110 / 110
婚約の申し込み6
しおりを挟む
それからアスリーナは優秀さを活かして教科書や論文、問題集を預かって、邸で翻訳を仕上げて、出版社に持って行くという暮らしになった。
社交的ではなく、風当たりの強いゼアンラーク侯爵家で、アスリーナには見合った仕事であった。
ジュージとサミラも、ようやく自身に焦点のあったアスリーナの姿にホッとした。
元より真面目で、勉強が好きな子だったと、手の届かない相手に恋をしただけなら良かったが、叔母が王太子妃だったことが希望を持ってしまった。
今さら何を言っても仕方ないが、ララスが不正をしてまで王太子妃にならなければよかったと思わずにはいられなかった。
掃き溜めの領地は母から手紙が来るが、領地でも責められていること、父は執務に逃げており、ギクシャクしながら、三人はどんよりと暮らしているという。
母は何か希望のあるような言葉を求めているのだろうが、ジュージが苦労している嫌味の籠った手紙を送れば、謝罪の手紙が届き、しばらく静かになる。
両親はやるべきことはやってくれているが、ララスが引き継ぐのならこのまま領地で暮らさせるか、文句を言うようなことがあれば、修道院に入れるつもりでもいる。
王家ではミジュリーの願いに驚くことになったが、またスチュワート王太子殿下への婚約はさすがに何の因果かとしか思えなかった。
コレドールはエディードとセラリアにも報告し、モルゾフ王国にも念のために知らせておく方がいいのではないかということを相談した。
「そうだな、報告だけは上げておこう」
「そうね、許可していないのに勝手に使われてはたまらないわ。でも、まさかこちらにまた頼んで来るなんてね……」
「知らなかったんだよな?」
「知らないから頼んで来たのでしょう?」
「そうだよな」
モルゾフ王国もスチュワートのためにもララスのしたことは公表されていないが、どこかから洩れたのかと考えてしまうくらいであった。
「スチュワート王太子殿下の名前が出た時に驚きました」
「あちらも婚約を考えていたとはね」
「既に断られているのかもしれません」
「それで、こちらに口添えをと思ったのね。あなたすぐに送りましょう」
「ああ、そうだな」
エディードはすぐにエルゲリータ王国のミジュリー王太子妃から、このような話があったという手紙を使者に持って行かせた。早くしなければ、あちらが再度送る可能性もあったからである。
するとモルゾフ王国から確かにアリーシャ王女との婚約の申し込みがあったが、断っていることが知らされることになった。もしもオペリーク王国の口添えがあると言われても、信用しないこととすると返事があり、ホッとした。
これで口添えの件はエルゲリータ王国が、勝手に利用しても不可能となった。
小さな変化だが、深刻な問題が発生していたが、気付いているのは僅かな人間だけであった―――。
ララスはゼアンラーク侯爵家の領地にいたが、両親には同罪であるために怒鳴られはしなかったが、どうしてこんなことになったのかと、小言や溜息をつかれたりという日々であった。
私は悪くない、私だって子どもを産みたかった。
産んでいたらこんなことにはならなかった。産みたくなくて、産まなかったわけではないのに皆、酷いと思っていた。
だが、責められたのは子どもを産めなかったことではなく、不正についてなのにララスは子どもを産めないことを責められたとすり替えていた。
ララスは妊娠がなかなかできない時に、やっぱりと思っていた。
酷い生理不順で、これは妊娠にも関係するかもしれないと言われて、ショックだった。治療をすればいいと言われたが、順調になることはなかった。
生理不順は医師が目で見るわけではないために、順調になったと嘘をついた。
社交的ではなく、風当たりの強いゼアンラーク侯爵家で、アスリーナには見合った仕事であった。
ジュージとサミラも、ようやく自身に焦点のあったアスリーナの姿にホッとした。
元より真面目で、勉強が好きな子だったと、手の届かない相手に恋をしただけなら良かったが、叔母が王太子妃だったことが希望を持ってしまった。
今さら何を言っても仕方ないが、ララスが不正をしてまで王太子妃にならなければよかったと思わずにはいられなかった。
掃き溜めの領地は母から手紙が来るが、領地でも責められていること、父は執務に逃げており、ギクシャクしながら、三人はどんよりと暮らしているという。
母は何か希望のあるような言葉を求めているのだろうが、ジュージが苦労している嫌味の籠った手紙を送れば、謝罪の手紙が届き、しばらく静かになる。
両親はやるべきことはやってくれているが、ララスが引き継ぐのならこのまま領地で暮らさせるか、文句を言うようなことがあれば、修道院に入れるつもりでもいる。
王家ではミジュリーの願いに驚くことになったが、またスチュワート王太子殿下への婚約はさすがに何の因果かとしか思えなかった。
コレドールはエディードとセラリアにも報告し、モルゾフ王国にも念のために知らせておく方がいいのではないかということを相談した。
「そうだな、報告だけは上げておこう」
「そうね、許可していないのに勝手に使われてはたまらないわ。でも、まさかこちらにまた頼んで来るなんてね……」
「知らなかったんだよな?」
「知らないから頼んで来たのでしょう?」
「そうだよな」
モルゾフ王国もスチュワートのためにもララスのしたことは公表されていないが、どこかから洩れたのかと考えてしまうくらいであった。
「スチュワート王太子殿下の名前が出た時に驚きました」
「あちらも婚約を考えていたとはね」
「既に断られているのかもしれません」
「それで、こちらに口添えをと思ったのね。あなたすぐに送りましょう」
「ああ、そうだな」
エディードはすぐにエルゲリータ王国のミジュリー王太子妃から、このような話があったという手紙を使者に持って行かせた。早くしなければ、あちらが再度送る可能性もあったからである。
するとモルゾフ王国から確かにアリーシャ王女との婚約の申し込みがあったが、断っていることが知らされることになった。もしもオペリーク王国の口添えがあると言われても、信用しないこととすると返事があり、ホッとした。
これで口添えの件はエルゲリータ王国が、勝手に利用しても不可能となった。
小さな変化だが、深刻な問題が発生していたが、気付いているのは僅かな人間だけであった―――。
ララスはゼアンラーク侯爵家の領地にいたが、両親には同罪であるために怒鳴られはしなかったが、どうしてこんなことになったのかと、小言や溜息をつかれたりという日々であった。
私は悪くない、私だって子どもを産みたかった。
産んでいたらこんなことにはならなかった。産みたくなくて、産まなかったわけではないのに皆、酷いと思っていた。
だが、責められたのは子どもを産めなかったことではなく、不正についてなのにララスは子どもを産めないことを責められたとすり替えていた。
ララスは妊娠がなかなかできない時に、やっぱりと思っていた。
酷い生理不順で、これは妊娠にも関係するかもしれないと言われて、ショックだった。治療をすればいいと言われたが、順調になることはなかった。
生理不順は医師が目で見るわけではないために、順調になったと嘘をついた。
2,237
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】白い結婚はあなたへの導き
白雨 音
恋愛
妹ルイーズに縁談が来たが、それは妹の望みでは無かった。
彼女は姉アリスの婚約者、フィリップと想い合っていると告白する。
何も知らずにいたアリスは酷くショックを受ける。
先方が承諾した事で、アリスの気持ちは置き去りに、婚約者を入れ換えられる事になってしまった。
悲しみに沈むアリスに、夫となる伯爵は告げた、「これは白い結婚だ」と。
運命は回り始めた、アリスが辿り着く先とは… ◇異世界:短編16話《完結しました》
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?
四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
愛される日は来ないので
豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。
──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる