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里帰り13
「ですが心を壊しております……」
「はい、そのことをマリージュ叔母上に聞いて心苦しく思いましたが、言葉にするのは言い辛いですがここにいても同じだったのではないかと思うのです」
コレドールも話を聞きながら、確かにあのままスルトと結婚していても、どこかで壊れていたかもしれないと感じていた。
「否定はできませんね」
「はい、むしろ悪くなっていたとも思います。ここには情けないことですが傷付ける者が多いですから……」
「そうですか……」
「私には止める力がございませんでした、申し訳ございません」
「いいえ」
いくらミレックが王子でもエーストは王太子であることから、言葉では止められないだろう。
「そういえば、弟君はどうしているのですか?」
「これは妬みなどではなく聞いていただきたいのですが、両親はあれだけのことをしてもジーラスには甘いので、心から反省はしていません。リュメリー王国にも申し訳ないことです」
「今日は?」
「監視させておりますので、ジーラスとアリーシャは授業を受けております」
「アリーシャ王女も、その同じようなお考えなのでしょうか?」
もしかしたらアリーシャはエーストに言われて、従っているだけの可能性も考えていた。
「残念ながらそうです。父上もその気になっておりますが、本人もでございます」
「そうですか……」
マリージュが母親であることから、期待していたとこともあったために、ブルーベルの予想が当たっているのだろう。
「スチュワート王太子殿下の縁談についての暗黙の了解があることをご存知ないのですよね?」
「そのようなものがあるのですか?私は関わっておりませんので……お祖父様の一度断られれば納得するだろうと思っていたのですが、諦めないどころか……ハッキリ言えばお金目当てなのです」
「そうでしょうね」
「母上も叔父上も言いなりですから」
今日の少ない時間でもコレドールも意見していたのはマリージュだけであった。
「これからどうなるか分かりませんが、ジーラスは既に問題を起こしたことで、何をするのにも祖父母の許可が必要なので、公に姿を現すことはないと思います。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「そのほうがいいかもしれませんね」
ミレックは両親に育てられたジーラスとも距離があり、反省することもない姿にも諦めていた。そこへ話の聞こえていたブルーベルは何か意図があったとしても、ミレックに声を掛けたいと思った。
「ミレック殿下、お気遣いありがとうございます」
「ブルーベル殿下……」
マリージュと話している姿を見たためにブルーベルを呼びはしたが、ミレックも話はできないかもしれないと覚悟はしていた。
でも二度と会えないかもしれないと思い、思い切って名前を呼んだ。
「いえ、何もできずに申し訳ありません」
「いいえ、あなたは幼かったのですから気にすることは何もありません」
「両親と叔父上のことは任せてください。どうか、どうか、健やかにお過ごしになれますように願っております」
「ありがとうございます。殿下も」
「はい、ありがとうございます」
ミレックはブルーベルに笑みを向けてから、深く頭を下げた。
「ではお引き留めして申し訳ありませんでした。気を付けてお帰りください」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
コレドールとブルーベルは王宮を去り、ミレックとマリージュはその姿を見えなくなるまで見つめた。
ホテルに戻ったオペリーク王国一行はブルーベルの事情を知っている者たちだけで、部屋に集まった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2回、投稿しようと、
12時に予約していたはずが、できていませんでした。
次はいつもの17時です。
よろしくお願いいたします。
「はい、そのことをマリージュ叔母上に聞いて心苦しく思いましたが、言葉にするのは言い辛いですがここにいても同じだったのではないかと思うのです」
コレドールも話を聞きながら、確かにあのままスルトと結婚していても、どこかで壊れていたかもしれないと感じていた。
「否定はできませんね」
「はい、むしろ悪くなっていたとも思います。ここには情けないことですが傷付ける者が多いですから……」
「そうですか……」
「私には止める力がございませんでした、申し訳ございません」
「いいえ」
いくらミレックが王子でもエーストは王太子であることから、言葉では止められないだろう。
「そういえば、弟君はどうしているのですか?」
「これは妬みなどではなく聞いていただきたいのですが、両親はあれだけのことをしてもジーラスには甘いので、心から反省はしていません。リュメリー王国にも申し訳ないことです」
「今日は?」
「監視させておりますので、ジーラスとアリーシャは授業を受けております」
「アリーシャ王女も、その同じようなお考えなのでしょうか?」
もしかしたらアリーシャはエーストに言われて、従っているだけの可能性も考えていた。
「残念ながらそうです。父上もその気になっておりますが、本人もでございます」
「そうですか……」
マリージュが母親であることから、期待していたとこともあったために、ブルーベルの予想が当たっているのだろう。
「スチュワート王太子殿下の縁談についての暗黙の了解があることをご存知ないのですよね?」
「そのようなものがあるのですか?私は関わっておりませんので……お祖父様の一度断られれば納得するだろうと思っていたのですが、諦めないどころか……ハッキリ言えばお金目当てなのです」
「そうでしょうね」
「母上も叔父上も言いなりですから」
今日の少ない時間でもコレドールも意見していたのはマリージュだけであった。
「これからどうなるか分かりませんが、ジーラスは既に問題を起こしたことで、何をするのにも祖父母の許可が必要なので、公に姿を現すことはないと思います。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「そのほうがいいかもしれませんね」
ミレックは両親に育てられたジーラスとも距離があり、反省することもない姿にも諦めていた。そこへ話の聞こえていたブルーベルは何か意図があったとしても、ミレックに声を掛けたいと思った。
「ミレック殿下、お気遣いありがとうございます」
「ブルーベル殿下……」
マリージュと話している姿を見たためにブルーベルを呼びはしたが、ミレックも話はできないかもしれないと覚悟はしていた。
でも二度と会えないかもしれないと思い、思い切って名前を呼んだ。
「いえ、何もできずに申し訳ありません」
「いいえ、あなたは幼かったのですから気にすることは何もありません」
「両親と叔父上のことは任せてください。どうか、どうか、健やかにお過ごしになれますように願っております」
「ありがとうございます。殿下も」
「はい、ありがとうございます」
ミレックはブルーベルに笑みを向けてから、深く頭を下げた。
「ではお引き留めして申し訳ありませんでした。気を付けてお帰りください」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
コレドールとブルーベルは王宮を去り、ミレックとマリージュはその姿を見えなくなるまで見つめた。
ホテルに戻ったオペリーク王国一行はブルーベルの事情を知っている者たちだけで、部屋に集まった。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2回、投稿しようと、
12時に予約していたはずが、できていませんでした。
次はいつもの17時です。
よろしくお願いいたします。
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