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里帰り16
「っあ、申し訳ございません」
「用件は何ですか?顔を見て満足されたのではありませんか?」
「ブルーベルと話をさせてください」
「構いませんが」
話をすることは彼女もやはり来ましたかと言っており、エズリラ侯爵家に対してはコレドールも何でも言えばいいと考えているために断る理由はない。
「家族だけ、いえ、両親と私とブルーベルにして欲しいのです」
「許可すると思いますか?」
一度断っているのに、覚えていないのかと呆れるしかなかった。
「大事な話なんです」
「これまで会いに来ることも、里帰りの要望以外の手紙を出すこともなかったのにですか?」
「それは……忙しいと思ってことで」
「エースト殿下に何か言われたのでしょう?」
「っ、いえ」
ホテルを教えていないと言っても良かったが、エントランスで押し問答をしても仕方がない。
「ブルーベルは王太子妃です。いくら家族でも、これまで関わりのなかったあなた方だけで会わせることは、王太子としてできません」
「アーサー、同席していただこう」
とにかく話をしなくてはならないとセイジーが声を掛けた。
「は、はい……」
アーサーとセイジーとリスリーを連れて、泊っている部屋に連れて来た。護衛は廊下に残して、コレドールと書記官と三人は部屋に入った。
ブルーベルはモモリとサリリが横に付いた状態で、ソファに座ってはいたが、窓から外を見ており、視線を向けることはなかった。その横にコレドールが座り、三人は何も言う前にブルーベルの前に並んで座った。
「今日はゆっくりする予定だったのだ、手短に済ませていただきたい」
「はい、あのブルーベル……」
アーサーは声を掛けたが、反応をしてくれるのかと疑っており、じっと見つめたがブルーベルは何の反応もしなかった。
コレドールを含め、三人以外は誰も助け船を出すようなことはせず、黙って見守っていた。
「ブルーベル、話をしたいんだ。マリージュに関わることなんだ」
マリージュのことを出せば反応するのではないかと口にしたが、それでもブルーベルから反応がない。
「あの、コレドール殿下。ブルーベルは話ができると聞いたのですが……今日は難しいということですか?」
「誰に聞いたのですか?エントランスではエースト殿下に頼まれたわけではないとおっしゃいましたよね?」
「頼まれたわけではありませんが、伺ったのはエースト殿下に聞いたからです」
「そうですか。ええ、療養で良くなっていたのですが、ミジュリー殿下のせいで不安定に悪化しましてね」
「っえ、ミジュリー殿下が……」
セイジーとリスリーも驚いて顔を見合わせた。
「エースト殿下にもお伝えしたんですがね、診断書も出そうと思っております」
「っ、そうですか」
状況が聞かされているよりも悪いことをアーサーも察したが、話はしなくてはならない。
「ブルーベル、マリージュのことで話をしたいんだ。話をしてもらえないだろうか」
アーサーはこんな言い方をブルーベルにはいつもなら苛立つところだが、状況の悪さから低姿勢で訴えることにした。すると、ブルーベルはアーサーに視線を向けた。
「ブルーベル!」
「マリージュの何の話ですか?」
「ああ!マリージュが困っているそうなんだ。それでブルーベルに力を貸して欲しいそうなんだ」
視線が合い、話ができることにアーサーは興奮しながら話した。セイジーとリスリーも鼻の穴を膨らませている。
「マリージュとは昨日、既に話をしました」
「そうか、だが妹とのことなんだから」
「内容は何ですか?まさか、アリーシャ王女殿下の話ではありませんよね?そちらでしたら、既に昨日王家と話がついているはずです」
アーサーは言葉に詰まったが、それよりもブルーベルはこんな話し方をするような人間になったのかと驚いたこともあった。
「用件は何ですか?顔を見て満足されたのではありませんか?」
「ブルーベルと話をさせてください」
「構いませんが」
話をすることは彼女もやはり来ましたかと言っており、エズリラ侯爵家に対してはコレドールも何でも言えばいいと考えているために断る理由はない。
「家族だけ、いえ、両親と私とブルーベルにして欲しいのです」
「許可すると思いますか?」
一度断っているのに、覚えていないのかと呆れるしかなかった。
「大事な話なんです」
「これまで会いに来ることも、里帰りの要望以外の手紙を出すこともなかったのにですか?」
「それは……忙しいと思ってことで」
「エースト殿下に何か言われたのでしょう?」
「っ、いえ」
ホテルを教えていないと言っても良かったが、エントランスで押し問答をしても仕方がない。
「ブルーベルは王太子妃です。いくら家族でも、これまで関わりのなかったあなた方だけで会わせることは、王太子としてできません」
「アーサー、同席していただこう」
とにかく話をしなくてはならないとセイジーが声を掛けた。
「は、はい……」
アーサーとセイジーとリスリーを連れて、泊っている部屋に連れて来た。護衛は廊下に残して、コレドールと書記官と三人は部屋に入った。
ブルーベルはモモリとサリリが横に付いた状態で、ソファに座ってはいたが、窓から外を見ており、視線を向けることはなかった。その横にコレドールが座り、三人は何も言う前にブルーベルの前に並んで座った。
「今日はゆっくりする予定だったのだ、手短に済ませていただきたい」
「はい、あのブルーベル……」
アーサーは声を掛けたが、反応をしてくれるのかと疑っており、じっと見つめたがブルーベルは何の反応もしなかった。
コレドールを含め、三人以外は誰も助け船を出すようなことはせず、黙って見守っていた。
「ブルーベル、話をしたいんだ。マリージュに関わることなんだ」
マリージュのことを出せば反応するのではないかと口にしたが、それでもブルーベルから反応がない。
「あの、コレドール殿下。ブルーベルは話ができると聞いたのですが……今日は難しいということですか?」
「誰に聞いたのですか?エントランスではエースト殿下に頼まれたわけではないとおっしゃいましたよね?」
「頼まれたわけではありませんが、伺ったのはエースト殿下に聞いたからです」
「そうですか。ええ、療養で良くなっていたのですが、ミジュリー殿下のせいで不安定に悪化しましてね」
「っえ、ミジュリー殿下が……」
セイジーとリスリーも驚いて顔を見合わせた。
「エースト殿下にもお伝えしたんですがね、診断書も出そうと思っております」
「っ、そうですか」
状況が聞かされているよりも悪いことをアーサーも察したが、話はしなくてはならない。
「ブルーベル、マリージュのことで話をしたいんだ。話をしてもらえないだろうか」
アーサーはこんな言い方をブルーベルにはいつもなら苛立つところだが、状況の悪さから低姿勢で訴えることにした。すると、ブルーベルはアーサーに視線を向けた。
「ブルーベル!」
「マリージュの何の話ですか?」
「ああ!マリージュが困っているそうなんだ。それでブルーベルに力を貸して欲しいそうなんだ」
視線が合い、話ができることにアーサーは興奮しながら話した。セイジーとリスリーも鼻の穴を膨らませている。
「マリージュとは昨日、既に話をしました」
「そうか、だが妹とのことなんだから」
「内容は何ですか?まさか、アリーシャ王女殿下の話ではありませんよね?そちらでしたら、既に昨日王家と話がついているはずです」
アーサーは言葉に詰まったが、それよりもブルーベルはこんな話し方をするような人間になったのかと驚いたこともあった。
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