平凡な365日

葉津緒

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回想11

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いつの間に眠ったのか気づけば夕陽が空を染める頃で、室内にいた嘘つき野郎が珍しく真面目な顔で心配そうに俺を見ていたんだっけ。


あーダメだ。やっぱ頭がくらくらする。
電話の内容とか全然思い出せねぇわ。くっそ勿体無い。
でも確かこの一週間あの人は遠くへ出張中だったはず。

「予定は変えられないんだし、学園祭にはどうせ来れないのに下手に教えると悔しがって可哀想でしょ? だから内緒にしといたほうがいいよ」

と嘘つき野郎に言われて俺も残念だけど納得したんだよな。本当は物凄く会いたかったんだが。……俺のわがままで仕事の邪魔しちゃ悪いもんな。
ちなみにあの人が「総長」だったのは前の話で、今はチームの皆がたむろってる店の経営者だ。皆が今も慕って、本人にやめろよと言われてもつい「総長」と呼んじゃってるんだよね。現総長までもがそう呼ぶから何かもう、苦笑しながら許してもらってる状態。ふふ。


はあ、それにしても昨日は忙しかった。いや、それはここ数日ずっとだっけ。普段めったに他人と話さないし接触も避けて過ごしてるのに、数ヶ月か下手したら一年分くらい関わった気がする。あ、チームの仲間は除いてね。
肝心の平凡くんは、風紀委員長が朝から晩まで付きっきりで守ってくれたようで安心した。……さすがにトイレの個室の中にまで一緒に入ろうとしていた、って情報は余計だったぞ『狐』野郎。
ともかく今日は俺の分まで頑張ってくださいね風紀委員長。

ミスコンは結局、転入生が優勝したそうだ。生徒会の入れた票得点がえげつないからね、って話だが。発表されたときの凄まじいブーイングに怒った転入生が、怒鳴り散らして暴れたらしい。何やってんだよ。
二位はあのツインテールのセーラー服美少女(?)で、その発表時は会場中拍手喝采だったとか。実は演劇部の部長さんで、ミスコンには演技修行と舞台宣伝のために参加したんだと。表彰式の際にばっちり宣伝をかまし、おかげで今日の舞台チケットも予約完売済み。へえ、良かったな。

ん、あれ? ツインテール美少女といえば何か大事なことを忘れてるような。あー、まあそのうち思い出せるだろ多分。

そういや平凡くんも観客特別賞の『初々しくて可愛いで賞』に選ばれたようだ。これも良かったな、でいいのか?


…………あと、何故か

「俺の女吸血鬼さんを隠すな、今すぐ出せよ!」
「女吸血鬼さんがダントツ優勝だろ、ふざけんな。こんな投票やり直しだ!」
「もう一度女吸血鬼さんに会えるまでは絶対に帰らない!」
「女吸血鬼さん、俺と付き合ってください!」

といった謎のクレームが殺到し、会場中が大混乱になり暴動も起きかけたそうだ。え、途中棄権した俺のせいって意味分かんねーし。観客達はよほど暇だったのか。

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