平凡な365日

葉津緒

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回想9.5

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だが次の画像には信じられないことに男達に捕まった彼女、もとい『彼』の姿があった。
それも意識を失ったのか目を閉じて大人しく肩に担がれている。

 
「チッ、邪魔だ退け!」

「すいませーん通してください」


怒りで鬼の形相となる赤髪不良。
すぐさま席を立ち会場の出口を目指す。
その後ろを歩く青髪不良。
両手に沢山の屋台土産を抱え、頭には愉快なお面。連れだって歩くガタイの良い二人組。
なかなか笑えるシュールな光景だが、あまりに恐ろしい表情ゆえ誰もが目をそらして道を空ける。
おかげで簡単に外へは出られたのだが。


「……おい、どこ行けば良いんだよ」

「うん? ああ、そう言えばさっき地図みたいなのが送られてきた。旧校舎に向かえってさ。んーと、多分こっちかな」


スマホを見ながら青髪が指差したのは、完全に真逆の方向だった。


「待て、テメエいきなり間違ってんじゃねえよ! ちょっ、貸せ! 頭は良いくせに毎回毎回道に迷いやがって。いい加減そのでたらめな方向音痴は直せねーのか!?」

「音痴とは生理的欠陥によって正しい音の認識と発声のできないこと、大辞泉より。しかしそれは個性であり天賦の才能だと俺は思う。恥ずかしく考える必要は無い。それよりもやっぱ旧校舎は向こうな気がするわ。てことで走るぞ」

「まっ待て、やめろそっちじゃねー!」


そもそも『音痴』の意味が違うだろ。
というツッコミを待たずに暴走した相手を追って、走り出す赤髪不良。
まさか二人のほぼコントな姿を監視カメラの向こう側から覗く者がいて、しかも頭を抱え歯ぎしりしていようとは……。
残念ながら全く気づかず、またそれを知ったからといって特段気に留めるような連中ではなかった。



 ***


 
~ミスコン会場、舞台裏・仮モニター室~


「あれ、どうしたんです副部長。急に頭なんか抱えて具合でも悪いんですか?」

「いやうん、ちょっとねー」

「人手不足なんですから倒れるのは学園祭が終わってからにしてくださいよ」

「……はぁい」


うう、相変わらず手厳しい後輩さまだこと。
危うく本気で凹みかけてたら、次の言葉に心臓が跳ねた。

.
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