、つまり今日。無意識だったわりには結構ちゃんと撮影出来てて少し驚いた。
偶然夕日が入り込んだのか、少し変わった色合いというか雰囲気っぽくなってて。クラスの奴が「絞り」やら「露出」「シャッター速度」だの、謎の言葉を発してたような?

俺、カメラのこととかよく知らねーから上手く説明出来ないわ。





「ねぇ、聞いてる?」

「え。あ、すみません」


ハッと気付けばいつの間にかチャラ男会計の手が肩に乗ってやがる。おい、気安く触ってんじゃねーぞこら。


「……写真購入を希望される場合は、この用紙に必要事項を記入して下さい」

「ん、了解~。あ、それでさぁ」


紙とペンを渡しさりげなくチャラ男から離れる。が、話し掛けられては途中で足を止めざるを得ない。何だよ、しつこいな。


「この写真を撮った人、誰」

「は?」

「俺さぁ本当にスゲー気に入っちゃったんだよね、これ! でもって当然撮影した本人も気になるっちゅーか。会って話してみたいな~とか思う訳。そゆ気持ち、分かるっしょ?」

「はあ」


いや、全然これっぽっちも分かんねーし。
ところで急にテンション高いな、こいつ。


「なぁなぁマジ良いっしょ、この写真。何か惹かれる物があるでしょ!」

「えっとその、僕は結構有りがちな感じだと思うんですけど」

「えー? 君、目が悪いんじゃないのぉ。ああ、悪いから眼鏡をかけてるのか成る程ね。そゆ訳で誰が撮影したのか教えてよ」


いや、どんな訳だよ。


「あの多分、山田くんか佐藤くん、いや鈴木くんだったかな? ……あたりが撮影した写真だったと思うのですが」

「多分?」

「すみません、僕にはちょっと。管理担当の者じゃないとよく分からないんです」


もちろん嘘だけどね。

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