1 / 26
1
しおりを挟む
立ち入り禁止の古い校舎棟。
その端にある空き教室で。
『親衛隊』に所属する可愛らしい外見の少年たち数名、に囲まれて怯える少年が一人。
いたって平凡な容姿の彼は、BL王道学園における所謂『嫌われ脇役』くんだ。
要するに現在、親衛隊による制裁真っ只中――。
「平凡のくせに転入生を利用して生徒会の皆様方に近付くとか許せない」
「身の程知らずなバカには、罰として今から徹底的に痛めつけてあげなきゃね」
「じゃあ、お前たち頼んだよ。殴るなりヤるなり好きにして構わないから」
親衛隊の合図で扉が開き、教室内に入って来る大柄な男たち。
かなり着崩してはいるが同じ制服姿だ。
「おー任せとけ。つってもこんな平凡相手じゃ俺の勃たねぇし、サンドバック決定~」
「別に顔見なきゃいいんじゃね? 俺は突っ込む穴さえ有ればオッケー。ま、お前がぼこった後で俺がヤってやるよ」
「おいおい、それじゃあ平凡くんが可哀相過ぎるだろぉ? だったら俺はヤりながら殴ってみるわ」
ぎゃははは、と下品な笑い声をあげる不良たち。
平凡な少年一人を制裁(暴行)する為に、わざわざ親衛隊が雇ったらしい。
「や、嫌だ……だ、誰か助けて……ッ!」
顔色を失くしカタカタと震える少年。
恐怖のあまり足に力が入らず、今にも溢れそうな涙で視界が滲む。
親衛隊に両腕を掴まれ逃げることも出来ず、たとえ大声で助けを呼んだとして、一体誰がこんな場所に来てくれるというのか。
まさに絶体絶命である。
「――――アオ? まさかお前、アオなのか?」
そんな緊迫した空気を微塵も感じさせない、謎の声がこの場に響く。
発したのは、最後に教室へ入って来た美形不良くんだった。
「は?」「アオ?」「え、何?」
親衛隊および他の不良たちを一切無視して、興奮気味に駆け寄る美形不良くん。
「いや、間違いない絶対アオだろ! なあ俺のこと覚えてないか、ほら幼稚園でよく一緒に遊んだ、健斗(けんと)だよ」
「けん、と……え、本当にけんと君? 僕より小っちゃくて女の子みたいに可愛くて、あの泣き虫だった?」
「は?」「え?」「泣き虫……」
いきなり感動の再会を果たした、幼なじみ二人の姿。ア然とする目撃者たち。
頬を染め愛おしそうに『アオ』を見つめるのは、美形不良――改め健斗くん。
「やっぱりアオだ、うわマジか。すげー嬉しい! つか泣き虫だったとか言うなよ恥ずかしいだろ」
「あ、ごめん。でも懐かしいな、けんと君に会えるなんて。えっと……あれから元気だった?」
そして何やら思い出話が始まった。
所在なげな周囲の皆さん。
え、この場合どうすんの?
と誰一人言い出せない微妙な雰囲気に、教室中が包まれる。
.
その端にある空き教室で。
『親衛隊』に所属する可愛らしい外見の少年たち数名、に囲まれて怯える少年が一人。
いたって平凡な容姿の彼は、BL王道学園における所謂『嫌われ脇役』くんだ。
要するに現在、親衛隊による制裁真っ只中――。
「平凡のくせに転入生を利用して生徒会の皆様方に近付くとか許せない」
「身の程知らずなバカには、罰として今から徹底的に痛めつけてあげなきゃね」
「じゃあ、お前たち頼んだよ。殴るなりヤるなり好きにして構わないから」
親衛隊の合図で扉が開き、教室内に入って来る大柄な男たち。
かなり着崩してはいるが同じ制服姿だ。
「おー任せとけ。つってもこんな平凡相手じゃ俺の勃たねぇし、サンドバック決定~」
「別に顔見なきゃいいんじゃね? 俺は突っ込む穴さえ有ればオッケー。ま、お前がぼこった後で俺がヤってやるよ」
「おいおい、それじゃあ平凡くんが可哀相過ぎるだろぉ? だったら俺はヤりながら殴ってみるわ」
ぎゃははは、と下品な笑い声をあげる不良たち。
平凡な少年一人を制裁(暴行)する為に、わざわざ親衛隊が雇ったらしい。
「や、嫌だ……だ、誰か助けて……ッ!」
顔色を失くしカタカタと震える少年。
恐怖のあまり足に力が入らず、今にも溢れそうな涙で視界が滲む。
親衛隊に両腕を掴まれ逃げることも出来ず、たとえ大声で助けを呼んだとして、一体誰がこんな場所に来てくれるというのか。
まさに絶体絶命である。
「――――アオ? まさかお前、アオなのか?」
そんな緊迫した空気を微塵も感じさせない、謎の声がこの場に響く。
発したのは、最後に教室へ入って来た美形不良くんだった。
「は?」「アオ?」「え、何?」
親衛隊および他の不良たちを一切無視して、興奮気味に駆け寄る美形不良くん。
「いや、間違いない絶対アオだろ! なあ俺のこと覚えてないか、ほら幼稚園でよく一緒に遊んだ、健斗(けんと)だよ」
「けん、と……え、本当にけんと君? 僕より小っちゃくて女の子みたいに可愛くて、あの泣き虫だった?」
「は?」「え?」「泣き虫……」
いきなり感動の再会を果たした、幼なじみ二人の姿。ア然とする目撃者たち。
頬を染め愛おしそうに『アオ』を見つめるのは、美形不良――改め健斗くん。
「やっぱりアオだ、うわマジか。すげー嬉しい! つか泣き虫だったとか言うなよ恥ずかしいだろ」
「あ、ごめん。でも懐かしいな、けんと君に会えるなんて。えっと……あれから元気だった?」
そして何やら思い出話が始まった。
所在なげな周囲の皆さん。
え、この場合どうすんの?
と誰一人言い出せない微妙な雰囲気に、教室中が包まれる。
.
32
あなたにおすすめの小説
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
息の合うゲーム友達とリア凸した結果プロポーズされました。
ふわりんしず。
BL
“じゃあ会ってみる?今度の日曜日”
ゲーム内で1番気の合う相棒に突然誘われた。リアルで会ったことはなく、
ただゲーム中にボイスを付けて遊ぶ仲だった
一瞬の葛藤とほんの少しのワクワク。
結局俺が選んだのは、
“いいね!あそぼーよ”
もし人生の分岐点があるのなら、きっとこと時だったのかもしれないと
後から思うのだった。
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる