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里帰り11
「マリージュ、これは仕方のないことよね?」
「お、お姉様?」
マリージュはブルーベルから何を言われるのかと緊張していたが、穏やかな口調に少しホッとした。
「あなたは言ったわよね?『これはしかたないのないことなの。私が言うことではないけど、お姉様もしっかりして』と、そうでしょう?」
「はい、そうです。言いました、覚えています」
マリージュは姉はちゃんと覚えているのだと事実を認めた。
「オペリーク王国はスチュワート王太子の縁談に口添えはできないの。しないではなく、できないの。分かるわよね?」
彼女はなるべくブルーベルの口調に似せて、マリージュに語り掛けた。
「そうですか」
「マリージュ!娘のことなんだぞ、ちゃんとお願いしなさい」
「できないのならば、オペリーク王国にもですが、モルゾフ王国にも失礼にあたります。もうやめましょう。アリーシャにも夢を見させても叶うことはないでしょう」
マリージュはブルーベルがいるおかげなのか、言いたいことを初めて言えた。
「そんなことはない!アリーシャはスチュワート王太子殿下に嫁ぎたいと願っているのだぞ?」
「それでも無理ではありませんか。それなのにしがみついていてはそれこそ、他の縁談も断られることになります」
アリーシャにはスルトが別の相手を探したが、嫌だと言って受け入れなかった。
スルトはまた別の相手を探しているが、マリージュはザイルージ王国が嫌ならば、意見を聞かずに決めてしまえばいいと思っていた。
どうしてもスチュワートがいいと、エーストにも再度言いに行き、そこへブルーベルの里帰りによってまた口添えが再燃したのである。
「だから、スチュワート王太子殿下に!」
「お願いですから、もうやめましょう」
言い合いを始めたエルゲリータ王国側に、コレドールは立ち上がった。
「私たちはお暇いたします」
「待ってくれ」
「私たちはマリージュ殿下に会いに来たのです。エースト殿下もお認めでしたよね?マリージュ殿下、失礼いたしますね」
「はい、姉をよろしくお願いいたします」
「はい」
クソッと言わんばかりのエーストだったが、ブルーベルも立ち上がって歩き出し、マリージュのそばに行き、何も言わずに手を取って部屋から出た。
そして、手を握ったまま廊下で話し始めた。
廊下にはオペリーク王国の護衛もいたが、それもブルーベルが良くなったと少しずつ見せるための行動であった。
「辛いなら違う場所を考えたほうがいいと思うわ」
「お姉様?」
「アリーシャ王女がどう思っているのかは知りませんけど、このままでは最悪の事態になるわ。結婚が幸せのすべてではないと思うけど、母親として止めるの。いい?」
「はい、お姉様……お話ができて良かったです。会いたかった……辛い時、お姉様の顔を思い出していました。本当に、お姉様。色々、嫌な思いをさせていたらごめんなさい……本当に、ごめんなさい……」
マリージュは泣き出してしまい、彼女はブルーベルがマリージュに幼い頃からしていたように、何も言わずに頭を優しく撫でた。
「お姉様……」
「敢えて言うけど、頑張ってね。でも無理だと思ったら逃げるの。そうでないと私のようになってしまう。ね?」
「お姉様……はい、頑張ってみます」
ブルーベルはマリージュから離れて、コレドールたちが待つ場所に歩いた。護衛たちは驚いていたが、黙ってその様子を見つめただけであった。
そのまま王宮を出るために歩いていると、ブルーベルを呼ぶ声が聞こえた。誰かと思い、警戒をしたが、すぐにブルーベルは振り返るようなことはしなかった。
「ブルーベル殿下」
立ち止まってコレドールが振り返ると、いたのはミレック王子であった。
「ミレック殿下、いかがいたしましたか」
「はい、呼び止めてしまい申し訳ありません。父上たちが申し訳ありませんでした」
「お、お姉様?」
マリージュはブルーベルから何を言われるのかと緊張していたが、穏やかな口調に少しホッとした。
「あなたは言ったわよね?『これはしかたないのないことなの。私が言うことではないけど、お姉様もしっかりして』と、そうでしょう?」
「はい、そうです。言いました、覚えています」
マリージュは姉はちゃんと覚えているのだと事実を認めた。
「オペリーク王国はスチュワート王太子の縁談に口添えはできないの。しないではなく、できないの。分かるわよね?」
彼女はなるべくブルーベルの口調に似せて、マリージュに語り掛けた。
「そうですか」
「マリージュ!娘のことなんだぞ、ちゃんとお願いしなさい」
「できないのならば、オペリーク王国にもですが、モルゾフ王国にも失礼にあたります。もうやめましょう。アリーシャにも夢を見させても叶うことはないでしょう」
マリージュはブルーベルがいるおかげなのか、言いたいことを初めて言えた。
「そんなことはない!アリーシャはスチュワート王太子殿下に嫁ぎたいと願っているのだぞ?」
「それでも無理ではありませんか。それなのにしがみついていてはそれこそ、他の縁談も断られることになります」
アリーシャにはスルトが別の相手を探したが、嫌だと言って受け入れなかった。
スルトはまた別の相手を探しているが、マリージュはザイルージ王国が嫌ならば、意見を聞かずに決めてしまえばいいと思っていた。
どうしてもスチュワートがいいと、エーストにも再度言いに行き、そこへブルーベルの里帰りによってまた口添えが再燃したのである。
「だから、スチュワート王太子殿下に!」
「お願いですから、もうやめましょう」
言い合いを始めたエルゲリータ王国側に、コレドールは立ち上がった。
「私たちはお暇いたします」
「待ってくれ」
「私たちはマリージュ殿下に会いに来たのです。エースト殿下もお認めでしたよね?マリージュ殿下、失礼いたしますね」
「はい、姉をよろしくお願いいたします」
「はい」
クソッと言わんばかりのエーストだったが、ブルーベルも立ち上がって歩き出し、マリージュのそばに行き、何も言わずに手を取って部屋から出た。
そして、手を握ったまま廊下で話し始めた。
廊下にはオペリーク王国の護衛もいたが、それもブルーベルが良くなったと少しずつ見せるための行動であった。
「辛いなら違う場所を考えたほうがいいと思うわ」
「お姉様?」
「アリーシャ王女がどう思っているのかは知りませんけど、このままでは最悪の事態になるわ。結婚が幸せのすべてではないと思うけど、母親として止めるの。いい?」
「はい、お姉様……お話ができて良かったです。会いたかった……辛い時、お姉様の顔を思い出していました。本当に、お姉様。色々、嫌な思いをさせていたらごめんなさい……本当に、ごめんなさい……」
マリージュは泣き出してしまい、彼女はブルーベルがマリージュに幼い頃からしていたように、何も言わずに頭を優しく撫でた。
「お姉様……」
「敢えて言うけど、頑張ってね。でも無理だと思ったら逃げるの。そうでないと私のようになってしまう。ね?」
「お姉様……はい、頑張ってみます」
ブルーベルはマリージュから離れて、コレドールたちが待つ場所に歩いた。護衛たちは驚いていたが、黙ってその様子を見つめただけであった。
そのまま王宮を出るために歩いていると、ブルーベルを呼ぶ声が聞こえた。誰かと思い、警戒をしたが、すぐにブルーベルは振り返るようなことはしなかった。
「ブルーベル殿下」
立ち止まってコレドールが振り返ると、いたのはミレック王子であった。
「ミレック殿下、いかがいたしましたか」
「はい、呼び止めてしまい申し訳ありません。父上たちが申し訳ありませんでした」
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