カゼとサバンナの物語~カゼとともに~

ヤナキュー

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45.死をやわらげるモノ

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 それから、十数年がたった。
 清子も他界し、ハリケーンとサイクロンもこの世を去った。
 独り身で自由な紘一は、日本の家を売り払い、アフリカに移住した。
 そして、野生動物の子供たちの保護を目的とする、NGO団体〔KAZE〕 (カゼ)を設立した。
 サバンナの一角に本部を構え、保護した動物の子供たちの世話をしていた。
 〔KAZE〕には、オモンディやングギ、ケムワだけでなく、かつて信二が世話になった、スタッフも多数在籍している。
 今日も、〔KAZE〕代表として、紘一が、ケーブルテレビの取材を受けていた。
 紘一の秘書を務めているオニャンゴは、別用があり、席を外していた。
 インタビュアーが、紘一に質問を浴びせる。
「…では、最後にお聞きします。
 ここサバンナでは、死を意識する機会も多いと思います。
 そんなサバンナで、例えば………。
 そうですね、例えば、幸せな死、というのは、存在するのでしょうか?」
 紘一は、少し考えて、
「最初に断っておくと、死は、死です。
 それ以上でも、それ以下でもない。
 死、という事実があるだけです」
 そう言うと、紘一は一呼吸を置いた。
「そんな死はさみしく、孤独なものだと思いますよ。
 私は、まだ死んだことは、ありませんが」
 と、紘一は微笑んだ。
 続けて、紘一は、
「でも、そんな死をやわらげるものがいます」
 と、言い切った。
「なんでしょう、それは?」
 インタビュアーが興味深そうに聞いた。
「家族ですよ。
 死ぬ直前まで、家族に見守られる、というのが一番幸せな死だと思うのです」
 それを聞いて、インタビュアーは意地悪く聞く。
「でも、サトミさんは、独身ですよね?」
 笑いながら紘一は、壁を指さした。
 そこには、今まで〔KAZE〕で助けた、動物の子供たちの写真がたくさん飾ってあった。
「確かに、私にパートナーはいませんが、家族はたくさんいます」
 と、紘一はにこやかに言った。
 その言葉を聞き、インタビュアーは、興味深そうに、壁中に飾られた写真を見る。
「あ、これは、サトミさんの写真集の表紙ですね?」
 と、インタビュアーが指さしたその先には、ひときわ大きくプリントされた、カゼの家族写真があった。
 幼いハリケーンとサイクロンを見つめる、カゼとランの瞳を見て、
「幸せそう」
 と、インタビュアーは、率直な感想を述べた。
 紘一は、特に返答もせず、ただニコニコと笑っていた。
 その笑顔には、優しい清子の面影があった。
 さらに、インタビュアーは、珍しい写真を見つける。
「あの。これは?」
「私の……初めての家族写真です」
 と、紘一が答えた。
 その写真には、寝転がった信二とカゼとが、ビスケットを頬張る姿が映っていた。

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みんなの感想(2件)

かずこ
2021.05.02 かずこ

さわやかなサバンナの風、、、
チーターの力強い行動力と 優しさに夢をのせた 夢物語❣️
その裏には.

 ALSと言う 獣の様な得体の知れない病気が、、、
眼、顎以外の筋肉 手足身体が自分の意思では動かすことが出来なくなる。
反対に、精神 頭脳 食欲(食べれないけど)
尿意 排便は正常に働く、何と 悲しいしんどい😭病いか。
皆様色々な方々の手助けを 受けながら。
家族の想い、優しさを支えになって
どこかで妥協しながら 生きること。❣️☺️
 かなしいけど うれしくスッキリとした気持ち良く読めました。
もういちど より良く 生きる事を考える本でした。

解除
bchan.5548@gmail.com

考え深い作品でした
最初は野生の動物が人に近づくなんて ファンタジー小説だと思いましたが、読み進めるうちに
思いもよらない展開に驚き
二人の最期に清々しさに似たものを感じました
信二の「死ぬ覚悟 生きる覚悟なんか知るか!」
の言葉が印象的で
信二の生命力の力強さを感じました
二人(カゼと信二)の生きざまを感じ
「尊厳ある死」が 暫く頭のなかを占領していました
人の心に残る生きざま…
私にテーマを与えた作品でした

2021.01.07 ヤナキュー

感想ありがとうございます。
人が生き続けていくのに必要なものってなんだろう、
と考えていくうちに、このお話を思いつきました。
必ずだれにでも訪れる「死」。
その「死」が訪れる瞬間まで、
後悔が一つでも減るように、
生きている間に行えること=生き様
の大切さを考えるきっかけになっていただければ、うれしいです。
改めまして、感想ありがとうございました。

解除

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