さよならの代わりは

野村にれ

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ララス・ゼアンラーク1

 コレドール王太子殿下の婚約者に選ばれて、思い浮かんだのは生理不順のことだった。このせいで外されるかもしれない、選ばれたのに外されるなんて、周りにどんな目で見られるか分からない。

 ララスの成長と共に高くなっていったプライドが許さなかった。

 その頃にはララスは勉強も成績優秀で、知識が豊富だと褒められることが多かった。自分には価値があると他者も思っている。

 だから不正を犯すことになった。

 ララスも最初はどうしたらいいのか分からなかった。

 両親に相談しようかとも思ったが、まずは自分で考えてみようと、賢い自分が考えればいい考えが浮かぶはずだと自惚れてもいた。

 王宮で受ければ、何か見付かってしまうかもしれない。だが、王宮で受けると決まっている。

 どうにか別のところで受けたとして、王家に提出したい。

 そこへ同じく候補者に選ばれたアイラー・オイキス伯爵令嬢、サエリ・パジルア伯爵令嬢がカフェに行く話をしていた。何か使えないかと思ったが、考えてもララス一人でできることは限られる。

 生理不順のことを知っていたのは、乳母で世話係をしていたオメリー・ジンクだけだった。生まれた時からずっと一緒で、オメリーだけには何でも話していた。

『ララス様は優秀でございますね』
『ララス様はお美しいですよ』

 オメリーはララスを何でも肯定してくれる存在だった。外見もあまり自信がなかったが、オメリーだけは美しいと言ってくれていた。

 そして二人が事故に遭ったと聞き、運が向いたのか、オメリーが何かしたのかもしれないが、本人に聞くことはしなかった。

 アイラーとサエリのお見舞いに行き、診断を控えていたためにここで受けたらどうかと勧めた。そうすれば、診断書という形になると思ったからである。

 自分だけ診断書ではなく、他にもいれば目を付けられることはない。

 そして、二人のどちらかの診断書をどうにか手に入れられないかと考えていた。だが、それは邸の中で解決することになった。

 メイドがブライダルチェックを受けたという話を聞いた時は、飛び上がりたい思いだった。

 なかなか見せようとしなかったが、強く言えば従うのが使用人である。手に入れて、上手に写して、返してあげた。役に立つことができて、光栄だろうくらいの気持ちだった。

 今では誰だったのかすら、ララスは覚えていなかった。

 その後、よく考えるとアイラーとサエリの診断書を写していたら、王家側でバレていたかもしれない。運は私に向いているとまた思った。

 診断書を持って、お父様には生理不順は治ったとはいえ、何か見付かるかもしれない、そんなことで外されることは嫌だと話した。

 すると、サインはお父様が引退間近の侍医の名前を写してくれた。お母様は大丈夫なのかと言ったが、こんなことで外されてはララスが可哀想だと意見は一致した。

 生理不順は続いていたが、治療をすればバレると思い、何もしていなかった。

 それでも、コレドールの婚約者に選ばれて、王太子妃になって、子どもは産めなかったが、何の問題もないはずだった。

 シュリリーが考えたように、ララスは貴族なら離縁されるかもしれないが、王家は側妃の制度があるのだから離縁されないことも魅力だった。

 ララスにとって後継者を産むよりも、王太子妃に王妃になることが重要であった。

 側妃のことは覚悟していたことだった。歓迎することはないが、自分を変わらずに正妃として扱って欲しいことを伝えれば、皆が当たり前だと言ってくれた。しかも、やって来たのは壊れた女だった。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日も1日2回、投稿させていただきます。

ついに動き出します。
いつもの17時をお楽しみに。

よろしくお願いいたします。

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