平凡な365日

葉津緒

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回想8

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 ***



~舞台裏・仮モニター室~


「うおぅ、なんか今急にブルッてきた!」

「風邪ですか副部長、移さないでくださいね。それよりさっきのあれ、マイクの故障ですかね? リハじゃ一度も起きなかったのに珍しいですねぇ」


さりげなく距離を取る後輩に苦笑しつつモニターを眺める。
若干のざわつきはあるけれど、ミスコンイベントは引き続き行われていて一安心だ。

しかしさっきは頭の血管全部ぶち切れるかと思ったね。
万が一のときのために用意しといた仕掛けを殆ど無意識で作動させるくらいには動揺しちゃったし。
要するに嫉妬で我を忘れたんだよ、この俺が。
うわぁ、かっこ悪いしありえない。

放送部(※ミスコンイベントは複数の部が共同で開催しているんだよー)の機転で、すぐさま司会役のド助平変態セクハラ野郎が排除されたから良かったけど。
あともう少しでも長くあの子に触れていたら、俺、自分でも何やらかしてたか分かんないや。

うっふふ、ホント怖いなぁ。
なんであの子に関してだけは、いつもみたいに冷静じゃいられなくなるんだろーね?
「恋は盲目」ってこんな感じなのかな。



「あ、なんとなくうやむやになっちゃいましたけど副部長が連れてきた彼、大丈夫ですかぁ? さっきまでの司会役に抱きつかれたせいで衣装も乱れてますし。うわ……エロいですね」


「へ? ああッ、み、見るな馬鹿!」


モニターを覗き込む後輩の言葉を不思議に思い、あの子の姿を確認すれば、なんということでしょう。(※動揺)

上気し薄桃色に染まった頬や真っ白な首筋に、乱れた白銀の長い髪が纏わりついている。
肩からずり落ちそうな黒いフード付きマントと、その下の白いドレスは胸元を飾る中央の紐が解け、下手するとそのまま脱げてしまいそうにも見える。
……あ、思わず生唾を飲み込んじゃった。

いや、そんな場合じゃない。
こ、こここんなあられもない姿を俺以外の男に見せてたまるか!
と後輩の目を塞いだのに。


「いや、馬鹿とか言われても。だってこれ会場にいる人全員が見てますよ」

「ハッ、そうだったぁー!?」

「分かったらこの手を退けてください、前が見えません」

.
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